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自主・平和・民主のための広範な国民連合
『日本の進路』地方議員版3号

 

激減する中小商店!―大型店の野放図な出店に歯止めを

広範な国民連合事務局長 加藤 毅



 このまえまであった魚屋さん、電器屋さん、本屋さんがいつのまにか店を閉め、シャッターが降りたままになった。威勢の良い声をあげていた魚屋の兄さんはどこに行ったのか。商店街は歯の抜けたくしのようにさびしくなった。そんなことが珍しいことではなくなった。
 通産省が4月20日に発表した平成9年商業統計(1997年6月1日現在)は、こうした事態が全国で大規模に進んでいることを示している。政府自身の無味乾燥な統計数字の陰からも、国の政治によって苦況に追い込まれている中小商店の憤りや悲鳴が聞こえてくる。

 (表1)(図1)は1985年から97年までの小売商店数、(表2)(図2)は大規模小売店舗数の推移である。

(表1)減少する小売商店 
  1985年 1988年 1991年 1994年 1997年
小売商店数(万店) 163 162 161 150 142
(図1)減少する小売商店(Excelをお持ちの方はクリックしてください)
    
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(表2)急増する大型店 
  1985年 1988年 1991年 1994年 1997年
大規模小売店数 13286 14632 15511 17643 21892
(図2)急増する大型店(Excelをお持ちの方はクリックしてください)
    
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  この12年間に、小売商店数は21万店減少した。他方で、大規模小売店舗は8606店増加した。特に91年から97年の変化が著しい。この6年間に、小売商店は19万店(12%)減少し、大規模小売店舗は6381店(41%)増加した。大規模小売店舗のすさまじい激増によって、小売商店が激減したのである。
 しかも、19万店という小売商店の減少は見かけにすぎない。(表3)は開設年別の小売商店数である。開設には新規、移転、転業を含んでいる。

(表3)開設年別商店数 1997年調査
   開 設 年   商 店 数
 1991年以前 1214577
 1992年〜1997年 205119
   (1992年) 30594
   (1993年) 33162
   (1994年) 34413
   (1995年) 41062
   (1996年) 46349
   (1997年) 19539
   合   計 1419696
 *1991年の商店数 1605583
 92年から97年の間に21万店の小売商店が開設された。それにもかかわらず、小売商店総数は19万店減少した。つまり、91年に存在していた161万店のうち、約40万店が転業、廃業、倒産あるいは移転したということである。すさまじい数であり、実に4店に1店という割合である。
 なぜ、これほど深刻な事態が起こったのか。91年〜97年ころに何があったのだろうか。
 1985年以降、日米貿易摩擦が激化し、アメリカは日本に市場開放、規制緩和の圧力を強めてきた。玩具専門の大型店「トイザラス」の日本進出とからめて、アメリカは日米構造協議で大店法を槍玉にあげ、その規制緩和・廃止をせまった。大店法は地域の住民や中小商店の闘いによって、政府がしぶしぶつくった法律である。届出制であり、必ずしも大型店の出店をくい止める法律ではないが、いくらかの歯止めにはなってきた。
 その大店法を、政府はアメリカの要求にしたがって、90年、92年、94年とあいついで規制緩和した。その結果、大店法は形骸化して大型店の出店は野放し同然になった。日米安保体制のもとで、アメリカや大資本におもねり、彼らの利益のために中小商店を犠牲にする政治が、大型店を急増させ、小売商店の激減させたのである。
 (表4)は従業者規模別に見た小売商店数の増減、(図4)はその増減率の比較である。

(表4)従業者規模別小売商店数の増減
  従業者規模   1994年   1997年   増減数  増減率(%)
    計 1499948 1419696 -80252 -5.4
  1 〜  2人 764772 708999 -55773 -7.3
  3 〜  4人 370944 350306 -20638 -5.6
  5 〜  9人 222552 212446 -10106 -4.5
 10 〜 19人 89628 93463 3835 4.3
 20 〜 29人 26345 27514 1169 4.4
 30 〜 49人 15655 15802 147 0.9
 50 〜 99人 7191 7919 728 10.1
  100人以上 2861 3247 386 13.5
(図4)従業者規模別小売商店数の増減(Excelをお持ちの方はクリックしてください)
    
3G-SMALL-G4.xls
 小規模な商店ほど減り方が激しい。規模の大きな大型店は激増し、50〜99人の大型店は10.1%、100人以上の大型店は13.5%も増えている。
 (表5)は経営組織別に見た小売商店数、(図5)はその増減率の比較である。

(表5)経営規模別小売商店数の増減
経営組織  1994年 1997年 増減数 増減率(%)
1499948 1419696 -80252 -5.4
個   人 918741 833069 -85672 -9.3
法   人 581207 586627 5420 0.9
(大規模小売店舗) 17643 21892 4249 24.1
(図5)経営規模別小売商店数の増減(Excelをお持ちの方はクリックしてください)
    
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 94〜97年に個人商店は8万5672店(9.3%)減った。個人商店が深刻な打撃を受けているのである。法人商店は5420店(0.9%)増えた。しかし、そのほとんどは大規模店舗である法人である。
 大店法の規制緩和によって、規模の小さい中小商店、個人商店が深刻な打撃を受けているのである。
 (表6)は大規模小売店舗の都道府県別増加数である。

(表6)大規模小売店舗の都道府県別増加数 1991−97年
県名 増加数 県名 増加数 県名 増加数 県名 増加数
全国 6381 千葉県 331 三重県 172 徳島県 47
北海道 323 東京都 259 滋賀県 59 香川県 39
青森県 113 神奈川県 258 京都府 71 愛媛県 102
岩手県 87 新潟県 195 大阪府 161 高知県 51
宮城県 133 富山県 84 兵庫県 123 福岡県 242
秋田県 70 石川県 109 奈良県 46 佐賀県 53
山形県 115 福井県 54 和歌山県 25 長崎県 79
福島県 171 山梨県 38 鳥取県 59 熊本県 105
茨城県 333 長野県 196 島根県 32 大分県 43
栃木県 178 岐阜県 152 岡山県 150 宮崎県 97
群馬県 236 静岡県 223 広島県 127 鹿児島県 55
埼玉県 324 愛知県 321 山口県 106 沖縄県 34

 大規模小売店舗はどの都道府県でも増加している。91〜97年では、特に、茨城県(333)、千葉県(331)、埼玉県(324)、北海道(323)、愛知県(321)で急増している。
 これらはいずれも、1997年6月時点での調査結果である。今日にいたる2年間に、事態がさらに深刻になっていることは想像に難くない。


 小売商店は1997年6月1日現在、全国に142万店あり、そこに735万人の人々が働いている。(表4)でわかるように、その圧倒的大多数が中小商店である。そして地域の中小商店は、国民の日常生活に便宜をもたらし、街のにぎわいをつくり、文化の一翼をになってきた。
 地域の商店街を衰退させてクルマのない高齢者の生活を不便にし、中小商店の営業と生活を破壊し、交通渋滞、騒音、大量のゴミで地域の環境を破壊する大型店の出店をこれ以上許してはならない。
 昨年、大店立地法、中心市街地活性化法、改正都市計画法の三法が成立した。大店立地法は来年6月1日より施行され、他の二法はすでに施行されている。大店立地法の施行とともに、大店法は廃止される。
 大店立地法では、地域の商店街に大きな影響をおよぼす店舗面積、閉店時刻、休業日数など、大店法でこれまで行われてきた商業調整は認められない。しかし、交通渋滞、駐車・駐輪、交通安全や騒音、ゴミなどの環境で厳しく注文をつけることはできる。運用の主体も通産省から都道府県または政令指定都市に移った。
 通産省は4月20日、大店立地法運用にあたっての指針(ガイドライン)原案を発表した。駐車場、騒音、ゴミなどについて、ことこまかに大型店が守るべき基準を示している。通産省の本当のねらいは、自治体が大型店に指針の範囲を超える負担を求めるのを阻止するためだ。
 だが、この指針を逆手にとって、交通渋滞を引き起こす大型店の出店を阻止することもできないわけではない。都市計画法、さらに自治体独自の条例や指導要綱で、大型店の野放図な出店を阻止して、暮らしやすい街にする必要もある。
 要するに、大店立地法など三法の成立によって、大型店の進出に歯止めをかけ、活気のある商店街、暮らしやすい街や地域をつくるのは、商店街の人々、地域住民、労働者の共通の課題になったということである。
 特に地方議員の役割は重要である。地方議員は地域の声、中小商店の声にもっと耳を傾け、この課題で積極的な役割をはたすべきだ。そうすれば、地域にしっかりとした基盤をつくることもできるだろう。
 労働組合も中小商店の要求を支持し、労商の提携を追求すべきではないかと思う。それがこの国の政治を変えていくことにもつながっていく。

(注)次の文章が参考になる。

◆大店法廃止−求められる住民自治、住民運動
 白鴎大学教授 樋口 兼次
    (『日本の進路』1998年5月号)

◆大店法の破綻と新法制定への疑問
 静岡市商業近代化協議会事務局長 村松孝次郎
    (『日本の進路』1998年7月号)

◆小売業者と国民は大同団結して政治を動かそう
 全国小売市場総連合会会長 中井久
    (『日本の進路』1998年8月号)

◆商店街の活性化をめざして
 全国小売市場総連合会会長 中井久
    (『日本の進路』地方議員版1号)