総選挙学生座談会  私たちはこう感じた

民意と議席数の
大きすぎるギャップに驚き

Aさん  早稲田大学大学院生
Bさん  慶応大学3年生
Cさん  一橋大学4年生
司 会  「日本の進路」編集部

自民議席増に「がっかり」

司会 皆さん、お疲れさまです。衆議院議員総選挙が終わりました。まずは、結果を受けての率直な感想から伺いたいと思います。
Aさん ハッキリ言ってがっかりしましたし、脱力しました。投票日から1週間近くになりますが、いまだに新聞を読めません。
Bさん 私は選挙の手伝いから解放されたので、朝8時前から動き出す生活が終わって、まずはホッとしています。
Cさん 私は選挙運動には直接は関係しませんでした。パレスチナ問題に関わっていますので、党派にかかわらず、日本がイスラエルによる虐殺に加担しない方向を進めてくれる政治家が増えることに期待していましたが、そうならなかったのは残念です。

小選挙区制を見直せ

司会 結果について、もう少し思うところはありますか。
Bさん そもそも、現行の小選挙区制は民意を反映しない制度です。その下での選挙ですから、期待は最初からなかったですね。手伝った党の人には悪いですけど。それでも、自民党があれほどまで増えるとは思っていなかったです。運動で親しくしていた議員のほとんどが落選してしまったので、結構、困っています。
Cさん 何しろ、2割の支持なのに議席数は7割近く。小選挙区に限れば9割近いのですからね。どんな議論があってこんな非民主的な制度を採用したのか、当時の議員さん、とくに野党議員に聞いてみたいです。
Aさん 「政権交代が起きやすい制度」ということで採用したのでしょうけど。ただ、細川政権は中選挙区制の下で誕生しましたし、政権交代は2009年の旧民主党政権だけなんですよね。
Cさん 選挙制度の見直しはぜひやってほしいですね。

「高市旋風」は
感じられなかった

司会 選挙では、どのような経験をされましたか。反応はどうでしたか。
Aさん 中道改革連合候補の支援をしました。立憲民主党候補の支援をした前回と比べても、反応は決して悪いものではありませんでした。手を振ってくれる若者も、結構いましたし。
司会 でも結果は、中道の大敗でしたね。
Aさん ですから、選挙運動で感じる反応と、報じられるマスコミ予測のギャップがあまりにも大きくて、「どうなっているんだろう」という思いが続いていました。
Bさん 私は社民党の候補を応援しました。選挙は初めてでしたが、「反応が良い」と思わないと続かないらしいですから(笑)。電話対応はなかなかに疲れました。政策に反対する人が電話してくるならまだよい方で、陰謀論に染まった人が「自説」を延々と展開するのには辟易しました。
Cさん 「高市旋風」と報じられますが、そんな印象はなかったです。全体として、選挙が盛り上がっているという印象も受けませんでした。まさに「小選挙区制のトリック」ではないでしょうか。

野党の政策をどう思った?

司会 それぞれの政策について、どう思いましたか。
Bさん 社民党は「人権保護と多文化共生社会の実現」を掲げていましたが、排外主義的な人々が抗議電話をかけてくるようなことはなかったですね。ちょっと拍子抜けというか。
 そもそも多くの有権者の選択肢に入っていなかったのかもしれません。選挙はイメージばかりが問題になっていて、政策論議があるようには思えなかったです。
Cさん 選挙前はときどき、参政党の街頭演説へのカウンターを行っていました。参政党の議席は増えましたが、「風が吹いた」という感じではないですね。主張も、以前に比べれば「おとなしめ」だったでしょうか。もっとも私の許容範囲は超えていますけどね(笑)。
Aさん 中道の政策には、各方面から異論が多かったかもしれません。名護市辺野古への新基地建設をめぐる迷走はありましたが、私自身は、全体として悪くなかったと思っています。ただ、あくまで初歩的で急ごしらえのものだったですし、「選挙の顔」が野田さん、斉藤さんの両共同代表では「いかんともしがたい」と思いましたね。
Cさん でも、沖縄では辺野古問題での安住共同幹事長発言には不満が強かったようです。私自身も「あれはない」と思いました。まるで旧公明党、いわば自公政権の「全面肯定」じゃないですか。
Aさん それはそうですが、自民党の「国家主体」の考え方に対して、「個人主体」という対立軸を提示できたと思うんです。「生活者ファースト」というスローガンがそれを表していたかどうか、という問題はありますが。中道の現状は、有力支持団体である労働組合の反映でもあるわけで、その意味では仕方がないのではないでしょうか。
Bさん そうなのかなぁ〜。
Aさん 社民党といえば、沖縄2区で独自候補を擁立したことが波紋を呼びました。
Bさん それは…、大きな問題です。私はコメントしにくいです。
Cさん 社民党支持者である私の友人は、独自候補の擁立に反対でした。当選のあてがないことだけでなく、本土(中央)が沖縄の方針に「介入した」ことへの反発が強いように思えました。友人は、かなり失望していましたね。
 私の意見ですが、本土は「善意」からの意見であったとしても、沖縄の人々がそう受け取るとは限らない。沖縄への植民地主義の歴史と現状を見れば、「善意」と受け取る前提はないわけですよね。本土が支援しようと無視しようと、沖縄の人々は闘い続けています。本土の側は、そこをもっと自覚すべきだと思うのですが。

政治を変える努力を
続けたい

司会 今後、皆さんはどのように政治に関わっていきますか。
Bさん 排外主義に反対する課題が、ますます重要になっていると思います。日本国内の重大な人権問題であるというだけでなく、アジアでの戦争につながる思想的背景になっていると思います。平和のためにも、この課題で運動を続けていきたいです。
Cさん 外国人に関する問題は、出入国管理法や「不法残留者」を削減して強制退去確定者を減らす「ゼロプラン」、技能実習生受け入れや待遇、難民受け入れ、在日韓国・朝鮮人への差別や朝鮮学校の問題など、非常に幅が広いですよね。
Bさん それぞれターゲットが違いますから。運動を盛り上げることと併せ、排外主義に明確に反対する政治勢力が、国会に絶対に必要だと思っています。
Aさん 必ずしも「一つの党」になる必要性はないと思いますが、「自民党に代わる大きな塊」をつくることができるかどうかが、小選挙区制の下で政治を転換させるためには重要だと思います。私は、自民党に代わる政権をつくることに貢献できればと思っています。
Cさん パレスチナ問題と併せ、沖縄・名護市辺野古への新基地建設への反対運動も、継続していきたいですね。また、「高校無償化」から排除されている朝鮮学校問題に関わっていきたい。地方議会規模では、自民党を含めて超党派議員の「応援」があるのに、中央政治ではそうなっていない。そこを、地方から変えていけないかと思います。
 なかなか厳しい国会状況が続くかと思いますので、地方議会の役割はますます重要だと思います。
司会 皆さん、貴重な経験と感想を述べていただき、ありがとうございました。


緊急インタビュー

戦争に巻き込まれないために
「台湾有事」を防ぐことがカナメ

自民党長老・山崎 拓さんに聞く

 

 

 

民意は高市首相を望んだ

 高市政権はしばらく続きますよ、選挙結果は民意だから。とはいえ小選挙区制度という選挙制度の作用があって、4分の1の絶対得票数で3分の2の議席を取ったわけです。これは小選挙区制度のいわゆる一つの利点というか、そういうものではあるんですけど。小選挙区制度を中選挙区制度に戻せば、こんなことは起こらないです。 続きを読む


主張 ■ 国の根幹の大転換ねらう高市首相

新しい「日本のかたち」を対抗軸に幅広い戦線構築を

『日本の進路』編集部

 

 総選挙での自民党「圧勝」は、もっぱら高市首相の奇襲作戦の結果だ。野党はうろたえ、ちりぢりバラバラに争点なき選挙戦に突入し、政策対抗軸もないまま敗退した。
 要するに既存野党が負けたのだ。中道改革連合は新党と言っても旧態依然で限界を露呈した。「真の野党」のはずの共産・社民・れいわも後退した。参政・国民民主も議席は増やしたが、得票は予想されたほどは伸びなかった。チームみらいだけが急浮上した。
 自民党は、議席は劇的に増やした。だが、有権者の半分近くが棄権するなかで、自民党支持は全有権者の5分の1に過ぎない(比例区)。ところが小選挙区で獲得した議席は総議席の86%を占めた。この結果、小選挙区では総投票者の48%が「死票」となった。まさしく小選挙区制マジックの勝利である。他方、比例での自民党の獲得議席は37%にとどまる。
 選挙は終わったが国民の生活苦難はますますだ。発展する中国とグローバルサウス、米国の衰退など、わが国をとりまく国際環境も当然にも変わらない。
 国民は活路と希望を求めている。これは選挙結果からも明瞭に読み取れる。どのような新しい日本、国のかたちをめざすのか、その提起が「野党」勢力には求められる。奮起に期待する。
 そして、そのことは「もっとも広範な国民の連合」で、「自主・平和・民主の新しい日本」をめざすわれわれの課題そのものでもある。いまだ微力ではあるが責任を痛感する。しっかり考え、行動したい。 続きを読む


日本を変える! 政治を変える! 大討論2026開催

日本の安全保障、アジアの平和と共生をめざして

 

 「日本を変える!政治を変える!大討論2026―日本の安全保障、アジアの平和と共生をめざして―」が1月24日、都内の日本教育会館で開催された。大討論2026実行委員会主催で、会場参加100人超とオンラインで約30人が参加して今後の日本の方向性について討論を交わした。 続きを読む


長生炭鉱

政府は責任をもって遺骨収容・返還に取り組め

 

 戦時下の1942年に山口県宇部市の長生炭鉱で起きた水没事故で、祖国から動員された朝鮮人坑夫136人と日本人合わせて183人が犠牲となった。悲惨な事故から83年たった昨年の8月26日、「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」の長年の努力によって犠牲者の頭蓋骨を含む遺骨がついに発見・収容された。 続きを読む


米国のベネズエラ侵攻

米「帝国主義」の最後のあがきか

全国農団労 大谷 篤史

 

 米国トランプ大統領は1月3日、ベネズエラの首都カラカスなどを地上攻撃し、ニコラス・マドゥロ大統領と彼の妻シリア・フローレス氏を拉致誘拐した。さらに麻薬テロ共謀等の容疑で起訴までしている。主権国家を一方的に攻撃し、その国家元首を拉致し、米国の裁判にかけるという暴挙は、明らかに国際法に違反するものであり、断じて許されるものではない。 続きを読む


イスラエル出身の平和活動家ダニーさんらと

「高市発言」後の中国 上海・南京を歩く

上海交通大学副研究員 石田 隆至

 

 昨年の11月後半から、日本にいる知人から幾つか問い合わせが入るようになった。「いま中国に出かけて大丈夫だろうか」と。初めて訪中する人たちではない。何度も中国を訪れ、中国語が少し話せるような人までいた。もちろん、高市首相による「存立危機事態」発言が引き起こした日中間の関係悪化を念頭に置いている。 続きを読む


日中人民の連帯が刻まれた場所で

上海在住 中原 萌

魯迅公園内の記念時計

 「魯迅公園」を訪れるのは、8カ月の上海生活で3度目になる。池のある緑豊かな公園は、いつ訪れても賑わっている。公園の中央には「中日青年世代友好」と刻まれた記念時計が立っている。中国と日本の青年世代の友好を祝し、1984年に設置されたものだ。
 3回とも同じ時計を見ているはずなのに、毎回違う受け止め方をしている自分がいた。この8カ月間、中国で暮らし、学び、感じてきたことを振り返りながら、その変化を書き留めてみたいと思う。 続きを読む


農の衰退は、国家と社会の持続性の危機である

元福島県農協中央会会長 菅野 孝志

 

 

 

 

はじめに――「熊」に象徴される社会の後退

 「熊」という一字に象徴される2025年であった。ニュースで繰り返し報じられる、市街地を含む人里への熊の出没は、多くの人に不安と違和感を抱かせたに違いない。マクロ的には「美しい日本」が語られる一方で、こうした風景は単なる自然環境の変化として片付けることができるだろうか。 続きを読む


全国に広がった「令和の百姓一揆」

昨年は23都道府県6930人が立つ
3月29日、再び東京でトラクターデモ

全国各地でも行動を呼びかけ

 農家に欧米並みの所得補償を求める「令和の百姓一揆」実行委員会は今年3月29日、都内で再びトラクターデモ・提灯デモを計画するとともに、全国各地に同時多発の行動を呼びかけている。
 農家と消費者の連携をどう広げていくかを話し合う「全国に拡がる!令和の百姓一揆意見交換会」が昨12月17日、国会内で開かれ、オンラインも含め約120人が参加。国会議員13人も参加し連帯あいさつした。 続きを読む


新年メッセージ

新年賀詞

華語シンクタンク

華語シンクタンクの時事交流会で報告する沖縄の参議院議員伊波洋一

 新春を迎えるにあたり、北京華語シンクタンクより貴誌および読者の皆様へ心より新年のご挨拶を申し上げます。
 貴誌の事業がますます発展されますよう、また読者の皆様が春節の佳き日にご健勝でありますようお祈り申し上げます。
 華語シンクタンクを支えてくださる日本の友人の皆様のご健康とご多幸を心よりお祈りいたします。 続きを読む


新年メッセージ

軍事大国化を阻止し、
政治の変革にむけた共同の闘いを大きく前進させよう

部落解放同盟中央執行委員長 西島 藤彦

 

 昨年の参議院選挙では、衆議院に続いて「裏金問題」や統一教会との癒着などに批判が集中し、与党の過半数割れという結果となりました。その後、石破政権が退陣し、高市政権が発足しましたが、公明党が連立から離脱し、新たに日本維新の会との連立合意のもと、これまで以上に「戦争をする国」づくりがすすめられています。とくに、軍事費のGDP(国内総生産)比2%目標を前倒しで実施し、殺傷能力のある兵器の輸出のための規制緩和や「国家情報局」の新設と「スパイ防止法」の制定など、軍事大国化にむけた反動政策が強行されようとしています。 続きを読む


新年メッセージ

アジアの時代への日本からのアプローチ

沖縄社会大衆党 中央執行委員長
前参議院議員 琉球大学名誉教授 髙良 鉄美

 

 

 

 

脱亜入欧と旧暦

 2026年2月に敢えて沖縄から「明けましておめでとうございます」とご挨拶させていただきます。旧正月は例年2月初めが多いのですが、今年は2月15日に当たります。本来だと季語や季節の節目も旧暦に基づく面があるので、体感とズレが生じているのは筆者だけではないと思います。沖縄の年間行事も旧正月や旧盆(旧7月13日~15日)、トーカチ(米寿、旧8月8日)など旧暦で行われることがほとんどであり、アジアの香味、テイストが色濃く出ています。 続きを読む


尖閣諸島問題 市議会からの報告

2026年 石垣市から始まる「平和への外交」と自治体の責務

石垣市議会議員 花谷 史郎

 

 

 

 新年の幕開け、世界中に戦慄が走った。米国によるベネズエラ侵攻である。トランプ政権の「新モンロー主義」は、自国第一主義を極限まで先鋭化させ、他国に対して露骨な介入圧力という極めて危険なフェーズへと突入しています。 続きを読む