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『日本の進路』地方議員版6号
 

吉野川可動堰住民投票9割が反対!さらに白紙撤回めざし闘う

徳島市議会議員  村上 稔


 徳島市の住民投票は1月23日に実施されました。この住民投票は「吉野川可動堰建設計画の賛否を問う徳島市住民投票条例」(以降は略して住民投票条例)に基づいて行われ、その3条に「投票資格者の2分の1以上の者の投票により成立する」と異例の制限がありました。いわゆる50%条項が付けられましたので勝利か否かというのは投票率が50%達成するか否かということが最大のポイントになったわけです。自民党を中心とした可動堰推進派の人たちは50%以下にするためのボイコット運動を行いました。さらに建設大臣も住民投票をやっても結果は影響持たないよと住民運動に牽制を行いました。
 そういう非常に厳しいハードルの中での住民投票になりました。結果は投票率約55%を獲得し、さらにその投票の中の90%以上が反対票です。大きな勝利を納めることが出来ました。

自然を壊す開発に危機感を持ち運動に参加

 私は徳島生まれの徳島育ちです。学生時代は京都に行っていまして、93年に徳島に戻って来ました。
 家から第十堰までは自転車で40〜50分かかるところで小中学校の頃、何回か第十堰に行ったことがあります。小さいときは海のそばで磯を見ながら育ち自然に愛着があります。ところが、京都から帰郷すると、自然が無くなり埋め立てられ、塗りたてられており、あらためて自然が壊されているのを目の当たりにしました。故郷の自然を壊していくような開発が本当に幸せをもたらしているのかどうかということを考えはじめ、94年に吉野川シンポジウム(月刊「日本の進路」99年3月号姫野雅義さんの記事参照)があることを知り参加しました。この吉野川シンポジウム実行委員会に参加する中からいろいろな問題に関わるようになりました。住民投票の勉強会もやりました。
 一昨年の夏までに全国の11の河川にダム審議委員会というのが設置されました。このダム事業審議委員会を監視していこうと「ダム堰にみんなの意見を反映させる県民の会」(略称「県民の会」)を結成し、この世話人にも選ばれました。知事はそのダム審議委員会で可動堰が妥当であると発表しました。住民の意見を反映させるはずの審議委員会が住民の意見は開かず可動堰がいいと結論付けるのはおかしい話です。それだったら、住民投票で住民の民意をハッキリさせようということになり、一昨年の9月住民投票の会を発足させました。11月に直接請求の署名を始め、10万1535人の署名が集まりました。しかし、去年の2月8日、市議会では住民投票に賛成は16対22という形で、否決されてしまいました。

  市議会選挙で初当選し力関係は逆転、
   住民投票の勝利を予感


 4月に統一地方選があり、住民運動の側から議員を出して逆転させようと言うことになりました。しかし、なかなか逆転に足る候補者が揃わなくて、結局住民投票の会の事務局をやっていた私が仕事は損保の代理店で自営業に近いですから例え落ちてもなんとかなるだろうと言うことで候補者の一人に選ばれて闘ったわけです。
 その選挙の結果、住民投票派の議席が増えて逆転しました。そして、ようやく昨年6月の議会で住民投票条例を制定する事が出来ました。
 私が所属する会派は市民ネットワークといい5名います。その中で私が一番年少者で現在33歳です。
 選挙は先ずは名簿集めだとよくいわれます。
支持者名簿を集め2000票が当確なら二万人ぐらいの名簿を集めないと難しいと言われました。
私の場合は支持と応援を約束してくれた応援カードが900枚くらいしか集まっていなくて、これでは当選の見込みゼロだと当日まで言われました。自転車にマイクを積んで1日百回くらいとにかく辻説法を徹底しました。
 その回っているときの反応というのはかなりいい反応で2000票やそこらは入れてくれる人が居るんじゃないかという確信は持てました。結果は3000票以上の支持が寄せられ、49人中9位で上位当選出来ました。
 表だった反応とか名簿に名前を書いてくれたとかくれないとかということじゃなくて市民の意識は心の底でジワーツと変わっているんじゃないかと思います。

   市民の主権者意識が変わった

 今回の住民投票の勝利で重要なのは可動堰賛成の人も9000人以上が投票場に行ってくれたこと、住民投票で意志を表すという直接民主主義の意味を理解してくれたことが大きいと思います。賛成であっても反対であっても自分の意思を表明するために投票してくれたことは意義があると思います。
 僕の知り合いの喫茶店に僕らが作った小冊子をどーんと50冊ぐらい積み上げて置いていたんです。ところが投票日当日まで余り持って帰らないんです。ところが投票結果が出て、翌日の月曜日から皆どんどん持って帰るようになりました。足りないという注文の電話が来ました。全国的にも大きな関心事となり、吉野川と第十堰問題で興味を持ってくれた人がどーんと広がったと思うんです。今まで見過ごしていた問題を深く考え始めたと言う意味で市民の意識高揚があったんじゃないかなと思います。
 頑張れば頑張るほど効果があり、行動して結果が出てまた認識が高まっていくというこの間の徳島市民の主権者意識は大きく変わったと思います。
 僕らの市民運動はヨチヨチ歩きから始まって、大きな争点がつきつけられる中で、私自身も鍛えられましたが、自分の足で立っているという実感があります。今後の選挙のありかたも、頼まれたからとか近所だから入れるというのでなく、政策に目を向けて議員を選んでいくという投票行動に変わって行くのじゃないかと思います。
 徳島市の住民投票条例はハードルというのが余りにも高すぎます。住民投票法という法制化の動きがでていますけれども必要だと思います。但し、自治省がいうように住民投票にいろいろと変な制限条項を作ることはけしからんと思います。住民の側から提案し住民投票条例法を作るということが大事じゃないかと思います。

  さらに白紙撤回を目指し運動を練ける

 今回住民投票の勝利によって、全国的な注目を浴び、国政レベルでも問題になっています。
 選挙も近いし自民党の術策で小手先の「中止」と言うことになったとしても本当に自分たちが勝ち取ったものにならないと思います。あくまでも白紙撤回を要求し運動を進めていきたいと思います。吉野川に関わる市町村は他にもありますので、その他の市町村に対しても第十堰を考える広がりというものを作っていきたいと思います。吉野川には可動堰はいらない。むしろこういう治水の方法が正しい、こういう風にして下さいと行政に提案しやらせるという運動にしたいと思います。
 徳島県全体で考え、住民自治で治水を考えていくそういうものを形成できて始めて本物かなと思います。
(談・文責編集部)