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自主・平和・民主のための広範な国民連合
『日本の進路』地方議員版6号
 

財政再建と石原都政

東京都議会議員  河合秀二郎


 東京都は深刻な財政危機にありますが、それをもたらした原因はいくつかあります。
 景気の低迷による税収の低下が大きくひびいています。平成12年度の都税収入はピークのときから比べると1兆円ぐらい少なくなっています。また、税財源の配分が大都市とりわけ東京に対して非常に不利な配分になっているということもあります。例えば1996年の数字だと思うんですが、東京都民および東京都の企業が国に納めている税金のうち、東京に戻ってくるのはわずか6・9%です。
 第三セクターの問題もあります。例えば、10年前ですが、臨海副都心の建設に東京都から相当の金をつぎ込みました。当初は臨海副都心からの収入で建設費をまかなうということでスタートしたのですが、景気が低迷し、企業進出が当初の予定よりも少なく、地価も下がるということで、結局東京都からの持ち出しになっているわけです。それが東京都の財政危機を深くしています。そういう構図は基本的には変わりませんが、量的にはかなり変わってきているのも事実です。臨海副都心を中心とした第三セクターの事業規模が縮小されて、一般会計の公共事業もピークの時から比べると1兆三千億円少なくなっています。
 さらに、国が景気対策で補正予算を組んで、各自治体に公共事業をやれというのもあります。自治体は金がないから、結局借金でまかなうわけです。その借金を返済するために、国から地方交付税が交付されますが、東京都の場合は不交付団体ですから全部自前でやらなければなりません。これが借金の返済額を増大させており、今後増えていきます。
 そういう財政状況の中で、石原知事の財政再建策が出されました。自民・公明は都議会で完全に石原与党になりましたから、石原知事の財政再建策を支持します。私どもは良い面は良い、悪い面は悪いという立場になると思います。
 東京都が銀行から借金をして利子を払っているという意味で、銀行に食い物にされている基本的な構図は変わりませんが、石原知事の平成12年度予算案では、青島知事の12年度予算案より借金を30%減らすわけです。3・9%増という国の積極予算に対して、東京都はマイナス4・9%です。我々は一旦始めた公共事業でも止めるべきものは止めるべきだと主張してきましたが、石原知事はそれを一発で停止し、公共事業を2千億円くらい減らしました。だから、すべてけしからん予算を組んだと一刀両断にやるのは難しいわけです。
 しかし、石原個人ではなく東京都知事としての発言としては、言葉に過ぎたるものがあります。中国をシナと言ったり、最近ではアメリカから押しつけられた憲法だからいよいよ改正するときが来たと発言しています。
 石原知事は他方で、横田基地の軍民共用だとか、東京の空気を汚染し公害患者を増やしているジーゼル車はノーだとか、首都圏移転に使う金があったら半分よこせとか、都民にうけるようなパフォーマンスの部分も多く、これが意外と都民に支持されています。そういう点で、石原知事はなかなかてごわい相手です。
                                           (談・文責編集部)