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『日本の進路』地方議員版5号
 

福岡県地方議員交流会の取り組み

福岡県古賀市議会議員  ぬま健司


   私たち福岡県下の地方議員有志は、10月23日、古賀市で第10回福岡県地方議員交流会を開催しました。そこで、地方議員交流会の簡単な経過とあわせて報告したいと思います。

  3年半の経過と交流会の特徴

 福岡県地方議員交流会は、1996年5月にスタートしてから3年半がたちました。「質問の内容や方法」、「視察のありかた」などについて「一度どこかで集まりませんか?」。こんなきっかけで、口コミで声をかけあい、歩み始めたのです。この交流会の確認しあってきたことは次の2点です。
 @経験を交流しあい、政策能力を高めあうゆ るやかでも長続きのする交流会にしようとい うこと、もちろん党派を超えたオープンな集 まりです。
 A市民に明らかにできないような行動はとら ない。つまり「常に自らを明らかにし、議員 としての倫理性を追求する」ことです。
 テーマの設定は、たとえば「介護保険」を取り上げたら、もう一つのテーマに「一般質問どうしていますか」などを取り上げます。明日からの実践に役立つ話題を持つ様な工夫も大切です。開催のペースは、定例議会が終了後に開催することにしています。当初は年1、2回かなと思っていたのですが、定例議会の経験も持ち寄れるのでハイペースになりました。
 開催方法も、各市町村持ち回りで、開催地の議員が会場や案内などを受け持つようにしています。開催地の議会の議員やその周辺の議員も参加しやすくなります。テーマもその地域にふさわしいテーマを選ぶこともできます。マスコミは好意的に報道してくれますので、新聞報道を見て参加される議員もいます。
 自主的に取り組む人がみな世話人です。会費制をとらず、毎回1000円の参加費を経費にあてています。
 今までに1回でも参加してくれた議員は約100名です。県下97自治体の内3分の2の議会から参加しています。もちろん市民の参加大歓迎できました。
 こうした中で、議会だよりの発行、議会会議録の図書館での閲覧、決算認定審査の重視など、交流会で得た情報がそれぞれの議会で役立つなど、「交流会メリット」がたくさんありました。議会運営などは、比較すると案外と遅れたものに気がつくことがあります。執行部が提出する決算・予算資料もずいぶんと差があります。交流会が契機で改善が進んだケースも出てきました。さらに、一般質問の準備にもおおいに役立ちます。今後は、介護保険、地方分権、合併問題などたくさんの課題が山積しています。交流会が、そうした課題に的確に対応できるような「交流と学習」の場となるよう頑張る必要があります。
 以上のようなことを心がけてきた交流会ですが、第1回から10回までの開催の経過は、次のようになっています。

【第1回】古賀町(96年5月18日)
 1.講演「福岡県の新しいマスタープランにつ  いて」・講師 河村哲夫氏(県企画部)
 2.レポート発表「ゴミ処理の問題」、「議会活  動の基本について」、「市民参加で高齢者福  祉を」
 3.分散会
【第2回】大野城市(96年10月12日)
 1.自己紹介と各自治体の状況
 2.九月定例議会の報告と問題点
【第3回】前原市(97年1月25日)
 1.決算審査、議会活動の在り方
 2.議会だよりのあり方
【第4回】行橋市(97年4月26日)
 1.予算審議の実態と経験
 2.議会だよりのあり方
【第5回】飯塚市(97年7月12日)
 1.産業廃棄物等の処理と議員の役割
 2.フリートーク・地方自治体における行革の  現状と問題点
【第6回】筑後市(97年10月18日)
 1.行財政改革と私たち
 2.一般質問、どうしてますか
【第7回】甘木市(98年1月24日)
 1.我がまちの十二月議会
 2.公的介護保険をめぐる実状と課題
【第8回】直方市(98年5月16日)
 1.講演「公的介護保険と市町村の役割」
  講師 保田井進氏(福岡県立大学学長)
 2.わがまちの新年度予算・その特徴と問題点
【第9回】筑紫野市(98年7月25日)
 1.講演「市民政治を実践する議員活動」
  講師 長谷川俊英氏(元・堺市議)
 2.「市町村の財政と予算をどう見るか」など  それぞれの議会活動について
【第10回】古賀市(99年10月23日)
 1.講演「介護保険の問題点と課題」
  講師 岡崎誠氏(安心できる介護保険の   実現を求める会世話人)
 2.筑紫野市産廃問題や開かれた議会などに  ついて

  第10回交流会の報告

 地方議員交流会は、昨年7月の筑紫野市での開催以降約1年半、統一地方選挙などをかかえちょっとお休みしていました。再度集まろうと言うことで10月23日、古賀市中央公民館で第10回交流会を開催しました。
 県内11議会から30名の議員と市民30名の計60名が参加してくれました。主催者を代表して、わたなべひろやす宮田町議があいさつしたあと、開催地の古賀市の中村隆象市長と前田宏三議長が来賓としてあいさつをされました。なお、古賀市議会からは20名中13名の議員が参加しました。
 第1部では、岡崎誠さん(安心できる介護保険の実現を求める会世話人)に「介護保険の問題点と課題」について講演していただきました。認定調査票、医師意見書、各自治体別の介護アンケート結果など24ページもの資料に基づいて、介護保険の問題点を具体的に指摘していただきました。岡崎さんは、事業計画策定に市民や介護経験者の声を反映させること、配食や日用品貸し出しなど市町村独自のサービスを取り組むこと、地方分権一括法は市町村を縛ることにもなるので注意すること、犠牲者を生み出すような介護保険の見切り発車は困る、安心できる介護保険にするために市民の声を上げていこうと呼びかけました。
 第2部では、筑紫野市の辻本美恵子市議が、2名の犠牲者(後に3名となった)を出した「筑紫野市・産廃問題」についてレポート。安定型で安全と言ってきたが犠牲者が発生。3年前に県の指導について開示請求した時は「不存在」だったが、今になって厳重注意書が出てきたなど問題点が指摘されました。また、私が、議会アンケートや議会会議録の有償頒布などこの数年の「開かれた議会に向けて」の成果をレポートしました。
 そのあと、各参加者から各議会の報告がなされました。産廃問題を抱える宮田町から筑紫野市への質問、ごみ処理場問題(三輪町)、第3セクター問題での補正予算修正案提出の経験(久山町)、初めて女性議員が誕生した経験と女性議員の役割についての問いかけ(宮田町)などなどたくさんの報告がありました。
 三輪町の佐藤司津馬町議が交流会のまとめを行いました。
 講師の岡崎さんが最後まで参加していただいたので、第2部の後半は介護保険についての質疑の時間としました。保険料の問題、民間の参入形態、ケアマネージャーと業者の癒着などについて質問が出ました。介護保険の事業計画が策定中ですので、岡崎さんの説明は地方議員にとって大変参考になりました。
 最後に、宮田町のわたなべひろやす町議が全体的な感想と次回の課題などを述べて交流会を閉会しました。

  来年2月に宮田町で開催予定

 世話人会は、第11回の交流会についてさっそく相談したところ、来年2月5日に福岡県鞍手郡宮田町で開催しようということになりました。12月定例議会を経ての開催となります。
 昨年7月以来久しぶりに開催された地方議員交流会も、ふたたび「ゆるやかでも長続きのする交流」の歩みを始めそうです。
 今後のことですが、情報誌の発行や県知事との話し合いなども実現できればと夢は広がります。