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自主・平和・民主のための広範な国民連合
『日本の進路』地方議員版5号
 
「人工島」建設計画をめぐる経過と県民投票条例制定の運動

              鹿児島市議会議員  森山きよみ

 「錦江湾は県民の宝だ」「もう錦江湾を壊してはならぬ」「人工島賛否を住民投票で」
これは、鹿児島県の地方紙に寄せられた県民の「声」の見出しのほんの一部です。今、鹿児島県民の最も大きな関心事の一つに「人工島」建設計画があります。
 この計画は、平成5年の「鹿児島港港湾計画」改訂の際に始めて位置づけられたものです。その内容は、錦江湾(鹿児島湾)を67ヘクタール埋め立てて「人工島」を建設し、その上に国際会議場。国際見本市会場、展示場等の大型施設の他大型観光船が接岸できる埠頭等を建設する計画で、鹿児島県商工会議所など県内の有力団体で構成する県開発開発促進協議会が、平成7年夏に初めて中央陳情したものです。
 しかし運輸省は、財政構造改革で公共投資見直しが叫ばれる中、大型旅客船ターミナル事業での事業採択を望んだ県に対して「国際観光船が来ない場合、島は遊休地のようになってしまう。今の利用計画では無理だ」として、認めませんでした。国のこのような姿勢を受けて、県が考え国に認めさせたのが「フロンティアランド事業(廃棄物埋立護岸事業)」という、活火山桜島が噴火のたびに排出する土石流を埋立に使うというものです。
 今回鹿児島市議会に付託された議案は、事業主体である県が、67ヘクタールの一部24.7ヘクタールについて埋め立て計画を作成し、関係自治体(鹿児島市)の同意を求めてきた議案です。鹿児島市議会では、本年三月から定例議会本会議、また開会中も関係委員会で審査を行い、本年七月一部の議員が退席する中で採決が行われました。その結果僅差で同意された案件です。審査の中で、人工島計画の問題点の内、いくつかの問題点を挙げてみます。
一、公有水面埋め立てをする場合、環境影響調査は50ヘクタールを境にその手続きが大きく変わってくることを県は、分かっていながら今回24、7ヘクタール分の工事計画しか出来ていないという理由で簡単な手続きで済ませたこと。
二、漁業補償の支払いについては、先行補償制度があるとはいえ、県は、まだ事業計画も出来ていない残りの42.3ヘクタール分から支払い、しかもその支払った金額の根拠を全く明らかにしないこと。
三、人工島を建設し、国際会議・見本市等やイベント開催さらには大型観光船が来ることなどで新たな経済効果が71億円あるとしていたものが鹿児島市議会の審査で根拠が曖昧であくまでも「期待値」であることが明らかになったこと。
四、緊急な対策として土石流の捨て場所の確保が建設の理由に挙げられていましたが、現在でも約20年間捨てる場所があることが明らかになり「人工島」建設の大きな根拠が崩れたこと。
五、鹿児島県は、現在約1兆2000億円以上の借金をしているにもかかわらず、今回24・7ヘクタール埋め立てるだけで400億円以上もかかりその多くを借金で賄おうとしていること。さらに、67ヘクタール全てを埋め立てるとなると700億円とも1000億円とも経費が係るといわれており財政負担が大きくなること。
 このような理由が挙げられていますが、県民が怒っているのはこの計画が、一部の地元経済界や政治家の推進で決まり、県民の者思を反映していないということです。
 今回、鹿児島県平和運動センター、社会民主党鹿児島県連合を始め多くの団体・個人で検討・議論し「人工島、県民投票の会」を結成し8月27日より、地方自治法に基づき県民投票条例の制定を求める署名活動を開始しました。県下各地で職場・地域・街頭などで署名活動を展開し10月15日までで約16万人の署名を集めることが出来ました。
 今日、市民の政治離れが進んでいますが、その理由として「政治が民意を正しく反映していないこと」が原因の一つに挙げられています。
今回の鹿児島県における人工島をめぐる一連の鹿児島県議会・鹿児島市議会、とりわけ県議会における審議のあり方に対しては、多くの問題点をマスコミも指摘しています。今回、県民が直接請求という手段を選択せざるを得なかったことは鹿児島における政治の貧困さが明らかになった一方、県民の政治意識の高揚以外何物でもありません。
 「人工島」建設については、まだ鹿児島県・市ともその予算はほとんど審議されていない中、今回の直接請求の著名活動に対して、多くの県民が賛同された事実を重く捉え、県議会での条例制定を強く求めるとともに各級議会で今後とも県民の付託に応える議論をしていかなくてはなりません。

経過
1982年頃から鹿児島市・商工会議所を中心に観光船埠頭を要望
91年3月    鹿児島港ウォーターフロント開発基本計画調査
【交流拠点としての人工島の構想が盛り込まれる】
93年4月    鹿児島県地方港湾審議会
93年6月    国の港湾審議会
【2005年を目標とする鹿児島港港湾計画改訂において、鹿児島港(中央港区)に人工島を位置付けた。】
96年6月    鹿児島市議会全会一致で
「第9次港湾整備五箇年計画及び第6次海岸事業五ケ年整備計画の策定に対する予算確保に関する意見書」採択
〜この間国の予算が全くつかない〜
98年度の国の予算で「鹿児島港フロンティアランド事業」が始めて認められる
約13ha桜島土石流等約310万?
99年1月22日 「公有水面埋立免許願書」が、須賀県知事から鹿児島港港湾管理者の長である須賀県知事へ提出
99年1月29日 公有水面埋立法第3条第1項の規定により須賀県知事より赤崎鹿児島市長に「意見聴取」について4ケ月以内に返事をいただきたい旨の諮問
99年2月22日 公有水面埋立法第3条第4項の規定に基ずき「同意する」という意見を付して議案提出
99年3月    市議会継続審査決定
99年5月24日 臨時義会継続審査決定
〜この間、知事と市長の公式、非公式会談〜

99年6月 7日 6月定例議会開会
99年6月21日 会期を議会史上初めて15日間(7月6日まで)延長
99年7月 9日 鹿児島市議会人工島同意案を可決
99年7月28日 条例制定目指す「県民投票の会」発足
99年8月29日 人工島県民投票条例請求へ署名運動開始
99年9月14日 運輸省、埋め立て免許を認可
99年9月16日 知事、公有水面埋め立て免許を鹿児島県に付与
99年9月19日 人工島県民投票の会 錦江湾埋め立て考えるシンポジウム開催
99年10月15日 署名数は16万人に