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自主・平和・民主のための広範な国民連合
『日本の進路』地方議員版35号(2007年5月発行)

米軍再編反対!現地レポート 入間
PAC3 自衛隊入間基地に初配備


埼玉県入間市議会議員 山下修子 氏


 基地での訓練に伴う空砲の使用について知らせが入った。基地に隣接して埼玉県の防災公園があるが、この区域からゲリラ等が進入することを想定し、警備訓練で発煙筒を使用し小銃による空砲射撃訓練を行うというものである。雨天決行。今年の1月下旬にも対ゲリラ訓練を実施した。
 ナイキ、PAC2、そして今回配備されたPAC3とミサイルは搬入されてきたが、基地周辺には今日も珍しい飛行機の飛来を求めて、カメラを手にしたマニアの人たちが腰かけていた。3月30日激しい雨の降る明け方に、ミサイル防衛計画のもとPAC3一式の積み荷はトラックと共に正門から入って行った。
 その詳細は、最後の抗議行動を行った市民20数人と埼玉新聞によって伝えられている。地元の取組みは昨年から街頭デモや集会、文書での反対の申し入れや請願と多様であったが、私は最後の日は行けなかった。呼びかけた手前、女性たちが逮捕でもされたらどうしようか心配でならなかった。
 劣化ウランの被害に苦しむこどもたちの写真展をすれば、会場にはきまって二人組が訪ねてくる。何かと用件を設けて自宅にも。イラク戦争反対や基地問題はどこに行っても私服の警官が多い。この現実は何なのか。昨年、友人が描いてくれが「入間基地から軍縮を!」の手製の横断幕を持って、福生基地に行った時は入間の比ではなかった。もっと沢山。立川自衛隊監視テント村事件を境に、ビラまきをすると激しい意見が寄せられる。事務所の電話は撤去した。苦情の対応というよりも理由は経費の節減であるが、確実に何かが変わってきている。対ゲリラの警備訓練を基地がしているとはいえ、私が知っている人たちは皆ゲリラなどではないし、破壊活動とは無縁だ。
 宇宙空間に拡大した軍備競争の愚かさを知り、核やミサイルによらない住民の安全保障を考えているが故に、戦争につながることに意志を持って反対の声を表明する過ぎない。一生懸命に行動するといつの間にか過激派になる。良識をそのように決めつける風潮に笑ってしまう。ならばみんなでそうなってしまえばと「蟻の兵隊」を上映した女性が事もなげに語っていた。4月の飯能に続き7月には入間で上映の準備がはじまる。「アメリカ主導のミサイ防衛計画からカナダはぬけたのに、この国は国内初配備の入間の後も予定通り。PAC3は射程が20キロ。日米のイージス艦が海上で迎撃ミサイルを発射し、大気圏外でもらしたのを地上でPAC3が狙う。今年度末までに首都圏の4基地に配備し、次に浜松、岐阜、春日と続く。
 今年度のMD関係予算は過去最高の1826億円。ご承知の通りミサイル防衛計画は関係企業を潤す。三菱重工はPAC3の生産を止めて欲しいが、兵器産業は膨張するばかりだ。しかも、このミサイルの精度は極めて低い。だが、アメリカ大陸で訓練をしてきた基地の第1高射群指令は、必ず的中させるとインタビューに答えている。入間から展開する先は朝霞と市ヶ谷で、その際はトラック30台で街を移動するのだそうだ。国民ホゴ計画がすでに完備しているから、どこからでもミサイルで迎撃できる。いざとなれば、自治体に事後報告。
 一見、平和そうな生活のはざまで進行している、軍国主義ニッポンの実像は、米軍再編による一体化の流れそのものである。加速されたのは「北の脅威」であり、その創出はまさに政治哲学不在の歴代内閣なのだ。いま世界に5つの非核兵器地帯がある。世界地図に色を塗ってみると、こんなにも多くの国々がと元気をもらう。おかしいのは私たちの国。
 市内には在住外国人が約1400人居る。その中には非核兵器地帯に属する国々を国籍とする人もいる。施策としては内なる国際化に時間を費やしてきたが、これからは自治体がもっと安全保障に向けて発言して行かなければならない。何よりもMDは専守防衛などとは言えない代物である!