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自主・平和・民主のための広範な国民連合
『日本の進路』地方議員版32号(2006年9月発行)

「官から民へ」?
考え直してみませんか

東京都文京区議 村越まり子


 2005年に起きた尼崎での列車転覆事故やホテル、マンションの構造設計偽装事件は、私たちに大きな衝撃を与えました。
 列車転覆事故では、民間会社となったJR西日本は利益拡大を至上命令とし、他社に勝とうと過密ダイヤを組み、運転手に少しの遅れも許さず、事故を誘発させました。また、構造設計偽装事件では、利益優先で「経済設計」の名の下に偽装を強要した建築主らに一義的な責任はあるものの、建築確認という重要な検査を民間に委ねたことが違法建築を拡大させました。
 「お役所仕事」という実態もあり「官」自身、反省すべき点は多々あります。しかし、これらの事故・事件から、「何を民に、どんな民に任せるか」「何は官ですべきか」など、私たちは、考え直す時期にきているのではないでしょうか。
 文京区では、04年に策定された新行財政改革推進計画において「区政の効率化のため300人の職員を削減。そのため、保育士57人の退職者不補充により2園を民営化」との方針が示されました。そして、保育園保護者も入った「新行財政改革における保育園のあり方検討協議会」が設けられました。
 協議の中で、区が示した民間委託にとどまらず、民間移管、独立法人化、公設公営での改革も含め、4つの手法について比較検討することを、保護者側が提案しました。そして、4手法のメリット・デメリット、長期間の財政的なシミュレーション、職員構成の経年変化等の資料作成を区職員と保護者からなるワーキング・グループが行い、様々な角度からの検討を行いました(最終報告書では、4手法のどれが一番良いかの結論は出しませんでした)。
 この間の検討の中で保護者たちが一番重要と考えたのが「保育の質」の問題です。非常勤雇用の保育士に頼る民営園での保育の継続性は難しく、「保育の質」の確保は困難なのが実情です。保育園の民営化にあたっては、どんな「民」に任せれば「保育の質」が確保できるか十分な検討が必要で、選定の基準づくりや選定作業への保護者の参加も求められています。また、「民」に任せた後の「保育の質」を確保するための第三者評価機関の設置も欠かせません。このように保育園の民営化には様々な課題があります。
 しかし、そもそも、親に代わって子どもを育てる大切な「保育」を、効率性、経済性などの観点で安易に「官から民に」していいのでしょうか。本年、7月26日、27日の両日、福岡で開催された地方議員交流会の基調講演で、品川正治氏は「教育、福祉は人間の仕事であり、これを市場原理に任せるのは許せない」と話されていました。「保育」についても、「官から民へ」、もう一度考え直してみる必要があると思います。