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自主・平和・民主のための広範な国民連合
『日本の進路』地方議員版27号(2005年5月発行)

国民保護法(保護計画)では国民を守ることはできない

島根県益田市議会議員 大久保稔


 益田市は昨年11月1日、1市2町が合併し初めての通年予算を審議する17年3月議会において、国民保護計画に関する質問から、自治体が計画することとなっている「国民(市民)保護計画」の問題点を指摘してみたい。
 簡単に振り返ってみると、平成15年6月に武力攻撃事態対処法が成立し、平成16年6月に関連する法整備として国民保護法が成立した。そして、平成16年12月に国民保護基本指針要旨を政府は発表し、平成17年2月に国民保護計画のモデル素案というものが消防庁から発表された。
昨年12月発表の基本指針要旨では、4つの攻撃事態を想定している。
 1つは、着上陸侵攻。この対応の特徴については、事前避難が必要である。避難救援対象が広範囲になる。
 2つ目の想定は、ゲリラや特殊部隊による攻撃。特徴としては事前予測が困難である。当初は屋内に一時避難をさせる。
 3つ目は、弾道ミサイル攻撃。これの特徴は目標特定が困難で、短時間で着弾をする。屋内避難を中心に考えていくと。
 4つ目は、航空機攻撃。特徴は目標特定が非常に困難で広範囲に屋内避難を指示する。
 モデル案では、24時間即応体制をとって知事判断で対処することもあるとして、住民をコンクリートづくりの施設や地下街などに避難をさせるとしている。
 都道府県においては平成17年度中に、自治体においては平成18年度中に県民そして市民保護計画をつくることとなっている。
 そこで、島根県や益田市の対応を聞いてみた。
まず島根県では、平成16年8月に市町村並びに消防本部を対象にした説明会が行われた。この中で、県が17年度中に、市町村が18年度中に策定することが示されている。
 県は平成16年12月議会で国民保護協議会設置条例並びに国民保護対策本部条例を可決している。これから着手という状態である。従って益田市に於いてはまったく触れられていない状況である。
国が示した基本指針、そしてモデル素案を見る限り、自治体では対応できないだろうというのが常識的判断である。例えば、鳥取県の検討過程で、東部3町村の住民26000人を非難させるのに11日間もかかること、東京都民1200万人が原子力発電所のある茨城県にも福島県にも新潟県にも静岡県にも近づくことなく非難することなど不可能というほかない。
 もう一つの問題点は、国や自衛隊の対応についてはかなり明確に書いてあるが、国民、住民はどう対処するのかが非常に不明確である。
 こうしたなかで平成16年6月に日本弁護士連合会は、国民保護法に関し会長声明として関連法案を含め「憲法が禁止する集団的自衛権の行使や、交戦権の行使を可能とする措置を内容とし、市民の生活や権利に対する幅広い制約を及ぼす危険性を有するものである」と指摘し「有事法制は、一般に『有事』の時のみ作用するものではなく、『平時』に於いても国民の権利自由を規制する危険性を有するものである。当連合会は、国民主権がないがしろにされることのないよう、憲法の視点から厳しく検証していく」と決意を発表している。
時あたかも、島根県議会においては、「竹島の日」条例制定に対して韓国からの猛反発で長年築き上げた友好交流の道も一気に切れた、そして新しい教科書の記述をめぐって、中国全土での反日デモなど、国際関係がきな臭くなっている。
 そして今、憲法改正が声高に叫ばれているなかで、「攻撃は最大の防御なり」という意識が潜在するのではないかと危惧するのは私だけだろうか。
いずれにしても、各自治体における「国民保護計画」が立案されるが、自治体首長、議会の任務は、住民が安心して暮らせる条件を、住民の生命財産を守ることが第一議であり、国に対しては、「有事」の事態をおこさない国際平和外交に徹していくことを強く求め続けなければならない。