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自主・平和・民主のための広範な国民連合
『日本の進路』地方議員版22号(2004年2月発行)

イラクへの自衛隊派遣に反対する

初めての憲法論議

新潟県新穂村議 斉藤孝夫


 12月定例会で、議員発議による「戦争状態のイラクへ自衛隊を派遣することに反対する意見書」が提出され、審議された。提出者は私で、2名の議員の賛成者を得た。
 新穂村議会は14名で構成され、その内、保革の割合は12対2で、圧倒的に保守派が多い。しかし今回のイラク派遣については保守の中でも賛否が分かれていた。
 私は、この意見書は何が何でも可決し、小泉首相に送りたいと、全議員に根回しをした。しかしそのことが結果的に悪かったのか、7対5(1名欠席)で否決になってしまった。だがその時に行われた討論は大変意義深いものだった。
 まず、意見書に対する反対討論をしたのは元教師で、70歳を越えた年輩議員である。その議員は、ヒトラーの例を挙げ、フセインのような野蛮な人間は、早いうちにたたいた方がよい。日米同盟を強固にする意味でも、国際貢献をするためにも自衛隊は今回派遣すべきだ、それが国益につながる、という内容であった。
 意見書に対する賛成討論をしてくれたのは60歳台後半の農業を営んでいる議員だった。その討論内容からみて、あらかじめ準備していた様子だった。彼は、平和憲法の精神を説きつつ、第9条にあきらかに抵触する自衛隊派遣は反対であり、今回の意見書には賛成であると、格調高く述べたのである。
 討論した二人は共に保守派ではあるが、憲法のとらえ方には相違があり、単純に保革のワクではイラク派遣を思考できないと感じた。
 私の住むこの小さな村の議会で、イラクへの自衛隊派遣が大きなニュースになっているとはいえ、憲法にまで言及した議論は恐らく初めてではないかと、議員間で話題になった。
 残念ながら意見書は採択されなかったが、今後活発化されるだろう改憲論議を見すえ、日本国憲法が一般村民の間でも普通に話題になるよう、私達議員は学習と啓蒙活動を怠ってはならないと思っている。