国民連合とは月刊「日本の進路」地方議員版討論の広場 集会案内 出版物案内トップ


自主・平和・民主のための広範な国民連合
『日本の進路』地方議員版20号(2003年9月発行)

特集/地方議員全国交流会

あいさつ
槙枝元文・広範な国民連合代表世話人

幅広く団結してたたかおう


 これでは日本は滅びる

 今の日本の政治は狂ってるとしか言えません。先日、イラク特措法が成立すると、小泉さんはブッシュに電話で報告し、よくやったとほめられ、派遣時期は日本にお任せ下さいと頼みました。いつ派遣するかは独立国の勝手です。この言葉だけでもブッシュの家来であることがわかります。アメリカの学者の中には「アメリカ合衆国ジャパン州」という人もいます。
 ここ数年間に日本は非常に変わりました。六〇年安保の時、岸首相は「日本国憲法がある限り、決して自衛隊を日本の領土から外へは出さない」と国会答弁しました。今、政府はそんなことは忘れてしまったのか、周辺事態法、テロ特措法、イラク特措法をつくり、自衛艦をインド洋へ派遣しています。安保条約は日本を守るためであったはずなのに、自衛隊はアメリカの戦争を支援し、アメリカの下で使われる状態になりました。これを不思議だと思わない日本の政治は狂っています。日本は憲法では民主主義ですが、今の政治の状態は超国家主義です。
 戦後、私が中学校の教員になった頃は、地方自治の任務は、住民の生活を安定させ、福祉を守り、治安を維持し、教育をすることでした。教育委員は住民が選び、警察も自治警察でした。今、地方分権といわれていますが、分権は国の権限を地方に分けてやるという言い方です。国が地方から権限をとりあげ、地方に指令するようになったのです。こういう状態になったのは五五年体制の時です。自民党の一党政権が長く続くと、与党の国会議員は勉強しなくなり、官僚が権限を握って国の政策を作るようになりました。与党議員は官僚の説明を聞き、国会で賛成するだけになりました。
 あの当時、社会党はよく勉強しました。木村経済研究所というのがあり、政府に批判的な考え方を持つ学者などを講師に呼んで、月に一〜二回は勉強会を開き、国会議員がいつも四十〜五十人は参加していました。社会党が政府を追及できたのはそういう勉強会をやっていたからです。私はこの研究所の理事長をやらせてもらいましたが、村山政権ができた時から国会議員が集まらず、代理の秘書が出てくるようになりました。政府の役人から話を聞く勉強会で忙しいというのが理由です。与党になった社会党は自分で勉強しなくなり、役人からこの法案は良いと教え込まれ、国会で賛成するだけの採決要員になってしまいました。私は木村経済研究所を解散しました。腹立たしい経験でした。
 昔の国会議員は天下国家を論じ、日本の将来を考えましたが、今はそんな国会議員はいません。二世が多く、親の地盤は継いでも意思は継がず、サラリーマン化しました。給料は高いし、与党ならば勉強もせず、賛成の手を挙げていればいい。政治をやっているのは官僚です。小泉さんは首相になった時、「自民党をつぶす」と言いましたが、期待はずれでした。彼の政策は表紙だけで中身がない。道路公団や郵便局の民営化もなしくずしです。一番いい例が特殊法人です。官僚が天下りし、月に約百五十万円の高給をもらい、赤字経営になっています。小泉さんは民営化または解散を打ち上げましたが、名前が認可法人に変わっただけでした。
 野党は民主党が約百二十人います。中には立派な人、社会党から行った人もいますが、実態は第二自民党です。重要法案も最後は通してしまい、チェック機能がありません。社会党が百二十人くらいいた時は、ある程度チェック機能を果たしていましたが、今は社民党も共産党も極めて少数です。国会議員は小選挙区制で小粒になり、自分を売り込むのに一生懸命です。これでは日本は老大国になり、アメリカの属国として滅びていきます。

 地方から声をあげよう

 今日、参加された皆さんは地方自治について一生懸命に考えておられ、社民党の人、新社会党の人、民主党の人、無所属の人もいらっしゃいます。皆さんにお願いがあります。
 私は、社民勢力が社会民主主義という政策の中で一定の幅を持ちながらも大同団結し、チェック機能が効く党勢力をつくらなければ、今の政治を変えることはできないと思っています。先日、九州ブロックを中心に、社民党、新社会党、無所属の方が集まる会を開きました。そこで、私は社民勢力を結集する必要があると提起しました。
 私は社民党そのものを大きくしたいと考えてきましたが、難しいようです。最近の辻元問題もあり、社民党もかなり傷つきました。革新的な人々の欠陥は、ちょっと意見が違うとたやすく分裂することです。新社会党の人に「一緒にならんか」と話すと、「なってもいいが、今の綱領を変えなければ」と言います。村山さんが首相になって安保条約を堅持すると言った時、私は抗議しました。自民党が綱領に憲法改正と書いていても、党首は首相になると憲法を守ると言わざるを得ないように、村山さんが首相として「当面維持する」と言うだけなら、私もしょうがないと思いますが、社民党は党の基本政策まで自衛隊容認、安保条約容認に変えてしまいました。新社会党ができたのも無理からぬところがあります。土井さんに書き直すよう何回も言い、「安保条約は終わらせます」となりました。これでいいだろうといったら、新社会党は「『終わらせます』ではなく、『破棄』でなければいけない」と言うわけです。
 私は九州で集まられた方々に言いました。今の社民党へ結集できるならそれもいいが、いろんな感情のしこりもあって無理ならば、新しく社民勢力の党をつくり、社民党も新社会党もこれに結集してはどうかと。民主党に行った人の中にも良心派がいます。しかし、中央でその話をすると「それはそうだ。槙枝さん、やってくれたらいい」と言うのですが、「自らやろう」と言わない。今の政党は中央に任せていたらどうにもなりません。社民党にしても市民派の人が非常に多くなり新しい空気を入れたのはいいのですが、一つの欠陥はどうやって党の組織を作っていくのか、党としての組織的な経験も意識もない人が多いことです。中央に頼っていてもできないから、地方からそういう声を上げようと私は強調しました。皆さんにも、地方からそういう声を上げてもらいたいというのが私のお願いです。
 皆さんは、住民に密着し、住民のための生きた政治をやっておられる。保守系は「上から言われたから」という議員が多く、上命下達になっていますが、下から突き上げていく構造にできないでしょうか。皆さんは党派は違っても住民に密着していますから、政府への要求では一致するはずです。合併問題も中央の政治をやりやすくするためではなく、合併した方が住民の暮らしがよくなるのか、合併しない方がいいのか、住民自身が考えて答えを出していく。多くのところで住民投票をやっています。住民の立場からイエスかノーか決めるのなら、保守系の人も口説けます。社民党、新社会党、民主党、無所属の人がまず団結し、保守系の人にも住民の立場に立つよう求めて決議を上げ、陳情ではなく要求として中央に突きつけていく。地方自治の原点に戻り、中央が地方から取り上げた権限を分けてもらうのではなく、これを返せと要求し提言していく。そうしないと、日本の政治はどうにもなりません。
 地方自治をやっておられる皆さんが、地方から中央へ声を上げ、仲間を増やし、課題によっては一緒にやろうと保守の人も説得し、上が動かざるを得ないところへ持っていく。社民勢力を大きく結集し、チェック機能の効く新党をつくるため全力を尽す。私はそんな気持ちでやっています。どうか頑張って下さい。(文責・編集部)