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自主・平和・民主のための広範な国民連合
『日本の進路』地方議員版12号(2001年8月発行)

小泉改革と地方自治

地方交付税削減に反対する

長崎市議会議員 草の根クラブ 中村すみ代


1、小泉「改革」は地方切捨て

 小泉内閣は、内閣発足以来80%台という国民の高支持率を背景に、「改革」パフォーマンスを演じている。しかしながら、小泉内閣が打ち出した「改革」は、真に国民が期待する暮らしや営業、平和な日本、福祉・保険・医療の充実等ではなく、内実は、6月21日に決定した経済財政諮問会議(座長小泉総理大臣)基本方針をみれば明らかなように、国民の「改革」への期待を見事に裏切る内閣になっている。この基本方針は、国際競争に勝つ多国籍大企業のための改革であり、「不良債権処理」「小さな政府」「規制緩和」等を中心にすえ、地方自治体や国民に「激痛」を強いる内容になっている。特に道路特定財源の一般財源化、地方交付税削減は地方切り捨てにつながると、市町村自治体が猛反発、7月5日には、37年ぶりに全国町村会臨時大会が開催され、地方からの怒りが噴出した。このことは、地方自治体が置かれている深刻で厳しい現実を如実に物語っているといえる。また社会保障制度改革は、老人医療費の更なる負担増等国民に医療・年金・福祉の全ての分野に苦難をもたらす内容となっている。

2、地方交付税削減の先取り

 地方交付税特別会計は、巨額の財源不足が続き、平成12年度末(2000年度)で、約42兆円という累積赤字が生じると言う。が、特別会計がこの様な深刻な事態になった主要な原因は、国策によりバブル期に有利な地方債(起債充当率75%とか、後年度の元利償還費の一部参入)といって、地方自治体に借りさせて、地方の借金を増加させ続け、その結果「基準財政需要額」が膨れ上がったことによる。その緒果、「削減」の先取りとして平成13年度から15年度までの3ヵ年間を見直し期間とする、地方交付税制度「改正」を打ち出してきた。その内容は、平成13年度で言えば、通常収支財源不足(簡単に言えば、地方交付税原資と実際の地方交付税配分額の不足額約10兆6000億円)をどう処理していくかについて、国と地方の責任分担を更に明確にしていこうということである。その結果、補填措置のしくみは、先ず平成13年度、地方交付税特別会計借入として2兆8738億円(但し平成13年度のみ、14年度15年度はしない、借入も国と地方は、2分の1ずつ借金していることをはっきりさせる)、また、新規に臨時財政対策債の発行2兆8736億円(これも国と地方が2分の1ずつ発行)等となっている。この様に地方交付税削減の先取りともいえる措置が既に進められ、地方自治体は、地方交付税額の削減と新たな赤字地方債の発行を余儀なくされた。ちなみに、このことによる影響で長崎市における平成13年度予算では、地方交付税が前年度比14億円の減、臨時財政対策債が18億9650万円、市債として増額発行せざるを得なくなった。

3、特別会計の赤字を地方に転嫁

 先述した基本方針の第4章「個性ある地方の競争」で、地方交付税について、繰り返し従来の交付税制度のしくみを次のように批判している。先程も述べたように、バブル期や臨時経済対策等国策として地方単独事業を中心に公共事業を積極的に事業化させ、大手ゼネコンや大手銀行を儲けさせるためにつくった「仕組み」を「地方の実質的負担が少ない事業にインセンティブを与え、地方が自分で効果的な事業を選択し、効率的に行っていこうという意欲を損なっている面がある」とすりかえて、あたかも、特別会計の赤字要因を、地方の「甘え」に責任があるかのような論理で、国策の失敗を地方に転嫁しているのである。本末転倒もはなはだしい。

4、小泉内閣の地方交付税削減攻撃に地方議会 も反対の声を出そう
 小泉「改革」の中身を地方議会でも明らかにして、地方切り捨てに反対の声を9月議会であげていこう。行政とも連携して地域ぐるみの闘いにしていかなければならない。