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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2008年8月号

20万隻・40万人の漁民 歴史的な全国一斉休漁
政府は存亡の危機にある漁業を守れ!
原油・食料・資源高騰に反対して国民各層は連携して闘おう


 焼け付くような日差しの中、7月15日東京日比谷野音は、「燃油高騰対策を」「漁に出れん!」のゼッケンを付け、日焼けした漁業者と関係者が全国から結集。会場は3600人の参加者と横断幕や大漁旗、プラカードで埋め尽くされた(写真)。


 漁船20万隻と漁民40万人による歴史的な全国一斉休漁。

 午前11時、会場に汽笛が鳴り響き、「燃油価格高騰から食料・漁民を守れ、『漁業経営危機突破全国漁民大会』」の開会が宣言された。
 主催者を代表して、服部郁弘・全漁連会長が「一斉休漁に入っている全国40万人の漁業者がこの大会を注目しており、われわれの要求を政府に届けなければならない。燃油価格は5年前の3倍に高騰し、漁業は存亡の危機にある。これは投機によってもたらされたものであり怒りを抑えられない。燃油はキロリットル12万円に迫り、漁業者の自助努力の限界を超えている。出漁の断念や赤字の拡大が進み、廃業が相次ぎ瀬戸際に立たされている。漁業に見切りを付ける若者が続出し、生産量が減少し、水産食料の安定供給を脅かすだけでなく、地域の経済・社会の崩壊につながる。この窮状を訴えるため歴史的な全国一斉休漁に入った。政府は漁業者の悲痛な声を受け止めてほしい。世界的な食料危機の中、自給可能な水産食料の安定供給のため、漁業・漁村を守る責務が国にはある。もはや時間はない、国に緊急対策を求める」と、訴えた。
 友誼団体として全国農協中央会や全国森林組合連合会の代表などが紹介された。
 つづいて、3名の漁業者が意見表明を行った。鹿児島県の遠洋まぐろ漁業者である早崎達哉・全国かつおまぐろ近代化協議会会長は「いまや燃油代は経費の半分に迫り、日本漁業は壊滅の危機にある。金を出せば海外の水産物が手に入る時代は過去のもの。水産物の自給率6割に満たない日本の食料危機はすでに始まっている」「俺たちには時間がなか、効果が出る緊急措置を政府に求める。これが漁民の悲痛な叫びだ。緊急措置をどけんことしてでも勝ち取ろう」と訴えた。
 石川県漁協の岩崎富作・副組合長は「われわれ漁師は家族のため、また国民に安全でうまい魚を供給するため命がけで海に出ている」「四川大地震やミャンマー水害と同じ状況が水産業に起こっている。いますぐ政府は助けてくれ」「願いが叶うまで行動を起こそう」と訴えた。
 青森県漁協の熊谷ヒサ子・女性協会長は「人間の手で作られた燃料高騰という災害は、人間の手で一日も早く復旧する義務がある」と政府を追及し、「漁業者にとって油は命だ。それなのに燃料は高い、魚は安い。この時期に水揚げできなければ一年間生活できない。われわれに死ねと言うのか。政府は政治決断を」と政府に迫った。
 集会は、政府・国会に緊急対策を求める決議を採択(別掲)した。
 集会後、燃料高騰に抗議し、国に緊急対策を求めて、参加者は農林水産省前などを通るコースをデモ行進した(写真)。

 高騰の責任は米国と対米追随政治
 国民各層は連携して闘おう

 原油、食料、資源の高騰は、国民生活を圧迫している。とくに漁民、農民、運輸業など中小企業を直撃し、廃業や倒産に追い込まれたところも相次いでいる。
 原油高騰は自然現象ではない。米国の連邦準備理事会(FRB)と金融機関、それに米国政府だ。米国の金融機関は、昨年夏以降のサブプライムローン危機で莫大な不良債権をかかえて破綻寸前に陥った。それを救済するため、FRBは超低金利(実質マイナス金利)で数10兆ドルという巨額の資金を金融機関に供給した。大銀行など金融機関は、その資金を元手に、原油やトウモロコシなどの先物商品取引に投機し、莫大な利益を手にしている。
 事実、原油は原油は1年弱で2・5倍になった。トウモロコシなど穀物も高騰し、世界的な食料危機を引き起こした。世界各地で食料危機で暴動すら起こっている。
 諸悪の根源は、米国のFRBと大銀行など金融機関であり、それを支援している米国政府である。その米国に追随する日本政府と、資源高騰で空前の利益を上げている大手商社も同罪だ。
 原油、食料、資源高騰に国民の怒りが高まっている。存亡の危機にある漁民は、全漁連など40万人の歴史的な一斉休漁で、政府に燃料高騰の補てんなどを迫った。同様に農民も、原油・飼料穀物など高騰に抗議し、政府に緊急対策を求め全国各地で立ち上がっている。農産物や水産物の自由化を進め、今日の農業と漁業の現状を作り出したのは、米国追随の日本政府の責任である。労働者、農民、漁民、中小零細企業など国民各層が連携して、闘おう。

全国に先立ち福岡の漁民が決起

 7月15日の全国大会に先立って7月12日、福岡で「燃料価格暴騰から食料・漁民を守れ!」と福岡県漁業経営危機突破漁民大会が開かれた。県下の全38漁協に所属する漁船7千隻が一斉休漁に入り、集会には、福岡県漁連、福岡県有明海漁連など県内各漁業団体など400名が参加した。
 主催者あいさつで森勘一・福岡県漁連会長は、「沿岸漁業は資源減少、魚価安、高齢化、燃油高騰で危機的状況だ。とくに先物投機による価格上昇はとどまるところを知らない。燃油価格は5年前の3倍になり、出漁見合わせや廃業を余儀なくされている。政府に対して沿岸漁業を守り、安心して漁業ができるよう抜本的な燃油対策を要求する」と訴えた。
 つづいて福岡市漁協や鐘崎漁協など県内各地から5名の漁民が意見表明にたち、口々に燃油高騰で経営が成り立たなくなっている実情が報告された。まき網漁業の漁民は「サブプライムローンの破たんが、穀物の高騰や途上国の飢餓、原油価格の高騰を招いている。一部投資家が株から先物に投機を移している。エンジンの回転数を落とすなどしているが、焼け石に水。このままでは倒産する。政府は海岸清掃2日でドラム缶1本支援するなどといっているが、姑息な対策ではダメだ。抜本的な対策が必要だ」と今日の燃油高の原因が投機によるものであることを明確に指摘して、政府に対する抜本策を要求した。
 「わが国沿岸漁業の存続のため、漁業用燃油に対し、直接価格補填等による緊急かつ大型の支援施策を講ずること」という決議が採択された。
 一方、来賓の自民党国会議員からは、選挙を意識してか「臨時国会での補正予算」や「特別立法」などの発言が相次いだ。だが、今日の原油高の根本原因がアメリカ経済の危機、金融機関救済のためにつくられた投機であることには誰も触れず、漁民たちの訴えとは対照的だった。
 集会後、福岡市内をデモ行進(写真上)。「水産食料の安定供給に、国は責任を果たせ!」「国は漁業を守れ!」「価格の上昇分を、国は直接補填せよ!」「食糧生産を担う漁業を守れ!」の漁民のシュプレヒコールが響き渡った。
 こうした農漁民の切実な声をあつめ広範な連携をつくりだす国民連合の役割がいまこそ求められている。

 このままでは廃業沖縄でも決起大会

 沖縄では7月11日、「燃油暴騰対策県漁業者総決起大会」(主催・県漁業協同組合連合会、県漁業協同組合長会)が、那覇市の泊魚市場で開かれ、県内の漁業関係者400人以上が参加した。下地敏彦・県漁連会長は、価格転嫁の難しさや制限水域の存在など沖縄の特殊事情を訴え、「漁業が成り立たなくなれば、水産食料が食卓から姿を消すだけでなく県民生活にも影響は大きい」と訴えた。大会では、燃油価格高騰に対する補填措置や、県市町村による国の施策に呼応した対策を求める決議を採択した。