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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2008年1月号

岩国国の仕打ちに怒りの1万人集会
 


 12月1日(土)午後2時から、岩国市で「国の仕打ちに怒りの1万人集会in錦帯橋」が開催されました。錦帯橋の架かる錦川の河原には岩国市民や全国からの支援の人々が1万1千人結集しました。
 厚木からの米空母艦載機移転の容認を迫り「岩国市の新庁舎建設補助金35億円の突然のカット」という「アメとムチ」政策で地元住民の声を無視し、米軍再編を推し進めようとする国に対して抗議するためです。艦載機移転反対派の岩国市議員が中心になって市民団体などと実行委員会が結成され、党派を越えた市民の集会として開催されました。
 集会前には地元の書道家が十畳大の「怒」の文字を大書して土手の斜面に掲げたり、歌などで盛り上げました。お年寄りや子供の姿も目立ち、家族ぐるみで参加した人達も多かったようです。
 集会は実行委員会の岡田久男代表の挨拶で始まりました。続いて、今後の闘いへの決意を込めて髪を切り坊主頭にした井原勝介岩国市長が力強い挨拶を行いました。井原市長の強い決意に、会場のあちらこちらから激励の声が飛び交い、拍手はしばらく鳴り止みませんでした。その後、応援にかけつけた9名の国会議員によるリレートークが行われました。
 岩国がかかえているもう一つの大きな問題として、愛宕山地域開発事業があります。宅地造成が中止され、跡地が米軍住宅に転用されようとしています。愛宕山開発事業地と隣りあわせで生活する牛野谷町百合ヶ丘自治会の福田雅美副会長が、岩国市民のひとり、幼い子供を持つ母親として発言しました。
 次に「怒りの1万人集会アピール」が読み上げられ、集会参加者全員の熱い拍手で採択されました。
 国の仕打ちはぁー
 許さんどぉー
1万1千の叫びがひとつになって響き渡り、「怒」の文字が河原一面に広がりました。岩国市民の怒りを、抗議の意思を示しました。
最後に集会参加者全員が「故郷」を大合唱しました。
 山は清きふるさとぉー
 水は清きふるさとぉー
絶対にこの故郷を守るぞとの願いと決意を込めて。


 実行委員会代表 岡田久男さん

 本日の集会は岩国市の市民生活を守り、岩国市の地方自治を守る大切な集会です。本日参加されていない小学生、中学生、高校生に、この集会の意味をわかりやすく伝えてください。この艦載機移転を受け入れて犠牲になるのは私たちの子供や孫たちです。
 国は沖縄の「集団自決」の真実を曲げて伝えようとする教科書を作らせました。沖縄の市民は10万人の大集会を開いて抗議の声をあげました。すると国はこれを修正せざるをえなくなったのです。
 私たちは無理を通して道理を引っ込めるわけにはいかないのです。正しい世論を盛り上げましょう。将来の子供たちを守りましょう。私たちは、沖縄の市民の方々、神奈川県の座間市の市民の方々と緊密に連携しあって、平和な岩国市になるよう、平和な岩国市を次の世代に残してゆくようにしなければなりません、みなさん頑張りましょう。

 岩国市長 井原勝介さん

 私が集会をやってもせいぜい千人ぐらい。こんなに集まっていただいて大感激です。大変ありがとうございます。
 ここは岩国の誇る錦帯橋のほとりです。世界中どこを探してもないような300年の歴史を誇るすばらしい橋です。今、これを世界遺産にする努力をしているところです。
 岩国市は今、米軍再編をめぐって大きく苦しんでいます。苦悩しているといっても過言ではありません。岩国の市民は長年、基地にも協力してきました。しかし、地域住民の安心、安全を守るということは基本的な問題です。それなくして岩国の発展はありません。今度の負担はあまりにも大きすぎる。とても耐えられるものではありません。これまで協力してきたが、今回だけは我慢ができない、というのが岩国市民の、特に基地周辺の住民の皆さんの切実な、痛切な思いだったと思います。
 それを端的に示したのが2年前の住民投票でした。岩国はあれだけ圧倒的な意思を示しました。民意は国政においても市政においても重いものだと思います。ところが、国の言うことを聞かないからといって、建設中の市庁舎の補助金が3年目において突然カットされるという、信じられないような強硬な措置がとられました。
 今問題になっている守屋前防衛事務次官がかなりリードして、米軍再編全体を進められた、とも言われています。この補助金カットは、強引な手法の象徴的な例ではないかと思われます。アメとムチの手法で市民の意思を押さえつけようとする。これは国民や市民の付託を受けた国がおこなうべき措置ではないと思います。そんなやり方では決していい結果は生まれません。
 米軍再編を考えるポイントは、国の安全保障と地域住民の生活の安全、安心、これをいかに調整するか、バランスをとるかであって、お金だとか、圧力だとかで左右すべき問題ではありません。納得のいく解決策が得られないかぎり、私は前へ進むことはできません。お金で取引するような問題ではありません。国が決めたことだから、来るものは来るから、お金をもらったほうがよいなどという、市民をあきらめさせるような政治は絶対にしてはいけない。
 私たちは豊かで、安心して平和に暮らせる、平穏な生活を望んでいます。そのためには何が大事か、どうすればよいか、私たち一人一人が自由に生き方を決め、そしてその町のあり方、未来を自由に選択することができる、そういう社会でなければなりません。そしてそれを保障し守ることができるのは、市民の声が本当に大切にされる真の民主主義の仕組みがあってこそです。
 岩国の市民はしばらくずっと、おとなしかったと言われています。でも今回の件を契機にして、あの住民投票を契機にして、もう既存の政治にはまかせておけない、自らの町の未来は自らの手で選択する、と強い意思を示しました。それがあの住民投票でした。この重い民意は国も地方も尊重して対応すべきことなのに、逆に、国の大きな圧力の前に岩国の市民は今苦悩しています。四苦八苦している状況にあります。財政的なピンチを前に市民が不安に思うのは無理もありません。しかし、この大切な問題は絶対にあきらめてはなりません。納得ができなければ絶対に前へ進んではいけません。
 今そういう中で、市民の中から、そうした国の大きな力に負けないで岩国の心意気を示していこう、お金が出ないなら自ら35億円集めてやろう、という力強い自主的な動きもおこっています。さっきから募金箱を持って回っています。応援をよろしくお願いします。これはもう、一岩国の問題ではないと思います。地方自治、民主主義という観点からは、全国どこででも起こりうる問題、全国共通の問題です。皆さん、岩国と一緒に考え一緒に行動してください。
 市民の皆さんも含めてこんなに大勢のみなさんが集まっていただいて、10万人ではない、100万の味方を得た思いです。感激しています。すべての人が岩国の問題に関心をもっていただいて、危機感をもっていただいて、なんとか応援したいとここに集まっていただいたんだと思います。12月1日、私は今日が日本の自立した新しい民主主義の輝かしい第一歩になるのではないかと、ここに立って感じています。決してなまやさしいことではありません。長く厳しい道のりになるかもしれませんが、わたしはこの決意で、髪をバッサリおとしました。あくまで市民を守るために、この身を挺して頑張ります。
 ご参集の皆様方、私たち自らの手で新しい民主主義を勝ち取ろうではありませんか。よろしくお願いします。ありがとうございます。

 牛野谷町百合ヶ丘自治会副会長 福田雅美さん

 今日、私はいつもおつきあいさせていただいている20代から90代までのご近所の代表として、また学校区内に基地をかかえる学校のPTAとして、家族や子供たちに安全な食生活を提供する母親として、そしてなによりわが子を含め地域の子供たちの安全な未来を守るために、みんなの少しずつの勇気を合体させて、本日、私がこの役目を引き受けました。
 皆様のご記憶にも新しい住民投票、この日が、私たち岩国の一般市民の生きるという姿勢に、大きな勇
気と変化を与えたと思います。
 小さい時に、私たちは学校で平等とか平和とか正義について学んだはずです。みんなで決めた約束は守ること。それで一人一人の信頼、クラスや学校の秩序、平等という安心が生まれてくるのだと学びました。
 10年前の、空中給油機を受け入れるかわりに交付金を受け取るという約束は、どうなったのでしょうか。艦載機移駐の受け入れは市民の総意で反対したことなのに、国は艦載機の受け入れを容認しないと交付金は出さないと言っています。国の理不尽な一言で、交付金は今止まっています。
 子供はおとなの背中を見て育ちます。百のいいわけより一つの信頼です。それぞれが信頼しあわないと社会は成り立ちません。日本の教育を考えるなら、今、約束を守る国の正義を見せてください。


怒りの1万人集会アピール

 いま、岩国市は4度にわたって予算案が否決され、財政は重大な局面を迎えています。
 このような混乱の原因は、約束を守らない国にあります。庁舎建設補助金は、KC─130空中給油機移駐のみかえりとして国が約束し、すでに2回にわたり14億円が交付されています。米軍再編はそのあとに出て来た話です。
 また、混乱を招いたもうひとつの原因は、市の予算案を否決した議員にあります。艦載機受け入れ容認派の議員は「民意は変わった」と言いますが、旧岩国市議会で「艦載機受け入れ反対」を全会一致で決議したことを忘れたのでしょうか。今回の市議会議員選挙で「反対」を表明しながら、予算案を否決して容認を迫ることなどをみても、変わったのは民意ではなく、そうした議員のほうです。
 国や県の圧力に対して市民の安全・安心を守ろうと立ち向かう井原市長を、リコールするという動きにも負けられません。
 この清流錦川や錦帯橋のまち岩国を、極東一の米軍基地にしていいのでしょうか。愛宕山に米軍住宅などもってのほかです。米兵4人による女性暴行事件のように、日本の法律が適応されない治外法権の状態は許せません。日米地位協定の見直しを求めます。
 去る25日には沖縄で基地を囲む人間の鎖行動が行われ、明日は神奈川の座間市で2万人の集会が開かれます。私たちは多くの市民と手を携えて、また全国の運動にも励まされて、必ず35億円の庁舎建設補助金を国に出させるまで運動を強めていく決意です。同時に、「国の仕打ちに怒りの1万人集会」の名において、全国の皆さんに呼びかけ、庁舎建設資金を自らの力で作り出すために、全力を尽くすことを宣言します。