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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2007年10月号

教科書検定意見撤回を求める県民大会 参加者の声5

「集団自決」は日本軍の関与で起こった

元県労金理事長 嘉陽田朝博


 日本の戦後は、第二次世界大戦の教訓に学びスタートした。1947年5月3日、主権在民・戦争放棄・基本的人権の尊重を原則として日本国憲法が施行され、私たち国民はひたすらこれを守り続けてきた。しかし、最近の日本の政治状況は、復古主義を掲げる新保守主義が胎動し、一連の憲法改悪の動きに見られるように、右傾化を強めている。
 ところで、文部科学省は今年の高等学校の教科書検定で、沖縄戦における「集団自決」の記述について、日本軍による命令・強制・誘導の表現を削除させた。しかし、沖縄戦の体験者の証言をはじめ、1982年の教科書検定や89年の家永裁判の最高裁判決でも「集団自決」・「住民殺害」への日本軍の関与が認められている。今回の教科書検定意見は、死者を冒涜し、歴史の事実をわい曲する暴挙であり、権力の乱用と言っても決して過言ではない。
 去る9月29日、宜野湾市海浜公園で「教科書検定意見撤回要求県民大会」が開催された。今大会は、保革の枠を超え県内24団体で実行委員会を作って取り組まれ、予想を上回る11万人余が参加した。このように大会が盛り上がったのは、多くの県民が沖縄の集団自決」が教科書から削除・修正されようとしていることに強い憤りを感じたからである。同時に超党派の実行委員会では言及していないが、米軍再編による新たな基地建設などへのうっ積した憤懣の現れでもあったと思う。
 大会終了後、仲井真県知事も「爆発寸前のマグマ」を感じたと言っているように、大きな山が動き出した。しかし、私たちの目標は大会の成功ではなく、あくまでも教科書検定意見の撤回と記述の復活であり、大会はその第一歩である。元ドイツ大統領のワイッツゼッカーは「過去に目を閉じる者は、未来を失う」と言っている。日本政府は謙虚に反省し、自らの責任で教科書検定意見を撤回すべきであることは言うまでもない。要求実現のために、今後とも県内外での持続的な運動が強く求められている。