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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2007年8月号

名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟の現状

支援する会共同代表  寺尾 光身


 1.事実

 前大戦末期に、朝鮮から国民学校(今の小学校)を出たばかりの少女たちを、日本に行けば女学校に通わせてもらえる、お腹いっぱい食べられる、給料ももらえる、とだまして日本に連れてきて軍用機生産に当たらせました。勧誘の言葉とは裏腹に、学校には行かせてもらえず、お腹をすかせながらの厳しい労働の毎日でした。東南海大地震では死者も出、また空襲で怖い目にも遭いました。敗戦後は着のみ着のままで朝鮮に帰され、あとから送ると言われた給料も手にすることはありませんでした。朝鮮に帰ってからも、勤労挺身隊は従軍慰安婦だ、との誤解が流布されていたため、勤労挺身隊に行っていたことを明かすことができず、結婚もままならず、なんとか結婚しても夫に知られて家庭を破壊された方もいました。勤労挺身隊としての被害は戦中にとどまらず、今も続いているのです。

 2.裁判の経過

 それでも彼女たちは勇気を奮い起こし、加害者である日本国と三菱重工業株式会社に謝罪と補償を求めて名古屋地裁に提訴しました。一九九九年三月のことです。国は国家無答責、三菱重工は当時の会社と現在の会社は法人が異なるから責任はない、との別会社論その他で、逃げ回りました。結果は、日韓請求権協定があるので請求することはできないという敗訴判決でした。しかし判決の中で、被告の国・三菱重工の加害事実は認めました。原告の皆さんの落胆は大変なものでしたが、全員名古屋高裁に控訴しました。
 五月三十一日の控訴審判決は結論は変わらず、日韓請求権協定によって原告には請求の権利がない、というものでした。それでも判決文の内容は一審の判決をさらに推し進め、被告の国と三菱が原告に行った行為は強制連行、強制労働に当たり、強制労働に関する国際条約であるILO29号条約にも違反し、個人の尊厳を否定し、正義・公正に著しく反する行為だと断じました。しかし原告の要求は却下されたことには変わりなく、直ちに最高裁に控訴しました。この四月、最高裁は西松建設訴訟を始めとする中国人強制連行や慰安婦訴訟で裁判官談合とも取れる軒並み原告敗訴としましたが、名古屋高裁判決もこれを踏襲するものでした。

 3.これから

 最高裁の判断には全く期待できませんが、原告の正当な主張はあくまで訴えてゆきたい、との想いからの最高裁控訴です。それと同時に、ILOにも働きかける準備を行っています。単なる強制連行強制労働ではなく、女性しかも年少者に対するもので大変悪質です。また高裁は国・三菱重工の道義的責任をはっきり認めているので、強制連行強制労働の他の被害者と手を携えて、国には特別行政措置や救済立法化を求め、企業には救済基金設立を求めてゆきます。当時十歳台前半だった乙女たちも今や八十歳に近く、亡くなった方、入院されている方もいらっしゃいます。もう時間がない、というのが実感です。毎週金曜日朝、品川駅頭と三菱重工本社前で街宣要請行動を行っています。私たちには、この運動が日本人の尊厳を回復する闘いでもあることを自覚した、一層の努力が求められています。