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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2007年7月号

食と農と暮らしを守る県民大会に一万人が結集
WTO・EPAで沖縄の農業をつぶすな

JA沖縄農政部次長  嵩原 義信さん


 日豪EPA(経済連携協定)交渉での重要品目の関税撤廃に反対する闘いが全国で高まっている。一万人の県民大会が開催されたJA沖縄中央会の嵩原義信農政部次長に話を聞いた。文責編集部。

(写真はJA沖縄中央会農政部提供)

 日豪EPA交渉で、もし重要品目の関税が撤廃された場合、沖縄県の損害は農産物で二百二十九億円、関連産業なども含めると七百八十一億円と試算されています。その八割がサトウキビ、残りが肉用牛、パイナップルです。沖縄の場合、台風の常襲地域でサトウキビに替わる代替作物はありません。サトウキビは製糖工場も含めて沖縄の基幹産業です。もし砂糖の関税が撤廃されれば、安いオーストラリア産砂糖に太刀打ちできず、壊滅的打撃を受けます。酪農やパイナップルも同様です。関連産業の製糖工場なども成り立たなくなり、いまでも全国一の失業率がさらに悪化します。
 こうした状況をなんとしても阻止するために、那覇市で「食と農と暮らしを守る6・16沖縄県民大会」を開催し、一万人が参加しました(写真上)。県とJA沖縄中央会など十団体による実行委員会の主催、経済団体、消費者団体、労働組合の連合沖縄など三十数団体の共催でした。
 参加者一万人という規模は、日豪EPA問題では全国最大規模です。農業問題で一万人規模の県民大会が開かれるのは一九八八年に一万三千人が参加した「パイン缶詰・果汁等農産物輸入自由化阻止沖縄県民総決起大会」以来約二十年ぶりです。それほど沖縄農業にとって危機感があります。
 主催者あいさつで、実行委員長の仲井真弘多知事は「農業振興は産業の振興や県民生活の向上のためにも重要」と強調、農業団体や行政、経済界、消費者が一体となった取り組みの必要性を指摘し、「今こそ、県民が一丸となって食料・農業と県民の暮らしを守るため、全力を挙げて取り組もう」と呼びかけました。
 金城秀之・JA沖縄中央会常務は日豪EPAなど貿易自由化交渉の情勢を報告し、「地域農業はもとより、まず離島経済が崩壊。人口流出を招き農業の多面的機能が崩壊する」と関税撤廃の阻止を訴えました。
 生産者の伊良部地区さとうきび生産組合の渡久山毅組合長は「宮古の経済を支えるサトウキビは私たち農家の命。将来に悔いを残さないよう重要品目の例外措置の確保を求めていくべきだ」と訴えました。県議会の仲里利信議長は「何万という人の雇用問題や国土問題、日本の安全保障問題まで影響する。農業だけでなく経済の根幹にかかわる一大事件。与野党を超えて県全体で取り組む必要がある」と述べました。さらに消費者代表や経済界、労働組合の代表者が連帯あいさつを行いました。
 そして「実現しよう! 地域を守る国際貿易ルールの確立を」「考えよう! 安全・安心な地域社会と食文化を」など四項目のスローガンと、サトウキビを始めとする重要品目の関税撤廃に反対して県民ぐるみの運動を展開するという大会決議を採択しました。
 大会終了後は約六千人がトラクターを先頭に、県庁前広場までデモ行進を行い、県内農業に与える深刻な影響を訴えました(写真左)。
 沖縄では四十市町村議会で、サトウキビ、肉用牛、酪農、パイナップルの四品目の関税撤廃の除外を求める日豪EPA交渉に関する意見書を採択しています。
 今後については、県民大会の決議文を主要官庁に送り、実行委員会の代表が上京して要請活動を行う予定です。      (文責編集部)


新潟県では六会場、二千百人
 JA新潟中央会と新潟県JA農政対策本部委員会は、六月十六日、県内四カ所で「WTO・EPA対策、農政危機突破JAグループ新潟・緊急集会」を開き、生産者やJA青年部・女性部など参加した。また十七日にも二カ所でも集会を行い、六会場であわせて二千百人が参加した。
 JA魚沼地区集会では、星野忠和JA組合長が「農業を破壊させてはならない。団結力と闘争心を結集して目的を達成しよう」と訴えた。