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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2007年3月号

JA全青協が千人のデモ行進
日本の農業・重要品目を守れ!


 世界貿易機関(WTO)や経済連携協定(EPA)など緊迫化する国際交渉や、国内農政の大転換期という状況の中で、二月十四日、JA全青協主催の第五三回JA全国青年大会が開かれた。日比谷公会堂には全国から約千二百人の青年部員が参加した。全青協の矢木龍一会長は「農業者の直面する状況は厳しい。農業や地域を支える我らが、問題意識を共有し行動しよう」と呼びかけた。
 十五日は、食料・農業・農村に対する国民的理解を広げるため東京都心で千人のパレードを行った(写真)。とくに焦点となっているオーストラリアとのEPA交渉の結果が、日本の食料と農業を大きく揺るがすことを訴え、重要品目の例外扱いをアピールした。
 パレード終了後、矢木会長と各ブロック代表らが東京港区のオーストラリア大使館を訪問し、主席公使に対して「米の生産調整を行いながら小麦・大豆生産をやっている中で、これ以上の輸入増加は受け入れられない」「牛肉や乳製品、小麦、砂糖などの重要品目の関税引き下げ・撤廃は困難だ」と重要品目の例外扱いを要請した。



農産物の関税全廃―農水省の試算
自給率 12%、農業生産額四割減、三七五万人が失業



 日本が万一、世界貿易機関(WTO)や経済連携協定(EPA)などの国際交渉で、農産物の関税などの国境措置を全面撤廃したらどうなるか、二月二十六日農水省が試算結果を発表した。
 国内の農業生産額は年間三兆六千億円(四割)も縮小するという。内外価格差が大きい米、麦、砂糖、牛肉、乳製品などの品目で国内生産が崩壊する。例えば、米生産は自家消費分などしか残らない。その結果、食料自給率は先進国で最低の四〇%から一二%にまで落ち込み、食料安全保障は完全に崩壊する。
 国内農業の縮小に伴い、生産資材や資料、農業機械などの製造業や運送業にも大きな影響が出る。農村部を中心に国内総生産(GDP)は約九兆円減少し、全就業者数の五・五%に相当する約三七五万人が失業するという。
 地域別では、北海道を筆頭に、東北、九州、沖縄、中国、四国で大きな打撃が出るとのこと。つまり、現在でも拡大している地域間格差が一層広がることになる。
 安倍政権の農業政策は、昨年十月の経済財政諮問会議で打ち出された七大重点改革の中にある。「アジアを中心にEPAを加速、WTO推進」、「輸出できる強い農業」、「国境措置に依存しない農業」という内容だ。国境措置(関税)に依存せず、競争するということは、大部分の農家をつぶすということだ。安倍政権は、さっそくオーストラリアとの日豪EPA交渉入りを決めた。
 農民は農業と農民の暮らしを守るため、日豪FTA交渉を進めて多国籍大企業のための安倍政権に反対して立ち上がっている。日豪FTA交渉に反対し、農民の闘いを断固として支持しよう。韓国では米韓FTA交渉に反対して、農民と労働者が連携して闘っている。労働者が、農民が、中小企業・零細商工業者が互いの闘いを支持しあい、国民大多数の暮らしを破壊する共通の敵、安倍政権を打ち破るため、連携して闘おう。