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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2006年6月号

各地の集会

三重/東京/高知/長崎/神奈川

三重
沖縄・岩国からの現地報告
ピースネット5・3市民のつどい

 恒例になった「ピースネット5・3市民のつどい」が今年も盛大に開催されました。広範な国民連合・三重など二十二の市民団体が参加する実行委員会の主催です。当日は二百二十名をこえる参加者とケーブルTVや新聞各社が取材に訪れ、関心の高さがうかがえました。
 今年で五回目になる「市民のつどい」ですが、かつてない大きな盛り上がりとなった背景には、在日米軍再編が日米の軍事一体化と基地強化の危険な企てが明らかになり、全国各地で地域ぐるみの闘いが巻き起こっていることが挙げられます。もう一つには、依頼した講師陣とその講演内容が時宜にかなった企画であったことです。「ストップ!米軍再編、見せつけた住民パワー」をテーマに現地報告をしてくれたのが、大川清さん(岩国住民投票の成果を生かす会共同代表)。そして沖縄からは、辺野古でボーリング阻止闘争を闘い抜いている平良夏芽さん(沖縄平和市民連絡会共同代表)の両氏に現地からの闘いの報告をしていただきました。
 大川さんは、九〇年代後半から岩国の沖合で基地が拡張されてきた背景を語り、「安全、騒音対策の裏で、市民はだまされてきた」「米兵が引き起こす暴行事件や事故で市民生活を脅かし続けてきた」と訴え、国のエゴを押しつける強引なやり方に「これからが正念場である」と強調しました。
 平良さんは、「全国で、憲法九条を守らないと戦争ができる国になると言われているだろうが、すでに日の丸をつけた飛行機が、完全武装の米兵を運んでいる」とイラクへの自衛隊派遣を取り上げ、「私たちはとっくに加害者にさせられている」と訴えました。米軍ヘリ基地の予定地になった沖縄・辺野古での身体を張った阻止闘争を紹介し、「反対を叫ぶだけでなく、本当に平和をつくる覚悟と行動が必要だ」と訴えました。両氏の発言に共通するのは「平和は守るものではなく、私たち国民が団結して命がけで闘い取るものである」ということです。
 憲法九条を守ろうという「受身の護憲主義」では真の平和は勝ち取れないという言葉に衝撃と感動を与えられた内容のある現地報告でした。


東京
平和憲法と日本の存亡
憲法九条・米軍再編・基地問題を考える

 五月九日、参議院議員会館で「平和憲法と日本の存亡―憲法九条・米軍再編・基地問題を考える」が開催された。主催は、新ガイドラインに反対し、平和憲法をまもる市民と団体の会。
 紀平悌子氏の主催者あいさつのあと、鷲野忠雄弁護士の司会で、パネラーの藤森研・朝日新聞社編集委員と竹岡勝美・元防衛庁官房長によるパネルディスカッションが行われた。
 藤森氏は「国会議員の七割以上が九条を含めて改正に賛成と言われている。一方、新聞各社の憲法世論調査の結果では、国民の六割が憲法九条を守りたいと答えている。この落差をどう見るか。九〇年代とは最近は変わりはじめている。全国四十三社の社説・主張・論説を分析すると、護憲論が十六社、護憲的論憲論が十五社、改憲的論憲論が四社、改憲論が五社。社の数では四分の三、部数では護憲と護憲的論憲論の合計が六〇%、改憲的論憲論の合計が四〇%。地方紙を含めて全体で見ると六割が憲法九条を変えないという論調で、世論調査と一致している。一般国民は冷静で、護憲派が少しずつだが増えている」と指摘した。
 竹岡氏は、「日本は自衛力だけ持てばよい。海外で戦わず、国内の防衛だけ行い、平和憲法を守るべきではないか。過去六十年間一人も殺すことなく、また殺されることなくきたことを誇りにすべきだ。冷戦が終わり仮想敵国がなくなったのに、在日米軍はいつまでいるのか。日本は国内で八十八カ所も米軍に土地を貸しており、年間六兆円も払い続けている」「日本の有事とは何か。アメリカが戦争をするときこそ日本が戦場になる。過去の戦争で同胞が三百五十万人死亡し、二千万人のアジアの人々を殺した。北朝鮮と韓国が融和しようとしている。ロシア、中国、北朝鮮は仮想敵国ではない」と指摘した。
 質議の後、憲法九条を中心とする平和憲法を国民の手で守り抜く決意を参加者一同で決議した。



高知
心で聴いた品川正治氏講演会
「憲法改悪にものもうす」

 経済界からの発言として、高知で初めて品川正治氏の講演会をしました。演題は、「憲法改悪にものもうす」。憲法九条を守るという立場を打ち出しての宣伝をしていきました。五月十三日の当日は、二百人の人々が集まって品川さんの話に耳を傾けました。
 品川さんの講演は、すべて自分の体験や現実の経済活動の中から帰結した、論理、結論、そして品川さん自身のさまざまな思いでした。明快な論旨、整然とした論理、そしてどのような場面においても、人間を大切にするのだという思いが貫徹されていました。
 品川さんの哲学と深い人間性を伴った言葉のひとつひとつは、聞く人の胸に響いて心を揺さぶり、深い感動を与えました。それは、言葉を理解するというだけでなく、まさに言葉を心で聴いているという会場の人々の雰囲気が伝わってくるものでした。会場には、目が見えない一組の夫婦の参加があり、「えっ、もう二時間もたったの?」と言ったほどでした。
 地元の新聞は、翌日、記事にしただけでなく、講演の詳細を後日掲載すると書き込みがありました。新聞記者の胸にも、響いてくるものがあったのです。
 以下、参加者のアンケートの一部を紹介します。(松尾美絵)

◆経済界の代表の方からの心強いお話、大変勇気づけられました。絶対に憲法改悪を許さないよう頑張っていきたいといつも思っています(二十歳代、女性)
◆九条二項に対する、体験からの又、企業活動からの積極的な肯定姿勢は説得力があります。九条をもつ国の「経済のあり方」は他国とはちがってくるはずだ・・・との指摘は今後、強められるべきですね(五十歳代、男性)
◆経済界の方のお話を聞き大変参考になりました。憲法、教育基本法を何としても守らなければの思いをあらたにしました。それぞれの組織や団体で、できることを精一杯やっていきましょう。(七十歳代、女性)
◆明確な主張であり、大変参考になるお話でした。財界の人達の生の声も聞けてよかった(五十歳代、男性)
◆改めて、小泉改革の本質が読めました。憲法と戦争、社会、経済、平和について方向性が明らかになった(五十歳代、男性)


長崎
米軍再編と日米関係を考える
第七回長崎・沖縄連帯集会

 「ノーと言えない日本から、自立する日本へ―米軍再編と日米関係を考える」をテーマに第七回長崎・沖縄連帯集会が、五月二十日、長崎県教育文化会館で開かれ、福井県立大学院の本山美彦教授の講演が行われ、市民ら約百二十名が参加した(写真上)。
 集会は、一九九五年の米兵による少女暴行事件後に開かれた集会などを受け継ぐ形で、広範な国民連合・長崎や労組、市民団体、個人などでつくる実行委員会が、二〇〇〇年から米軍基地問題や、日米安保等をテーマに、講演や沖縄戦の映画上映会、パネル展などを続けてきた。
 講演の中で本山教授は、「イラク戦争に従軍している若者の多くは、南太平洋や、メキシコ移民などの貧しい志願兵で構成されている。また、アメリカの市民権を得ていない多くの貧しい若者である。米国の白人議員の息子がイラク戦争にいっていますか。貧しさが戦争にかりたてている。貧しさとは、一部のエリートのために圧倒的多数の非エリートが存在しているのである。米国には、健康保険に入っていない人が約一六%もいて、病院にも行けない貧しい人が多くいることをわかってもらいたい。ようするに作り出された貧しさが、米国の戦争行為を支えている。米国の少数エリートが、世界の富を独り占めするために軍隊を強化しなければならなかった」。さらに、「イラクについての報道は米国の一部メディアが支配し、世界中に配信し、日本にもそのまま流されている。今後、NHKの民営化に成功し集大成したあとは、私たちは米国の意に沿った報道しかみることができない状況が生まれてくることになる。今、日本でメディアの再編成が本格的に始まっているのも米国の圧力と関係している」と述べた。米軍再編問題に関しては、「『不安定の弧』の防衛網を考えるとき、この地域で唯一の友達である日本に負担を強いること。さらに防衛面で沖縄に部隊を集中させると危険なので、グアムに分散駐留させようとしている」と指摘した。



神奈川
「これでいいのか日本」天木直人氏講演会

 五月二十一日、川崎市の中小企業婦人会館で「アメリカの言いなりで日米軍事一体化―これでいいのか日本」と題して、天木直人さん(元レバノン大使)の講演会が開かれた。
 天木さんは、身近な例をあげながら話を進められた。(1)米軍再編への協力は歴史に逆行する誤りである。(2)日米安保条約に縛られた日本の戦後外交について。(3)憲法九条を変えてはならない。の三点に焦点をしぼって話をされた。
 とりわけ、日本を攻撃する国があるというのではなく、国家間の戦争は簡単に始まるものではないことを、筋道を立てて説かれ、まず外交で戦争を避ける方途を講ずることが前提であり、日本は外交力でアメリカを超えることが大切で、対米従属の呪縛から解き放たれて、自主・平和外交を取り戻すこと、また憲法九条を守ることは民主革命であり、国際政治のパラダイムを変えることになる、と話を結ばれた。 


神奈川
原子力空母の横須賀母港化反対

 六月三日、神奈川県横須賀市で、原子力空母の横須賀母港化に反対する集会が行われた。主催は、原子力空母の横須賀母港化を許さない全国連絡会や三浦地区労などの四団体で、千六百人が参加した。
 集会では、原子力空母の母港問題を考える市民の会共同代表の呉等正彦・弁護士が「米海軍が原子力空母の安全性に関する文書を横須賀市に提出したが、米海軍に都合のいい一方的な情報のみで、まったく信用できない。また横須賀商工会議所と市議団有志などが原子力空母訪米調査団を米国サンディゴ市に派遣した。それらの一部が公然と原子力空母受け入れを迫る危険な動きをしている。市の態度も容認的な動きが強まっている」と危険な動きを指摘した上で、「反対署名は五十万人を超えた。市民の大多数は反対だ、市民投票を実現しよう」と呼びかけた。
 集会後、米軍基地に向けてデモ行進を行い、「空母は来るな」「米軍再編強化反対、日米軍事一体化反対」などのシュプレヒコールが響いた。