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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2006年5月号

困難を抱える小泉政権

米軍再編反対の闘いをさらに強めよう

月刊『日本の進路』編集長  川崎 正


 五月一日、日米の外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会は、米軍再編で最終合意した。六月末に小泉首相が訪米し、「新たな日米同盟」による日米安保共同宣言を発表するという。だが、米国の世界戦略のための米軍再編は、計画通りに進まず、前途に数々の難関が立ちふさがっている。国民の反対世論を高めと闘いをさらに発展させて、米軍再編を挫折させよう。

最終合意で高まる怒りと闘い

 各地での反対の闘いが政府の思惑を超えて高まり、三月末とした最終合意は一カ月も遅れた。さらに、最終合意後も反対の闘いは終わるどころか、地元の不信と怒りは逆に高まり、反対運動は続いている。
政府と名護市は、普天間基地の名護市辺野古崎沿岸部への移設で合意した。稲嶺知事も政府の圧力に屈し妥協に踏み切った。しかし、名護漁協が沿岸案受け入れを拒否するなど「沿岸案反対」を公約にした名護市長に対する不満は高まっている。十一月の県知事選は普天間基地の移設が最大の争点となる。知事選で与党が敗北すれば普天間移設は暗礁に乗り上げる。その知事選の前哨戦である沖縄市長選で米軍再編に反対する東門氏が当選した。
 住民投票と市長選で二度も空母艦載機部隊の移設にノーを突きつけた岩国市の井原市長は、最終合意後も断固反対を堅持。さらに広島県西部三市でつくる移転計画反対期成同盟会長の山下三郎・廿日市市長と会談し、一層連携して白紙撤回を求めることを確認。また連合山口や広島の市民団体は最終合意に抗議する座り込み行動を行った。空母艦載機の夜間離発着訓練問題も含めて怒りが高まっている。
 キャンプ座間への新司令部の移転について、 星野勝司・座間市長は、「到底承服できない」と反対。神奈川では原子力空母横須賀母港化反対の闘いも継続されている。
 築城基地がある福岡県の築上町、行橋市、みやこ町の三首長は最終合意に反対を再確認。築上町では町民説明会が開かれ、大半が反対の発言、「町民が反対行動に立ち上がるべきだ」との声も出た。また新田原基地の地元二市三町でつくる「米軍の新田原基地使用反対対策協議会」は、最終合意反対で意思を統一した。
 空中給油機の訓練について、鹿児島県鹿屋市は「市米軍移転問題に関する意見交換会議」を開き、再び全会一致で「断固反対」を決めた。さらに「大隅総合開発期成会」など三団体もそれぞれ反対を確認。
 日米政府間では最終合意したが、各地での闘いは継続しており、最終合意の実行は容易ではない。 

 途方もない三兆円負担

 さらに米軍再編の巨額の日本負担問題が明らかになり、基地関係の地元だけでなく、国民全体の不満と怒りが高まっている。
 ローレス米国防副次官は四月末、米軍再編の日本負担は、グアム移転費を含めて約三兆円だと発表した。小泉首相ら大臣たちはあわてて、「そんなにかからない」「いくらだというには時間がかかる」などと言って、ごまかしている。国民にまともに説明できず、費用負担などの米軍再編推進法案を次の国会に先送りした。
政府は国の財政危機を国民や地方自治体にしわよせし、国民に増税(定率減税全廃)、年金、医療など社会保険料の引き上げ、給付削減、地方に地方交付税や補助金の大幅削減を押しつけてきたし、さらにしわよせを強めようとしている。その上、消費税の大増税を準備している。国民に犠牲を強いて、米軍再編に巨額の血税を浪費しようとしているのだ。どこの国の政府か、許せない。
 三兆円は米軍再編に使わず、国民生活や自治体にまわせ。沖縄をはじめ各地の闘いをさらに強めよう。地方議会で米軍再編推進法案反対の決議をあげ、国民の世論と闘いを盛り上げよう。