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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2006年4月号

地方議員522名が要求書を政府に提出−国会行動

米軍再編推進関連法案を上程するな


米軍再編推進関連法案の国会提出中止の要求書

 私たち地方議員は、マスコミの報道によって、政府が米軍再編を推進するために、公有水面埋立法に定められている知事の権限を奪い、振興策や特別交付金による「アメとムチ」の政策で自治体や住民の反対を切り崩し、国内のみならず国外の米軍施設建設に国民の血税を使えるようにする、米軍再編推進関連法案の準備を進めていることを知りました。
 このような法律は民主主義と地方自治を踏みにじるものと言わざるをえません。国の財政赤字を理由に、国民に増税、医療など社会保障の給付削減、負担増をおしつけ、自治体への地方交付税や補助金・国庫負担金を削減しながら、国外の米軍施設建設に巨額の血税を浪費するなど言語道断です。
 私たち地方議員は、米軍再編推進関連法案に絶対反対です。したがって、政府に以下のことを要求します。
 一、米軍再編推進関連法案の作成をやめ、国会提出を中止すること
  2006年3月

内閣総理大臣 小泉純一郎殿
外務大臣    麻生太郎殿
防衛庁長官  額賀福志郎殿
 三月二十八日、参議院議員会館第四会議室において、「米軍再編推進関連法案の国会提出中止の要求書」に署名した全国の地方議員五百二十二名を代表して、二十五名の地方議員が政府側(内閣官房、防衛庁、防衛施設庁、外務省)へ要求書提出及び交渉を行いアピールを発表した。この要求書提出は野党超党派で構成される沖縄等米軍基地問題議員懇談会(会長・鳩山由起夫衆議院議員、略称「議懇」)の仲介のもとで実現したが、同「議懇」との意見交換会には二十三名(うち代理出席十一名)の国会議員が出席した。
 この対政府交渉と意見交換会は川内博史「議懇」事務局長の司会のもとで進められた。
  
 政府当局に強く要求
 
 要求書は出席議員を代表して武田郁三郎・神奈川県議が提出し、神奈川での米陸軍第一軍団司令部のキャンプ座間への移駐、横須賀への原子力空母の母港化問題、そして岩国での住民投票結果などに触れて趣旨を説明した。
要求書に対して、防衛施設庁から昨年十月二十九日に「2プラス2」で合意された「日米同盟:未来のための変革と再編」についての説明と地元住民への説明の現況が報告されて意見交換が行われた。
 地元への説明状況現況報告では地元の住民、自治体がこぞって反対していることが浮き彫りにされた。
 地方議員側から「地元自治体の理解には強引なことはやらないという説明であった。当該自治体では議会決議をし自治体では反対の意思表示をしている」(吉川洋・千葉県議)
 これに対して政府側は「(米軍再編は)日本の防衛につながる在日米軍の抑止力の維持と、地元の負担の軽減という二つを満たすものとして必要なもの。その必要性について反対している方々も含めてご理解をいただかなければならない。防衛施設庁を中心とした地元調整の働きかけをしている」(眞部防衛政策課長)と答え「理解」つまり、政府のいうことを聞くようあくまで働きかけるという姿勢に終始した。
 また米軍のグアム移転費の一部を日本政府が出すという問題について「社会保障などを切り捨てるのに、法的な根拠がないグアムへの移転費はどうして日本が負担するのか」(手塚・栃木市議、斉藤・荒川区議)
 政府側の回答は「沖縄の負担軽減のためである。検討の段階であり、どういう法的な根拠があるか答える段階ではない」
 これに対して沖縄選出の国会議員から「海兵隊の実戦部隊は残るので沖縄の負担軽減にならない。移転配備の口実に使ってほしくない」という厳しい批判が出された。
 また、「日米同盟強化と国民保護法」(秋山・上尾市議)、「原子力空母の母港化問題」(原島・横須賀市議)などにふれながら、いわゆる政府のいう米軍の存在による「抑止力」が本当なのか、むしろ米軍の存在が危険ではないのか。北朝鮮や中国の脅威論に対しては、アジアと仲良くする外交努力が不足しているのではないかという論戦がやられた。

 切実な全国民的課題として
 国会での論戦を


 対政府交渉に引き続いて行われた「議懇」との意見交換会では、「今回の米軍再編は決して沖縄の負担の軽減につながらない。むしろ、日米の軍事同盟の一体化が急速に進む」「なぜ外国の軍隊の移駐費を財政の厳しい折に支払うのかとんでもない」「皆さんと連携を取り合いながら闘っていきたい」(照屋寛徳・衆院議員、沖縄選出)。「日出生台で海兵隊の訓練が何回もやられている。お隣の福岡県の築城基地も四市町全て反対です。とりわけ岩国の市民の判断はすごいことだ」「全国の自治体議員の皆さんが今回の行動を起こしておられることに私は力強い思いでいる」「皆さんと連携して、この問題には阻止という形で頑張っていきたい」(横光克彦・衆院議員、大分選出)など基地関係の県選出議員からは今回の要求書提出を歓迎し今後とも連携していこうという意見が出された。
 また、地方議員側から「四月末か五月はじめに、関連法案が出されたとき国会ではどういう論戦がやられ闘いがやられるのか」(佐野慶子・静岡市議)、「三月議会では自民党まで含めて全会一致で地位協定の見直し要求を決議した(中間報告は)日米の統合軍を作ることだ。国会で論議すべきこと」(鹿倉・文京区議)といった国会での本格的な論戦を望む声が強く出された。
 国会議員の側からも「予算委員会の中で米軍再編問題、外交防衛の論戦が全然ない。国会を通じてもっと国民に訴えるべきではないのか」(喜納昌吉・参院議員、沖縄選出)と国会での論議に不満が表明された。
 原田・横須賀市議が「議懇」が今回政府交渉の仲介をして貰ったことへの感謝と共に「六月小泉訪米のとき新安保宣言が予想される、是非とも国民に見える論戦を」と訴えた。
 最後のまとめのあいさつで鳩山由起夫会長は「安全保障の論議を国民の立場に立って行うという国会にしなければならない。皆様方とできるだけ心を合わせて、われわれは国会の中でも頑張っていきます」と決意表明した。

 六月議会でさらに世論を高めよう

 今回の国会行動に対してある山梨県の地方議員の家族からは「(私の主人は欠席しますが)私は自分が教員として関わった教え子と自分の子供、そして子供の友達たちのすべてを戦争の加害者にも被害者にもさせたくありません。米軍再編関連法案は、沖縄のみならず日本全土を米軍の基地にするものです。…(中略)今、十代の子供を持つ母として、また一教員としての思いをどうぞお届けください」という便りが事務局に届けられた。
 米軍再編は直接対象となっている自治体だけの問題でなく、まさに日本国民全体の問題である。最終報告がどのように出されるか、対米従属の道を突き進む小泉政権には中間報告を抜本的に見なおすという姿勢はみじんも見えない。
 六月議会ではさらに、米軍再編反対の世論を高め、すべての地方議会で米軍再編推進関連法案に反対する決議を上げよう。


【意見交換会に出席した国会議員】
鳩山由紀夫(衆・民主、「議懇」会長)/川内博史(衆・民主、「議懇」事務局長)/赤松広隆(衆・民主)/岡崎トミ子(参・民主)/喜納昌吉(参・民主)/近藤昭一(衆・民主)/横光克彦(衆・民主)/赤嶺政賢(衆・共産)/福島瑞穂(参・社民)/照屋寛徳(衆・社民)/糸数慶子(参・無所属)/鈴木陽悦(参・無所属)

【以下は代理出席】
金田誠一(衆・民主)/神本美恵子(参・民主)/辻元清美(参・社民)/那谷屋正義(参・民主)/武正公一(衆・民主)/円より子(参・民主)/千葉景子(参・民主)/榛葉賀津也(参・民主)/大田昌秀(参・社民)/黒岩宇洋(参・無所属)/紙智子(参・共産)