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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2006年2月号

米国産牛肉の再禁輸

対米屈服で国民の安全を無視した小泉政権


 一月二十日、成田空港の検疫所で牛海綿状脳症(BSE)の危険部位である脊柱の混入した米国産牛肉が発見され、米国産牛肉の輸入は再び禁止された。昨年十二月十二日の輸入再開から一カ月足らず。デタラメな米国のBSE対策が暴露された。
 デタラメな米国の検査体制
 昨年十二月の輸入再開時の米国の遵守事項は、(1)二十カ月齢以下の牛、(2)特定危険部位の除去など。この条件を輸出認定処理施設に「対日輸出プログラム」として義務づけ、米農務省の検査官が常駐・監督し「検査証明書」を発給するというもの。
 問題の背骨付き肉は成田空港の検疫官が「目視検査」で発見した。あきれるほどの「違反」であり、しかも堂々と米国の「検査証明書」が付いていた。米国政府は「米農務省の検査官も加工・輸出業者も危険部位を除去する必要性を認識していなかった」「単純なミス」と釈明。形だけ「謝罪」したが「問題の牛肉は三十カ月齢以下であり、米国基準では安全だ」などと開き直っている。
 BSE問題緊急集会
 一月二十三日、「デタラメ牛肉輸入糾弾! 米国産牛肉は安全か BSEを問う消費者・生産者緊急集会」が東京で開かれ、約百二十人が参加(写真上)。平和フォーラム、全国農民組織連絡会、日本消費者連盟などの呼びかけ。
 主催者あいさつで神山美智子・食の安全・監視市民委員会代表は、「食品安全委員会の答申は安全の保証ではなく、輸出プログラムが守られなければ成立しないと主張してきた。(今回の事態は)行政が米国を擁護した結果だ」と安全を無視して輸入再開した政府を批判した。
 御地合二郎・全日本農民組合連合会書記長は、米国大手食肉加工会社を視察した経験を紹介し、「一時間に三百頭の牛を処理しており、日本の求める安全など守れる状況はない」と述べた。また「日本の生産者はBSE発生後、労力とお金をかけ、全頭検査とトレーサビリティー(履歴管理)などを確立し消費者の信頼を回復してきた。日本と同じ基準を米国にも求めるべき」と述べた。
 続いて厚労省、農水省、食品安全委員会事務局など担当者の出席のもと、質議が行われた。会場からは「何を視察してきたのか」「食品安全委員会で再審議すべき」「今回の違反発見はたまたま、何%検査しているのか」など次々と質問や意見が出された。「食品安全委員会の再評価は考えていない」「サンプル調査で全体の三%程度」などの答弁に「米国に従属し輸入再開した結果だ。日米政府とも信用できない」などと怒りと不信が高まった。
対米屈服の小泉政権を許すな
 肉骨粉飼料の規制のあいまいさ、月齢検査は肉質を目で判断、BSE検査は一%以下のなど、米国のBSE対策のずさんさを多くの専門家が指摘していた。にもかかわらず、国民の安全を無視し、米国の圧力に屈服し輸入再開を決定した小泉政権の責任は重大である。中川農水相は、「輸入再開前に米国の食肉処理施設などを現地調査を実施する」という閣議決定を守らず、米国視察団を派遣したのは十二月十二日の輸入再開決定後の十二月十三日〜二十四日。しかも四十施設のうちの十一施設のみの視察で検査もおざなりだった。
 対米屈服で国民の安全を無視した小泉政権を追及する国民的な世論を盛り上げよう。国民が納得するまで米国産牛肉の輸入再々開を許すな。