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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2006年1月号

情報・資料

米軍再編を打ち破るために


 十月二十九日、日米安保協議委員会が米軍再編の中間報告を発表した。アメリカの国益のために、地域住民のくらしと安全をおびやかし、自衛隊を米軍の指揮下にくみこみ、アジアの近隣諸国との戦争の危険に日本をまきこみかねない、とんでもない計画である。
 この中間報告に反対する動きが全国に広がっている。米軍再編に関連する自治体の多くが中間報告に反対している。自治会などの住民団体も反対運動に立ち上がった。労働団体も闘いはじめた。
 小泉政権は自治体、住民・労働団体の抵抗をおさえこみ、三月末の最終報告までに決着をつけなければならない。そうしないと、ブッシュにあわせる顔がない。そこで、来年の通常国会に「米軍再編推進関連法案」を国会に出す方針をかためた。自治体にばらまく振興策や特別交付金、キャンプ・シュワブ沿岸の基地建設を念頭に公有水面埋め立てなどの許認可権を自治体から奪う手続き、海兵隊移転のためのグァム基地建設への財政支出、これらを法案に盛り込むつもりだ。振興策や特別交付金で自治体を懐柔し、力づくでおさえこもうというのだ。
 カネと権力、これは確かに大きな力だが、こんな手しか使えないのは、国民を納得させる道理がないからで、彼らの弱点でもある。道理は住民、国民、われわれの側にある。われわれの弱点はばらばらなことだ。相手は一つなのに、だれがどこでどう闘っているか、お互いに知らない。自治体と自治体、自治体と住民・労働団体が連携すれば、そして地域を超え県を超えて全国的に連携すれば、国民世論と国民運動を盛り上げ、政府を窮地においこむことができる。
 どうすれば連携できるのか。すでにはじまってる闘いの中に連携の芽が、連携の発展した姿があらわれている。互いに経験や情報を交換し、進んだ経験をとりいれ、連携の輪を広げ、米軍再編を打ち破る国民運動の大きなうねりをつくろう。そのために、この情報・資料をみなさんにお届けする。みなさんからも情報をお寄せいただければありがたい。(『日本の進路』編集部)


沖縄県―普天間基地など
 ◆沖縄県―稲嶺知事はキャンプ・シュワブ沿岸案の受け入れ拒否をくりかえし表明。政府に沿岸案拒否を伝え、普天間基地の県外移設を要求している。県議会は沿岸案に反対の意見書を可決。ただし、自民党が「県内移設を容認すべきだ」と主張し、知事が主張する県外移設は盛り込まれていない。
 ◆宜野湾市―伊波市長は普天間基地の県内移設に反対し、早期閉鎖・返還、米軍機の飛行の即時中止を主張。一昨年九月十二日には、宜野湾市と市議会、自治会、商工会、建設業者会、農業協同組合、漁業協同組合、婦人連合会、青年連合会、老人クラブ連合会、PTA連合会、沖縄国際大学、琉球大学等々、市内のあらゆる団体が参加する実行委員会をつくり、三万人の「沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落に抗議し、普天間飛行場の早期返還を求める宜野湾市民大会」を開いた。
 ◆名護市―沿岸案の地元。岸本市長は沿岸案に反対だが、浅瀬案ならば国との協議に応じるとの姿勢。市議会も沿岸案に反対の意見書・決議を賛成多数で可決したが、反対は沿岸案に限定されており、同案が変更された場合の判断には余地を残している。〇六年一月二十二日投票で市長選が行われる。これに島袋市議(岸本市長の後継)、我喜屋市議(革新政党・労組、市議団が擁立する保守系無所属。すべての辺野古移設案に反対)、大城市議(革新系無所属。すべての辺野古移設案に反対)の三人が出馬表明しており、反対派が岸本市長の後継候補に勝利するかどうかが、焦点になっている。
 ◆宜野座村、金武町、嘉手納町―議会が全会一致で米軍再編の中間報告に対する反対決議を可決した。
 ◆沖縄の全自治体が、米軍再編の中間報告で合意された沿岸案に反対している。だが、稲嶺知事の県外移転の主張は「従来案が見直される以上、県外移転すべきだ」(従来案なら受け入れる?)というものであり、知事は浅瀬案を主張する岸本市長の後継候補と「スクラムを組んでいく」とも述べている。また、県議会の自民党内部に「県外移転の実現は難しく県内移設を容認すべきだ」との主張もあり、最終報告あるいは政府の沖縄振興策の内容によっては、米軍再編を受け入れる余地も残している。
 ◆県民世論と県民運動―沖縄の全自治体を沿岸案反対まで押し上げたのは、県民世論とそれを行動にあらわした県民運動である。琉球新報の県内世論調査によると、沿岸案を支持しない回答が九割に達し、普天間基地の県外や国外への移設、即時閉鎖・無条件返還を求める回答が八五%にのぼった。
 十月三十日、元読谷村長の山内徳信氏などが共同代表をつとめる「基地の県内移設に反対する県民会議」は、那覇市で五千人の県民総決起大会を開いた。宜野湾市長も参加して反対を訴えた。
 連合沖縄は十二月五日〜六日、県庁前の県民広場で中間報告に反対する座り込みを行い、約五百人の総決起集会を開いた。その場で狩俣会長は、三月の最終報告までに超党派の県民大会実現をめざすことを表明した。

神奈川県―キャンプ座間、横須賀基地
 ◆神奈川県―松沢知事は「日米安保も再編の重要性も理解するが、少しでも基地負担が減る形を実現しなければいけない」として、キャンプ座間への米軍新司令部移転案の撤回、原子力空母の横須賀配備決定の撤回と通常型空母の配備、日米地位協定の見直しを求めている。また、相模原市、座間市とは、三者共同でキャンプ座間への移転案撤回を求めていく方針を確認した。
 ◆相模原市―小川市長はキャンプ座間への米軍新司令部移転について「戦車にひかれても反対する」と発言。市議会は反対決議を可決した。相模原市は座間市、東京都町田市などと連携し、日米両政府への反対要請を重ねてきた。相模原市は住民団体と連携し、市と市議会、自治会連合会、教育関係等で「相模原市米軍基地返還促進等市民協議会」をつくっている。市民協議会は約二十一万人の反対署名を集めて政府に提出し、十一月三日に千八百人の「基地強化反対・早期返還を!緊急市民集会」を開いた。
 ◆座間市―星野市長はキャンプ座間への米軍新司令部移転について「ミサイルを打ち込まれても阻止する」と発言。市議会は反対意見書を可決した。座間市も住民団体と密接に連携している。市と市議会、自治会連絡協議会でつくる「キャンプ座間米陸軍第一軍団移転に伴う基地強化に反対する座間市連絡協議会」は、約六万人の反対署名を集めて政府に提出し、十一月十八日に千五百人の「キャンプ座間の基地強化・恒久化に反対する市民大集会」を開いた(写真上)。
 ◆横須賀市―蒲谷市長は原子力空母の横須賀配備決定の撤回、通常型空母の配備を日米両政府に要求している。十二月二十日、訪米して米国防総省に直接訴えた。ただし、相模原市や座間市が行ったような市民集会など市民総ぐるみの運動には否定的である。
 ◆逗子市―長島市長は原子力空母配備に反対を表明し、政府、米大使館に、地元意見の尊重を求める要望書を提出した。市議会は原子力空母の配備、米陸軍司令部移転に反対を決議した。
 ◆三浦市、藤沢市―三浦市長は原子力空母配備に反対を表明した。藤沢市議会は原子力空母の横須賀配備に反対する意見書を可決した。
 ◆労働団体、市民団体―神奈川平和運動センター、キャンプ座間への米第一軍団の移駐を歓迎しない会、基地撤去をめざす県央共闘会議でつくる実行委員会が十一月十三日、三千二百人でキャンプ座間司令部の包囲行動をおこなった。同実行委員会は二月十九日にも二千六百人で包囲行動をおこなっており、二度目である。十一月二十六日、全労連が全国から組合員を動員し、座間市で一万一千人の集会をおこなった。十二月二十二日、相模原市職員労働組合など市民団体が基地の強化案撤回を訴え、四百人のキャンドル・デモをおこなった。
 横須賀では、神奈川平和運動センターなどで構成する原子力空母の横須賀母港化を止めよう神奈川実行委員会などの四団体が十一月二十七日、原子力空母配備に反対して二千人の集会とデモをおこなった。十二月十七日、神奈川労連などが原子力空母配備の阻止を求める二千五百人の集会とデモをおこなった。
 連合神奈川は十一月十一日、キャンプ座間への米陸軍新司令部の移転と原子力空母の横須賀配備に反対を決議した。
 ◆住民団体―十一月二十五日、横須賀市の湘南鷹取二丁目自治会が役員会を開き、全員一致で原子力空母の配備撤回を求める決議を採択し、首相や県知事などに送った。自治会長は「この動きが横須賀各地の自治会や町内会に広がれば、大きな力になる」と意気込み、会報で決議を全戸に周知し、周辺自治会などにも呼びかけていくと述べている。横須賀市内で自治会がこのような行動を起こしたのは初めてだ。

山口県、広島県―岩国基地
 ◆岩国基地は山口県の東部、広島県との県境の岩国市にあり、両県が米軍機による深刻な騒音被害を受けている。この地域では、自治体と自治体、自治体と住民団体・労働団体の連携が進んでいる。
 ◆山口県―二井知事は岩国基地への空母艦載機移転について、「厚木から岩国への騒音のたらい回し。夜間離着陸訓練(NLP)の誘引となる恐れがある」と反対。自治体間の連携について、地元の岩国市、由宇町との協議を最優先しながら「広島県側とは連携の必要があれば、そのつど対応する」と述べている。県議会は十一月三十日、艦載機の移転案を盛り込んだ中間報告に反対する意見書を可決した。
 ◆広島県―藤田知事は「岩国基地でのNLP実施の可能性は否定できず、基地周辺の騒音被害や県内での低空飛行訓練増加の懸念は払しょくされていない」と、空母艦載機移転に反対した。「県内の市町や山口県などと連絡をとって対応したい」と述べている。県議会は十二月十五日、「現時点では中間報告は容認できない」との意見書を可決した。
 ◆山口県東部五市町―岩国市、由宇町、柳井市、和木町、周防大島町の議会は六月に、厚木基地機能の岩国移転に反対する決議を可決した。八月一日、岩国市と由宇町を中心に五市町の首長と議長が集まって「基地問題連絡会議」を開き、米軍移転反対で連携していくことを確認した。翌八月二日、岩国市、由宇町、山口県がいっしょに米大使館に移転反対の要請行動を行った。
 ◆広島県西部五市町―廿日市市、大竹市、江田島市、宮島町(合併で現在は廿日市市)、大野町(現在は廿日市市)の議会は六月に、厚木基地機能の岩国移転に反対する決議を可決した。七月十九日、三市二町の首長と議長は「岩国基地NLP移転計画反対期成同盟」を結成した。反対期成同盟は、五市町が共同して、政府への要請行動、広島県議会に対する反対決議を求める要請行動など米軍移転反対の行動を展開すること、他の自治体にも連携を呼びかけて反対自治体の輪を広げていくことを確認した。会長の山下廿日市市長は、「戦争につながりかねない」、「二十一世紀を戦争のない世紀にするため努力する義務がある」と述べている。
 反対期成同盟は七月二十一日に岩国市長と会合を開き、県境を越えて連携する方針を申しあわせた。八月九日、反対期成同盟の五人の首長、山口県の岩国市長、由宇町長がそろって外務省、防衛庁を訪れ、移転反対の要請行動を行った。九月十二日には、広島市、三次市といっしょに県議会議長を訪ね、県議会で反対を決議するよう要請した。
 ◆広島市、三次市、呉市―広島、三次、呉の三市長は米軍再編にともなう厚木基地機能の岩国移転に反対した。広島、三次両市の市議会は反対の意見書を可決した。
 ◆住民世論調査―中国新聞社が岩国と周辺五市町住民に聞いた世論調査によると、七五・九%が厚木基地機能の岩国移転に反対と回答。岩国市内だけの質問では、六八・二%が日常生活の中で岩国基地の存在を迷惑と感じており、岩国商工会議所が新滑走路建設を前提に厚木基地機能の誘致を決議したことについて、五・二%が歓迎する、四八・〇%が市民全体の意見ではなく迷惑だ、と回答した。
 ◆住民団体―岩国市自治会連合会は七月四日、臨時総会で反対を決議した。岩国市自治会連合会、市女性団体連絡協議会、女性ネット21いわくにの三団体が、人口約十万七千人の岩国市で約六万人の反対署名を集めて政府に提出した。由宇町の住民団体「由宇町を明るく住み良くする会」は、人口約九千三百人の町で、二千四百二十五人の反対署名を集めた。広島県では、宮島町の自治会組織「総代会」が人口二千人余りの町で千九百七十二人の反対署名、廿日市市の町内会連合会が二万八千七百人の反対署名を集めた。また、米軍再編に反対する新たな住民組織として、岩国市で「移転反対の市民の会」、広島県西部で「広島県西部住民の会」が結成された。
 ◆労働団体―連合山口は八月一日、山口県知事に厚木基地機能の岩国移転に反対するよう求める要請書を出した。連合広島と広島県平和運動センターは九月十六日、県議会に基地機能強化への反対決議をするよう要望した。連合中国ブロックと平和フォーラム(平和運動センター)中国ブロックは岩国市で十月二十三日、岩国基地へのNLP移転と低空飛行訓練に反対して、三千人の市民集会をおこなった。広島県平和運動センターと県原水禁は、岩国基地増強と米軍再編に関する閣議決定に抗議して、七十人が原爆ドーム前で座り込みをおこなった。
 ◆自治体、住民団体、労働団体の連携―八月二十九日、反対期成同盟の呼びかけで「岩国基地増強計画反対広島県連絡会議」が開かれた。連絡会議には、反対期成同盟五自治体の首長と議長、広島市と三次市の代表、「米軍の低空飛行の即時中止を求める県北連絡会」会長(元君田村の村長)、連合広島、広島県平和運動センター、宮島町の総代会会長、宮島町文化財審議会委員の学者らが参加した。山口県からは岩国市長らがオブザーバーとして出席した。反対期成同盟の山下会長(廿日市市長)は、「自治体だけでは限界がある。民間も含めて連携を強めたい」と述べた。
 この連絡会議は十一月一日、十二月二日にも開かれ、〇六年一月十八日には第四回目が開かれる。この場で、宮島町総代会、廿日市市町内会連合会、連合広島、広島県平和運動センターなどが、反対署名を反対期成同盟に提出し、それぞれの活動報告をおこない、今後の取り組みを確認している。連絡会議は、自治体、住民団体、労働団体が連携して米軍再編反対の運動を進める画期的なものになっている。

福岡県―築城基地
 ◆福岡県―麻生知事は、「基地負担軽減を求める沖縄県民の気持ちも考えないといけない。住民への影響や地元振興策を見て総合的に判断する」と述べ、米軍再編に一定の理解を示した。
 ◆周辺五市町―行橋市の八並市長は「地元にこれ以上の苦しみを味合わせてほしくない」と受け入れ反対を表明。行橋市、椎田町、築城町、豊津町、犀川町の首長は十一月十一日に会合を開き、一致して移転に反対する方針を決めた。築城基地をかかえる椎田町の議会は反対をもうしあわせ、十一月十五日、助役、町議、自治会メンバーら十七人が防衛施設庁を訪れ、「絶対に同意できない」と反対を申し入れた。額田防衛庁長官が十一月二十八日、行橋市、椎田町、築城町、豊津町を訪れて理解を求めたが、一市三町の首長はいずれも反対を表明した。築城町議会は二十八日、反対を決議した。
 ◆住民団体―椎田町の基地周辺四自治会でつくる「八津田地区基地対策委員会」は十一月一日、宮崎県新富町の「新田原基地周辺激甚地区区長会」の呼びかけに応えて、同区長会との会合をおこない、米軍の訓練移設について意見を交換した。新富町側は「両基地周辺住民がお互いに協力して反対すべきだ」と連携を訴え、椎田町側も「できるところは協力したい」と応じた。八津田地区基地対策委員会は十一月十五日、助役、町議らとともに防衛施設庁に反対を申し入れた。
 行橋市仲津校区の区長でつくる仲津校区基地対策協議会は十一月二十四日、区長会、PTA、子ども会、婦人会、老人会、漁協などによる住民団体代表者会議を開き、築城基地への米軍機訓練移設に反対する方針を決めた。十二月四日、基地近くの市営グラウンドで千人の住民反対総決起大会を開いた。総決起大会には行橋市長、市議会議長も参加して地元住民と共同歩調をとることを約束した。仲津校区区長会は同校区住民の反対署名を集める方針を決定した。
 地元の市民グループ「平和といのちをみつめる会」が十一月二日、三十人で築城基地に米軍受け入れを拒否するよう申し入れた。さらに米軍再編は日本全土を米軍基地化するものと批判し、基地ゲート前では座り込みをおこなった。
 広範な国民連合福岡は麻生知事に訓練移設反対を申し入れ、十二月二十二日に仲津校区で現地交流会を開いた。交流会には広範な国民連合福岡の代表世話人、仲津校区区長会会長、椎田町八津田地区基地対策委員会会長、平和といのちをみつめる会、行橋市議、豊津町議、地域の労働組合などが参加した。

宮崎県―新田原基地
 ◆宮崎県―安藤知事は十一月二十五日、新田原基地への米軍訓練移転に反対を表明。県議会は十二月十九日、再編計画反対の意見書を全会一致で可決した。
 ◆周辺五市町―新田原基地周辺五市町(新富町、西都市、佐土原町、高鍋町、木城町)の首長と議長は十月三十一日、「在日米軍再編に係る米軍の新田原基地使用反対対策協議会」を発足させた。対策協議会は十一月四日、約四十人で知事と県議会議長に訓練受け入れに反対するよう要望し、十一月十一日に約十人で防衛庁に計画撤回を求める要望書を出した。西都市議会は反対決議、佐土原、木城、新富、高鍋の各町議会は反対意見書を可決した。
 ◆住民団体―新富町の騒音激甚地区の区長会(十三地区)は十月二十九日、米軍受け入れに断固反対し、住民側から反対運動を盛り上げる方針を決めた。激甚地区区長会は十一月一日、築城基地をかかえる椎田町を訪れて八津田地区基地対策委員会と意見交換し、連携を訴えた。
 十一月四日、新富町全町の区長会(六十地区)が、全会一致で訓練受け入れに反対する方針を確認した。新富町区長会は有権者の六三%、九千五百七十九人の反対署名を集めた。区長会の代表八人と町長は十二月十六日、防衛庁長官に反対署名と計画撤回を求める要望書を手渡した。
 新富町では一九八〇年に日米共同訓練反対の運動が高まった。当時の町長が態度を二転三転させたため、反対運動はリコールに発展し、結果は不成立となった。当時を知る区長は「行政のぶれで運動は尻すぼみに終わった。今度こそ最後まで運動を貫く」と述べている。
 西都市区長連絡協議会は十一月十四日、全会一致で移転計画反対を決めた。同協議会は今後、署名運動や周辺自治体との連携も視野に入れ、具体的な反対活動の進め方について検討することにしている。
 ◆労働団体―社民党県連、県労組会議などの八団体は十二月三日、新田原基地正門東側で米軍訓練移転に反対して千人の県民集会を開き、同基地に米軍訓練の受け入れ拒否の申し入れ書を手渡した。県労連などの「憲法と平和を守る県連絡会」は十一月二十二日、宮崎市で訓練移転に反対する七十人の集会を開いた。

鹿児島県―鹿屋基地
 ◆鹿児島県―伊藤知事は十一月二十一日、鹿屋基地への空中給油機移設について「今の段階では賛成できない」と述べたが、「沖縄が賛成した場合にはある程度の協力はやむをえない」と含みをのこした。県議会は「米軍は必要な存在」として移転反対の意見書を否決し、陳情も不採択とした。
 ◆鹿屋市―山下市長は「鹿屋基地の日米共同使用や、米軍駐留は受け入れられない。市民に大きな犠牲を強いる移転案に断固反対し、計画撤回を求める」と、空中給油機移設反対を鮮明にした。経済効果について「一時的な効果にすぎず、痛みはずっと続く」と述べた。
 ◆労働団体―鹿児島県平和運動センター、県憲法を守る会、社民党などが十一月一日、鹿屋市役所前で六百人の「米軍空中給油機鹿屋基地移転反対緊急集会」をおこない、市内をデモ行進した。

東京都―横田基地
 ◆東京都―石原知事は額田防衛庁長官と会談し、横田基地への自衛隊航空総隊司令部の移転に理解を示し、同基地の軍民共用化について政府の協力を求めた。
 ◆瑞穂町、昭島市―騒音被害の激しい瑞穂町と昭島市は、中間報告に「軍民共同使用の検討」が盛り込まれたのを受け、改めて軍民共用に反対するコメントを出した。
 ◆福生市、羽村市、武蔵村山市―三市長は、防衛庁の協力要請に対して説明不足だと不満を表明。福生市長は「協力していく方向だ」と理解を示し、羽村市長は「地元住民の意向を尊重してほしい」と述べ、武蔵村山市長は「基地強化につながり、市民の理解を得られないのではないか」と慎重な態度を見せた。
 ◆住民団体―騒音直下にある瑞穂町箱根ヶ崎地区の住民は二月に「横田基地軍民共用化に反対する住民の会」を結成。五月二十九日に二百人の決起総会を開いて署名方針を決め、町人口の約四割、一万三千人の軍民共用化反対署名を集めた。同会会長は「中間報告に軍民共用の文言が残ったのは残念。反対活動も気が抜けない」と述べている。
 ◆労働団体―十月十四日、東京平和運動センターおよび三多摩平和運動センターが福生市で、米軍再編に反対し横田基地撤去を要求する集会を開き、五百人が参加した。集会には、粘り強く基地撤去の運動を続けている「横田基地飛行差し止め訴訟団」、町ぐるみの反対運動をしている瑞穂町の「横田基地軍民共用化に反対する住民の会」も参加した。十一月五日、共産党と労働組合が福生市で基地撤去を求める三千五百人の集会を開いた。

茨城県―百里基地
 ◆茨城県―橋本知事は、防衛庁の協力要請に対して、「具体的説明がないので答えようがない。地元で大きな反対がある」と述べ、百里基地への訓練移転について賛否の表明を保留した。
 ◆小川町―百里基地の地元。伊能町長は、来町した東京防衛施設局長に「訓練移転は議会、住民とも断固反対だ」と述べ、移転受け入れ反対の姿勢を鮮明にした。伊能町長と十八人の町議全員は十一月二十一日、東京防衛施設局を訪ね、訓練移転反対を正式に伝えた。
 ◆行方市、鉾田市―行方市長は「これ以上騒音が大きくなるのは地元の首長として反対せざるを得ない」、鉾田市長は「騒音増大や事故を懸念して住民が反対しており、了承は難しい」と、いずれも反対を表明した。

石川県―小松基地
 ◆石川県―谷本知事は、大阪防衛施設局の協力要請に対し、「賛否の判断に至る説明がない」として、訓練移転への賛否を保留した。
 ◆小松市―市長は「情報がないのでコメントしようがない」と述べた。
 ◆住民団体―小松基地騒音訴訟の原告七人が十一月一日、訓練移転を拒否するよう、小松市と小松基地に申し入れた。

北海道―千歳基地
 ◆北海道―防衛副長官が十一月二十九日、米軍再編へ問題で知事を訪ねたが、具体的な説明はなく、高橋知事はこれに反発し、「矢臼別演習場でも米軍訓練を受け入れており、千歳基地への米軍訓練移転は難しい問題」と難色を示した。
 ◆千歳市、苫小牧市―千歳市長は「具体的な説明がないのは誠実さを欠く」と国の対応を批判し、苫小牧市長は「地元はこれ以上の騒音はいらないとの思い。容認できる立場にない」と述べた。

青森県―三沢基地、車力分屯基地
 ◆青森県―木村防衛庁副長官は十二月二日、県庁を訪れ、米軍の新型移動式早期警戒レーダーの航空自衛隊車力分屯基地(つがる市)への配備、三沢基地への訓練分散に協力を要請した。三村知事は、「基地機能の強化は容認できない。地元の意向を踏まえ検討したい」と述べ、受け入れに慎重な姿勢を示し、具体的な情報の提供を求めた。
 ◆つがる市、三沢市―防衛庁副長官の協力要請に、つがる市長は「住民の反応や地域全体のこともある」と諾否を保留し、三沢市長は三沢基地の騒音問題への配慮を求めた。