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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2005年11月号

福島県が大型店出店規制条例を制定

月刊『日本の進路』編集部


 大型店の野放図な出店によって、地域の八百屋さんや魚屋さん、洋品店などが次々と廃業に追い込まれ、「シャッター通り」と言われる商店街が全国各地に広がった。郊外型大型店の出店によつて中心市街地は空洞化し、街そのものが衰退している。これは中小商店だけの問題ではない。高齢化が進む中で、消費者にとっては生活問題でもある。 

 大店法の廃止、大型店出店を
 野放しにした大店立地法


 「シャッター通り」や中心市街地の空洞化は、自然のなりゆきではない。対米従属の政府の政策がもたらしたものである。
 以前は、大規模小売店舗法(大店法)が野放図な大型店の出店をある程度規制していた。大規模小売店舗の出店に対しては、周辺の商店に与える影響が事前に審議され、売り場面積、開店日、閉店時刻、休業日数について出店業者に適切な変更が勧告されていた。
ところが、一九八五年のプラザ合意以降、アメリカは自国の製品を日本に買わせるため、自国の大企業が日本市場に参入できるようにするため、日本に市場開放、規制緩和を迫った。財界の指導権を握る大企業も、自社の製品をアメリカに輸出しているため、政府に市場開放や規制緩和を要求した。アメリカは一九八九年の日米構造協議で、大店法は非関税障壁だと主張し、規制緩和・撤廃を激しく要求した。大型店を経営する商業大資本の中には、外圧をかけてほしいとアメリカ大使に直訴する輩もいた。
 政府は国内農業と中小商店を切り捨てる道を選択した。牛肉やオレンジの輸入が自由化され、さらにコメの市場開放も始まった。農村では農業経営が成り立たず、農家数は激減し、耕作放棄地が拡大した。
 大店法の規制が緩和され、売り場面積千平方メートル未満の店舗の出店は原則自由になった。一九九一年十二月、アメリカのおもちゃ小売りの大企業「トイザらス」の国内第一号店が茨城県稲敷郡で、翌月の九二年一月に第二号店が奈良県橿原市で開店した。オープニングセレモニーには、当時のジョージ・ブッシュ大統領(現大統領の父親)が出席し、「これまでの成果を喜んではいるが、満足はしていない。トイザらスを先陣として米国の小売業が日本に進出することを望む」と発言し、日本にいっそうの規制緩和を求めた。
大店法は三度にわたって規制緩和された。そして、最後には大店法そのものが廃止され、それにかわって二〇〇〇年に大規模小売店舗立地法(大店立地法)が制定された。改正都市計画法、中心市街地活性化法とあわせて「まちづくり三法」と言われている。しかし、大店立地法は大型店の出店を規制するものではない。改正都市計画法や中心市街地活性化法の特別用途地域の導入による中心市街地の活性化も、地価の安い郊外に出店する大型店には効果がない。大型店の出店は事実上、野放し状態となった。大型店(千平方メートル超)の新設届け出件数は年々増加し、二〇〇〇年に全国で約二百件だったものが、〇三年、〇四年はいずれも七百件を超えた。とりわけ、郊外立地型が急速に進んだ。
 大型店の出店計画に対して、地域の商店街は反対署名や集会、自治体への要請など死活をかけて闘った。だが、大店立地法には地域商業者の声を反映させる力はなく、多くの商店が閉店に追い込まれ、空き店舗が急増した。中心市街地は活性化するどころか、郊外型の大型店出店によって、既存の大型店すら閉店や撤退が相次ぎ、空洞化が進んだ。車を利用できない高齢者等の消費者は買い物もままならず、不便さを訴える声が強まった。こうした中で、中小商店や商工会議所は、「まちづくり三法」とりわけ大店立地法の見直しを要求している。
 農家も中小商店も、市場開放、規制緩和、弱肉強食の市場原理主義を迫るアメリカの圧力に屈した政府の政策で切り捨てられ、地域経済は衰退してきた。さらに、小泉政権の「改革」政治が地域経済の衰退を加速している。農家も中小商店も、小泉政権の「改革」政治と闘わざるを得ない。

大型店出店を規制する福島県の条例

 こうした中で、福島県議会は十月十三日、大規模店舗の出店を規制する全国初の条例、「福島県商業まちづくり推進条例」を全会一致で可決した。二〇〇六年十月に施行する。
 この条例は大型店を出店する事業者に対して、大店立地法の手続きに先立つ計画段階での届け出と説明会の開催を義務付けている。県は、出店計画が県や市町村の出店規制にそっているか、地域商店街などのまちづくりに悪影響はないか、などを市町村から聞いて調整する。事業者が県の意見を反映していないと判断した場合は勧告を出す。事業者が勧告に従わなければ、その名前を公表する。虚偽の計画に対する罰金制度なども盛り込まれている。
 当初の案は、規制の対象を店舗面積一万五千平方メートル以上の大型店としていたが、県議会の審議の中で、対象となる大型店は六千平方メートル以上に拡大された。六千平方メートル以上の店舗は商圏が半径四キロにおよび、複数市町村の商店街に影響を与えかねない、と判断されたのである。県内では現在、店舗面積六千平方メートル以上の商業施設は六十一ある。大規模ショッピングセンターのほかに、ホームセンターやスーパーも対象となる。
 福島県では近年、郊外型の大規模店舗の出店が相次ぎ、中心市街地の空洞化が深刻化している。郡山市ではJR郡山駅近くで、一九九四年にダイエー系大型店が撤退し、空きビルは今も地元の悩みのタネとなっている。福島市でも九九年に長崎屋が撤退し、さらに今年三月には、七十五年の歴史をもつ「さくら野百貨店福島店」が閉店した。会津若松市、白河市でも事情は同じである。大型店の出店を規制することによって、このような中心市街地の空洞化に歯止めをかけようというのが、この条例のねらいである。
 条例成立を受けて佐藤栄佐久知事は「複数自治体のまちづくりに影響を与える大型店の出店調整は、現行法だけでは解決できないため条例を制定した。特定スーパーの出店規制を目指すものではない」と語っている。大店法の廃止で大型店を全国に展開し、中小商店の犠牲の上に大きな利益を得てきたスーパー最大手イオンの岡田元也社長は「憲法違反のおそれがある」と反発した。これに対し、佐藤知事は「憲法違反などの批判もあるが、専門家の意見を聴いており、条例に法的問題はない」と一蹴した。
 弱肉強食の小泉「改革」が進む中で、この条例制定は注目すべき動きである。中心市街地の衰退に悩む多くの県から、この条例についての問い合わせが相次いでいる。