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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2005年2月号

映画「日本の戦争」シリーズの自主上映を

映画監督  中津 義人

 米国主導によるイラク戦争、それに追随する小泉政権の下で、排外主義と右傾化が進む日本。映画「日本の戦争」シリーズの自主上映を呼びかけている映画監督の中津義人さんに話を伺った。(文責編集部)

 映画「日本の戦争」シリーズは、戦後五十周年を迎えるにあたって、戦争で見つめる日本の近現代史という社会科の歴史教育副教材としてつくられました。一九九四年の「太平洋戦争と東南アジア」が最初で、四年をかけて五作品をつくりました。
 ビデオと十六ミリフィルムで、東映教育映像事業部が、全国の高校および中学校、あるいは大学や一般社会人向けに普及しました。
 歴史事実を追って作りましたので、結果として、いかに戦争がひどいものであったか、日本の侵略戦争であったことが明らかになりました。一部の勢力から「教材として使う必要はない」というところもありましたが、結構、子供たちに見てもらえたようです。しかし、映像による教材は毎年作られており、一定の普及がすすめば時間の経過とともに忘れられ「お蔵入り」の状況でした。
 九・一一事件からアフガン戦争に進むそれ以前から、友人がアフガン難民の家族を取材していました。当時、日本の映像メディアは終わりなき戦乱の中で、翻弄されるアフガン難民の姿を伝えてはきませんでした。そうした難民の生き様を、心を伝えることによって、アフガニスタンでの戦争が何だったのか見えてくるはずだ。そういう思いで昨年春に映画「ヤカオランの春」(川崎けい子・中津義人共同監督作品)を作りました。
 上映を開始して、気付いたことがあります。若い人だけでなく多くの日本人が、日本の現代史を知らない。日本によるアジアに対する戦争を知らない。学校の歴史教育も、幕末か明治維新あたりで学年末になってしまう。そういう状況の中で、北朝鮮や中国脅威論がマスコミで騒ぎ立てられ、多くの国民は右傾化の流れに飲み込まれていく、という状況があるのではないか。
 「ヤカオランの春」の上映を積極的に進めていた人から、「映画『日本の戦争』を活用できないか」と言われました。そこで東映に了解を得て、昨年八月に東京で上映会を開きました。上映後、ある方から「歴史的事実に基づいて日本の戦争を五本にまとめた記録映像は数少ない。お蔵入りはもったいない。もっと広めるべきだ」と助言を受けました。それが「日本の戦争」シリーズを再び広めようとなったきっかけです。
 上映会のアンケートにも、「衝撃だった。知らなかった」「中国でのサッカー大会で示された中国の人たちの怒りの意味がはじめて分かった」「若い人たちにみてもらいたい」などの声が多かった。私たちがアジア各国の人たちと接する時、日本の戦争でアジアの人たちがどんな目にあったのか、きちんと歴史的事実を知っておくべきだと思います。
いま私たちがマスコミを通じて目にしてるイラク戦争。戦争がなぜ起こるのか、どうやって戦争がつくられていくのかを見極める上でも、「日本の戦争」シリーズは役立つと思います。「アジアを欧米植民地から解放する」という大義名分で日本が戦争で手に入れたかったのは、石油・鉄鉱石・石炭などの資源、安い労働力、市場でした。アフガン戦争でもイラク戦争でも、アメリカが手に入れたいものがある。
 いつの時代も、どの戦争も、攻める側の本質は同じです。日本の過去百年間の戦争を振り返れば、「日本の戦争」シリーズ五本を見れば、戦争の本質がよく分かる。たった一隻の軍艦を派遣したことから始まって、一九四五年八月の破滅を迎えた。
 歴史事実を直視し、未来を考える上で一人でも多くの人に見てほしい。ビデオを上映するプロジェクターの設備がある会場なら上映会が可能です。学校での歴史教育用で、様々な集会などで、さらに五本まとめた上映会として、全国各地で自主上映をやっていただきたいと思います。

戦争を見つめ、平和を考える『日本の戦争』シリーズの5作品
「日韓併合への道」(30分)
「朝鮮半島植民地支配の実態」(28分)
「太平洋戦争への道 中国大陸侵略」(30分)
「太平洋戦争と東南アジア」(29分)
「太平洋戦争と沖縄」(35分)
 脚本・監督 中津義人
 企画 岡田順徳
 撮影 川田秀明 高岩 仁 常田高志
 録音 栗林豊彦
 照明 田久保剛
 編集 桑原孝子
 音楽 杉田一夫
 ナレーター 下條アトム
 制作 東映株式会社教育映画部

自主上映会を開いて見ませんか

 イベント・自主上映会・歴史勉強会などで「日本の戦争」シリーズを上映していただける個人・団体に作品を貸出しいたします。

<1> 作品の貸し出しはビデオテープ(VHS)です。
 上映会場にビデオプロジェクターやスクリーン、音響設備などが整って いるかどうかをお確かめください。
 *16ミリフィルムによる貸出も行っています。ご相談ください。

<2> 作品貸出し料(ビデオの場合)
 (1日の上映につき、入場予定人数100人以内)
 5本セットでお申し込みの場合…50,000円(税込み)
 尚、各作品毎の場合………………15,000円(税込み)
 *入場予定人数が100人を越える場合、学校(小/中/高)主催の上映、 1週間以上の連続上映等の場合は、ご相談ください。

<3> 予約方法
・電話、FAX、Eメール等で(上映希望日、上映予定の会場と規模、上映希 望映画のタイトル、連絡担当者名と電話・FAX番号)をご連絡ください。
・ご連絡にもとづき、上映日が決まりましたら「上映申込書」を郵便、FAX、 Eメールなどで送ります。必要事項をご記入の上ご返送ください。

<4>その他
 「ビデオのお届けと返却」「宣伝物」などのご相談、作品貸出しのお申し 込み・問い合わせは下記までご連絡ください。

<問い合わせ>オフィススリーウェイ
http://www007.upp.so-net.ne.jp/movie/
中津 義人 Eメール: nakatsu@mxh.mesh.ne.jp  電話/Fax:03-3759-7920
川崎けい子 Eメール: k-grim@fb3.so-net.ne.jp  電話/Fax:03-3871-0539