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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2004年8月号

地方に犠牲転嫁する「三位一体改革」
国民運動で地方行財政を守ろう

自治労長野県本部書記次長  松村元雄


 地方切り捨ての「三位一体改革」

 政府は、構造改革の一つとして「三位一体改革」を平成十六年度から三カ年計画で進めています。改革の初年度である平成十六年度は、国庫補助負担金の削減や地方交付税等の大幅な削減が行われました。一方、地方への税源移譲は極めて不十分です。地方に負担を転嫁する国の三位一体改革の影響により、平成十六年度予算編成が困難を極める自治体が相次ぎ、自治体は深刻な財政危機に直面しています。
 県内市町村への影響で見ると、平成十六年度歳入の県内百十七市町村への影響額は、約三百八十四億円(一自治体当たり三億三千万円)の見込みです。これは平成十五年度歳入決算見込額の四%に相当する減収です。平成十五年度の歳入決算見込額に対する影響額の割合は、市が三%減収に対し、町村が五・五%減収と、町村財政により大きな負担となっています。そのため各市町村は、基金の取り崩し、事業の見送り、人件費の抑制など厳しい予算編成を強いられています。平成十六年度の基金の取り崩しは、百十四市町村で五百八億円(一自治体当たり四億五千万円)になると予想されています。
 一方、県への影響は、平成十六年度予算編成段階で三百七十億円の財源不足が生じました。このうち地方交付税が百三十五億円、臨時財政対策債が百五十二億円減少したことが大きく影響しています。そのため基金から二百七十九億円取り崩し、基金残高が底をつく事態が迫っています。三位一体改革で今後も地方交付税が同様に減額されれば、平成十七年度には百三十七億円の赤字、平成十八年度には二百八十七億円という赤字が見込まれます。財政再建団体に転落しかねない事態です。
 このような地方切りすての三位一体改革が進めば、地域住民の福祉や教育などの行政サービスの低下、公共料金の負担増、自治体労働者への賃金低下や雇用不安などがおき、県民生活や地域経済にきわめて大きな悪影響を及ぼします。

 幅広い県民運動の展開を

 四月の連合長野の会議でこの問題が議論されました。「三位一体改革」は地方への負担転嫁を強いる改革であり、県民生活や地域社会、地域経済に大きな影響を及ぼす。したがって、関係組織・団体に呼びかけて、地方自治を守る県民運動を展開する県民会議を設置することを決定し、準備を進めてきました。
 八月四日に「地方行財政の自律を実現し地方自治を確立する県民会議」を結成します。構成団体は、長野県、長野県市長会、長野県町村会、長野県議会、長野県市議会議長会、長野県町村議会議長会、長野県経営者協会、長野県中小企業団体中央会、長野県商工会議所連合会、長野県商工会連合会、連合長野、長野県地方自治研究センターの十二組織・団体です。三位一体改革の影響を広く県民にアピールし、県や市町村の財政基盤の強化と権限・責任を拡大し、住民のための地方自治を確立する県民運動を展開したい。
 具体的には、県民世論を盛り上げるためのリーフレット作成と配布。また八月二十七日には長野市内で「地方自治体財政危機突破県民集会」を開きます。この県民集会では基調講演やシンポジウムを行い、集会決議をあげて国の関係機関や国会に提出する予定です。さらに県・各市町村議会からも「意見書」を国や国会に提出することになっています。
 このまま座視すれば、地方自治体、地域経済、住民生活は深刻な事態が進みます。財政確立も含めた真の地方自治確立のために、幅広く県民運動を展開したい。各地でも県民会議を結成し、国民運動として大きな流れをつくることを呼びかけたい。
  (文責編集部)