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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2004年6月号

「中長期の開門調査」を要求し、
有明海漁民が総決起大会


 五月二十四日、福岡県柳川市で福岡、熊本、佐賀県の三県漁連が「有明海再生を求める漁民総決起大会」を開催した。
 国営諫早湾干拓事業(長崎)をめぐり、五月十一日に亀井農水大臣が、「中、長期の開門調査」の見送りを表明した。干拓工事が行われ、堤防が締め切られて以来、宝の海が奪われ、生活が脅かされ、自殺者も出るなどの状況に追い詰められた漁民は「中、長期開門調査」に大きな期待をつないでいただけに、ショックは大きかった。漁民の国に対する強い不信感と怒り、さらに指導部に対しても国に対する徹底した闘いを強く求めた集会だった。
 入り口に大漁旗が掲げられた会場は予定を上回る二千人が結集し、熱気があふれた。主催者を代表して、荒牧巧・福岡県有明海漁連会長は「今回の国の開門調査中止の決定に漁民は憤っている。三県で二万七千三百人、家族含めて十万人の漁民は団結して闘おう」とあいさつした。中島敏男・鹿島漁協会長から平成九年の干拓潮受堤防締切以降から今回の総決起大会に至るまでの漁民の闘いと政府の対応などの経過報告が行われた。地元の県議と町議に続き、来賓あいさつに立った開催地の河野弘史・柳川市長は「開門調査に関する委員会のメンバー七名のうち五名が農水省のメンバーであり、結論は目に見えていた。漁民の生活は追い詰められ、自殺者も出ている。家族の生活を守るためにも、国に強く要求しなければならない」と国の有明振興を痛烈に批判した。
 漁民三名の決意表明では「家族を守り、育てた宝の海は堤防締切後、すべての漁獲高が激減し、アサリもとれない、タイラギはまったく取れなくなった。ノリも例年の半分以下になっている。今回の国に決定に、この三年間何を信じやってきたのか、国に対して強い不信感を抱いている。宝の海をかえしてほしい」「財布を預かる漁民の主婦の立場から見ると、家計がきびしくなり、家庭が崩壊しようとしている。贅沢できなくても家族が支えあって、笑いがあった家庭をとりもどしたい。後継者も跡をつぎたくても、収入がないため、陸に上がらなければならなくなっている」など国の対応を強く批判した。
 大会決議を松本忠明・熊本漁連会長が読み上げると、漁民の間から、開門調査の項目に「中・長期」の言葉がなかったことに抗議の声が起こり、壇上の垂れ幕をひきおろしたり、一人の漁民が壇上のマイクをとり、幹部への批判を行うなど会場が一時騒然となった。大会決議では「開門調査の実施」「調整池排水の水質浄化」「セーフテイーネットの構築」「有明海再生事業の充実」の四項目が採択されたが、会場前部の座席の漁民は立ちあがらず「中・長期開門調査一本に絞って要求しろ」「再度中、長期を入れて文面を読み上げろ」など声が上がり、漁連幹部に対して要求を貫くよう迫った。荒牧会長はじめ各県の漁連会長が「中・長期という言葉はいれる」と表明し、何とかその場を治めて閉幕した。