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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2004年5月号

破たんした米国のイラク占領
対米追随をやめ自衛隊撤退を

編集部


相次ぐ撤退で有志連合崩壊

 米国のイラク開戦から一年余がすぎた。イラクの反米武装闘争はおさまるどころか、イラク全土に広がり、激しさを増した。米軍はファルージャで六百人を超えるイラク人を殺し、怒りに油をそそぐ結果になった。反米闘争でスンニ派とシーア派の連携も進んだ。米国が任命したイラク統治評議会の閣僚たちまでが抗議し、相ついで辞職した。
 米兵死者は激増し、四月だけで百人を超えた。開戦以来の米兵死者は七百人(四月二十八日現在、七百二十四人)を超え、戦費も増加した。米国内でのブッシュ支持は急速に低下している。
 イラク開戦一周年の三月二十日には、日本全国で十三万人、全世界で数百万人の人々がイラクからの撤退を要求して抗議デモを行った。
 米国に追随してイラクに派兵していた諸国でも撤退要求が高まり、スペインは撤退を開始した。ホンジュラス、ドミニカ、ニカラグア、シンガポール、ニュージーランド、ノルウェーも撤退あるいは撤退方針を表明した。タイ、エルサルバドル、フィリピン、ポルトガル、ブルガリアは撤退を検討している。ポーランドは来年の駐留は未定、オランダは七月以降は未定と、当初の方針を後退させた。韓国はより安全な地域へ派遣先を変更した。有志連合の崩壊が進んでいる。
 六月末の主権移譲も見通しがなくなった。ブッシュ政権はイラク統治評議会につくらせた基本法も御破算にして、国連に暫定政権をつくらせる方針に転換した。だが、権力を握っているのは米軍であり、米軍による占領支配の実態は何も変わるわけではない。
 ブッシュ政権がイラクの石油権益を支配しようとする野望を捨て、イラクから米軍を撤退させなければ、イラク国民の武装抵抗闘争はやまない。イラク戦争に反対した仏・独なども、米国によるイラクの石油権益支配に応ずるわけにはいかない。
 米国主導の中東和平も完全に挫折している。四月十四日、シャロン首相と会談したブッシュ大統領は、米国がつくったロードマップにさえ反して、「ヨルダン川西岸の入植地存続」というシャロン提案を容認した。米国の支持を背景に、イスラエルはますます凶暴化し、パレスチナのハマス指導者を次々殺害するなど、国際的孤立を深めている。
 米国のイラク侵略、占領支配は今や破たんのふちにあり、ブッシュ政権はあせりといらだちを強めている。だが、ブッシュ政権にとって、イラク石油の権益を放棄することになる米軍撤退の選択肢はとり得ない。かつて、帝国の道を歩んだ国は最後まで強欲な道にしがみつき、自らの没落を早めた。ブッシュ政権も歴史上でくりかえされてきた愚かな道を歩んでいる。

対米追随は孤立と亡国の道

 こうした米国に追随して、小泉内閣はサマワに陸上自衛隊を派遣した。占領支配の一翼をになう日本はイラク反米武装勢力の攻撃対象となり、自衛隊宿営地に迫撃砲が打ち込まれた。五人の日本人が誘拐された。幸い、彼らがイラク侵略戦争に反対し、イラク人のために献身していることがわかり、無事に釈放された。
 彼らは、自衛隊派兵で失われたイラク人の対日信頼をいくらかでも回復するのに貢献した。だが、小泉内閣は逆に、「自己責任」論という屁理屈を持ち出し、被害者をむち打つ卑劣な世論をあおって、国際社会のひんしゅくをかった。
 イラク派兵諸国に撤退の動きが強まっている中で、小泉内閣は駐留継続を声高に主張した。それは日本に対する反米武装勢力の攻撃を挑発するに等しく、派遣された自衛隊員の生命をいっそう危険にするものだ。 孤立と亡国の米国追随に反対し、イラクからの自衛隊撤退を求める広範な国民運動が求められている。