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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2004年5月号

人質事件後のバッシング報道に異議あり!

天木直人氏緊急講演会に三百人


 四月二十三日、京都精華大学でイラクでの日本人人質事件後のバッシング報道などを受け天木直人氏を招き緊急講演会を行った。
 天木氏は、レバノン大使在任中にイラク戦争と小泉首相の対米追随外交を批判した元外交官。人質事件などイラク情勢が悪化する中、会場には学生や教職員、市民など三百人が詰めかけ関心の高さをうかがわせた。
 主催は、「うちらは黙ってへんで!実行委員会」、「君はファルージャを見たか?」の二団体を中心に、教職員有志も加わった。人質事件後のバッシング報道や、政府の自衛隊派兵などに疑問を持つ学生や教員が集まり、この行動に至った。
 天木氏は約三百人の学生らを前に、「イラクでは武装勢力も宗教者も自衛隊を敵対勢力と位置付けていることがはっきりした。占領軍でしかない米国に追随する日本は敵と見なされている」と指摘。政府高官が、誘拐された日本人と家族に対し「自己責任論」で非難を強めていることを、「自衛隊派兵の根拠が失われた事実から国民の目をそらし、権力者の失政責任を弱い立場の三人の責任にすり替えている許し難い暴力だ」と批判した。
 また、長年外務省にいた立場から小泉政権について、「小泉首相を見ていると、日本の良さがどんどん失われていると感じる。米国の意見しか聞かず国民の意見を聞かない。金や権力ほしさで物事を行っている日本を劣化させた人物だ」と痛烈に批判。
 対米外交について、「従来、中東政策では日本は米国と違う立場をとり、好感を得てきた」と分析。「米国の政策は中東情勢を悪化させ続けている。米国追従政策を続けることは世界の孤児になりかねない」と警鐘を鳴らした。
 米国のイラク戦争については、「レバノン含め中東の人びとは、大量破壊兵器は口実で石油とフセイン政権の打倒が、米国の本当の戦争目的だということを知っていた。日本と中東諸国の関係は米国とは違う関わり方であったが、イラク戦争支持でアラブの人びとの日本を見る目は変わってしまった。少なくとも公平中立の立場を取るべき」、「日本は、アラブ諸国はじめ他国の意見や情報を収集し国益に沿って独自の判断をすべきだった。しかし、朝鮮問題がクローズアップされた時期で『米国を怒らせては守ってもらえない』という議論ばかりで、まったく間違った判断であった」。と述べた。
 最後に自衛隊派遣について、「初めに派遣ありきで、派遣は必要も正当性もまったくなかった。攻撃から一年が経って今米国の占領軍とイラクの国民が戦っている。日本はこの事実を認識して米国に対してモノをいうべき。私は『自衛隊撤退』と共に『小泉首相の即時退陣』を緊急提言として発表した。戦後六十年近く経った今こそ、日本のあり方が問われている」と述べ、日本の新たな道を訴えた。
 その後、質疑応答の時間がもたれ多くの質問が出された。その一つに、「天木さんのお話に共感です。一部が富を握る現在の世界経済のシステムを変えることが今必要だと思う。それで、具体的に私たちは何を行動していけばいいでしょうか?」との質問に対し、「例えばスペインでは選挙で国民がイラク派兵をしたアスナール政権を倒した。また、イタリアや英国なども国民の強い反発を受け随分苦しい政権運営を強いられている。日本でも米国から離れて独自の道を進むための国民の支持が唯一の方法である。日本国民が行動して政府に圧力をかけていくことで、米国が日本国民を無視できない状況をつくっていく必要がある」と答えた。
 講演会終了後は、「なんで三人は責められなあかんの?!なんで日本は三人を拘束するの?!」をテーマに約二十人の学生らと、意見交換会を開き活発な議論が行われた。今後も引き続き、私たちに何かできることを行動していこうと!終わった。
 講演会を企画して、天木さんの話はニュースや今のマスコミ報道では聞けない内容で本当に勉強になった。政府の「自己責任」発言について、「日本国民の自衛隊派遣への疑問を膨らませないように、政府は被害者の『自己責任』を持ち出し、別の所に問題をすり替えようとしている」という話しがあったが全く同感。信用できない政権だと感じる。
 今回、学生だけでなく一般参加者など三百人もの人が集まって、これだけ人々の関心は強いんだなということがわかった。今後の行動も広く多くの人とつながれるようなものにできたらなと思う。(学生・川人理恵)