国民連合とは代表世話人月刊「日本の進路」地方議員版討論の広場トップ


自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2004年2月号

自衛官対象にホットライン  派兵反対が大多数

公衆電話から涙声のメッセージ

自衛官と市民をつなぐ人権ホットライン事務局長  高橋 英子


<ホットラインに寄せられたメッセージの一部>
◆大反対。イラクは戦争状態なのに、政府は何が何でも行かせるのか。小泉政府は、ブッシュ に背を押されているのだと思う。テロ特措法では、非戦闘地域となっているが、そうではな い。テロ特措法を変える必要がある。
(自衛官の家族)
◆家族は選ばれなかったが、反対だ。知り合いで「選ばれた」人がいる。他人事ではない。
 
(自衛官の家族)
◆帰ってきた息子は話そうとしない。親に心配をかけたくないようだ。危険が高まっているよ うに見える。何とか行くのを辞めさせるように説得したい。
(自衛官の母)
◆夫は行ってもよいと思っているらしい。妻としては不安に思う。すべての自衛官の派遣に反 対。不安な毎日を送っている。その思いが届かないことに憤りを感じる。私たちには何もで きないのか。
(自衛官の妻、20代)
◆派遣反対の署名を集めている。幅広くお願いしている。全員反対と言っている。
 
(自衛官の家族)
◆親としては不安だし、反対だ。せめて、安全になるまで派遣を延ばして欲しい。
 
(自衛官の父)
◆イラク派遣、反対です。イラクは戦争中だから、今行ったら、殺されますよ。日本には平和 憲法があるのだから、それを守らなければならない。アメリカの軍隊に追随するのではなく、 人道的支援がもっと別の形でできるはず。
(一般市民、年配女性)

 十二月一日に、「自衛官と市民をつなぐ人権ホットライン」を開設し、十二月末までに自衛官本人や家族、市民から予想以上の百六十九件の声が電話が寄せられました。
 今までの反戦・平和運動は、集会やデモという方法をとってきましたが、この間、国政に対する歯止めになっていない現状がありました。しかも二大政党への流れが加速されつつある中で、何ができるだろうかと考えました。その時、横須賀で自衛隊のホットラインをしている方に、「自衛官にとって『PKO派遣反対』などの言葉が、自分たちの人格否定の言葉に聞こえた」という話を聞きました。自衛官や家族の立場や気持ちを真剣に考えて反対運動を作ってきたのか考えさせられました。
 今回のイラク派遣では、北海道から陸自が派遣されるわけで、ホットラインを開くことによって、当事者たちの気持ちが寄せられたら、それをメッセージとして市民に伝えることができるのではないか、という思いで始めました。イラクで外交官が殺害された事件とも重なり、家族の方たちの不安がメッセージとして届いたんだと思います。
 どんな小さな町にも自衛隊の駐屯地があります。一つの職業、国家公務員として自衛隊を選択した方がたくさんいるし、家族が職業の一つとして勧める場合もありします。ですから、「まさか息子が戦地に行くことになるとは思わなかった」というだけでなく、「息子を自衛官にしてしまった」という悩みもありました。
 十二月はまだ派遣隊の選考過程だったと思われます。共同通信の報道では、意向調査で「行きたくない」という選択肢のないアンケートが配られたといわれています。またPKOの際は四カ月や六カ月で交代されていた。ですから今回は選ばれなくても、半年後に選ばれる可能性がある。一〇〇%行かない保障はない。しかも、撤収の責任は誰が持つのかさえよくわからない中で、行くことだけが着々と決められていく。家族にとってはとてもつらい状況だったと思います。だけど誰にも相談できない。話せば出世に響くし、「誰だ」と犯人探しになってしまう。だから、公衆電話からかけてきた方がいて「もう切れそうです」と涙声で話してくれました。一時間も話された方もいました。自衛官の方で「行きます」と言われた方もいましたが、「自分は今回選抜にもれた」という方や年齢的に自分は派遣されないだろうという方でも、派遣反対の方もいました。また、お酒が入っていると思われる電話で「自分に万が一何かあったら」と生命保険の話をされた方、小さいお子さんがまとわりついて離れないとか、いてもたってもいられず署名を集めているお母さんの話もありました。
 百六十九件のうち、反対が百四十六件。一般市民の賛成意見もありましたが、自衛官や家族で賛成の方はあまりいませんでした。
 小泉首相の言葉はアメリカに向かって発せられています。その言葉を信じて「国益はイラクの石油を守ることだ」と話された自衛官がいましたが、本当の国益とは、国民が不安のない生活を過ごすことではないでしょうか。
 民主党は今になって国会で論争を仕掛けていますが、すでに閣議決定され陸自派遣が決定されている。昨年の衆議院選挙で、民主党は「マニフェスト」でカモフラージュし、安全保障について、もう一方の選択肢を示さず、安全保障が焦点にならなかった。国民にきちんと選択肢を問わずに閣議決定され、今の政治は何なんだ、という思いがあります。
   (文責編集部)

ホットラインは、二月二十八日まで。平日九時〜十七時。
電 話 011(231)0245
FAX 011(261)2759