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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2004年1月号

「南北朝鮮との平和的関係を市民レベルで考える
かわさきシンポジウム」


 「南北朝鮮との平和的関係を市民レベルで考えるかわさきシンポジウム」という長ったらしいタイトルのシンポジウムが持たれたのは、不審船、拉致問題、核武装等々、北の脅威と称して、一方的なニュースが流される状況に、「北東アジアの共生」を求めて、さまざまなシンポジウムなどの会合がもたれているが、概して言えば日本やアジア諸国の国会議員などを中心とするものが多い。それも重要なことではあるが、政府の動きによって、日頃親しくつき合っていた在日の諸外国人、とくに南北朝鮮人に対して、急によそよそしく振舞ったり、できるだけ接触をさけようという、日常生活に影響が出てきている。これを直視し、主権者は私たち市民だということを示そうと、「市民レベルで」という点を強調したかったのである。
 さて、会合は野田英二郎・元インド大使の「日本の対外姿勢を考える」と題する講演が行われ、聴衆に大きな感銘をよび起こした。また、この流れを受けて、関田寛雄・青山学院大学名誉教授のコーディネートで、李仁夏・在日大韓基督教会川崎教会名誉牧師、筒井由紀子・KOREAこどもキャンペーン事務局長、原田章弘・神奈川県朝鮮人強制連行真相調査団事務局長をパネリストとして討議が行われた。
 この中で筒井さんたちの活動に対し、妨害を加える個人も団体もなく、文化交流などが着実に前進しているという話が印象に残った。ただ集会に参加した人が少なかったこと。この日は、いろいろな大きな集会が重なり、そちらに人が流れたという直接の要因が、大きく響いたのは事実なのだが、日本政府や行政当局の、過去の失政には、できるだけ触れないようにしようという姿勢が、市民の目が歴史に向かうのを妨げ、忘却の彼方に押しやってしまっていると、思わざるを得なかった。それにしても、多事多難な現今ではある。(須見正昭)