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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2003年11月号

自衛隊のイラク派兵反対

米軍のイラク占領に金を出すな


 小泉首相は十月十七日、訪日したブッシュ大統領と会談し、イラクへの年内の自衛隊派兵と、総額五十億ドル(来年度分十五億ドル)の援助を約束した。米英軍の占領と米国主導の「復興」に反発が高まる中で、わが国の「貢献」ぶりは突出している。自衛隊員が犠牲になることも、イラク国民に銃口を向けることも許してはならない。自衛隊派兵阻止のための取り組みの一部を紹介する。

東京でブッシュ来日抗議集会
東京・横田で10・21反戦デー
広島・長崎・沖縄
防衛庁に八百人がピースパレード
大阪・米領事館にデモ行進
ワシントンで10万人集会
米国のイラク派兵要求に反対する日韓共同宣言


東京でブッシュ来日抗議集会
七百人が米大使館にデモ

 十月十七日、社会文化会館で「ブッシュは戦争をやめろ!来日に抗議する集会」が開かれ、約七百人が参加した。主催は平和フォーラムや日本消費者連盟などの市民団体。
 浅見清秀・平和フォーラム副代表の主催者あいさつ、ピースボートの川崎哲さんによる「アメリカの中東政策について」の問題提起、パレスチナ子どものキャンペーンの大河内秀人氏が現地報告を行った。
 集会後、参加者はアメリカ大使館に向けてデモ行進を行った。デモの先頭では百人のブッシュお面隊が、ブッシュのイラク戦争・占領政策を皮肉るパフォーマンスを行った。

イラクへの自衛隊派兵反対
東京・横田で10・21反戦デー

 十月二十一日、東京都福生市の福生公園で「全ての米軍基地の撤去を求める三多摩集会」とデモ行進が開かれた。東京・三多摩ではベトナム反戦運動を引き継ぎ、毎年十月二十一日に一〇・二一集会を開催している。「横田基地軍民共有化空港反対」「イラクへの自衛隊派遣に反対しよう!」が今年のメインスローガン。
 オープニングは、都内各所の平和集会に参加している「ヨッシーとジュゴンの家」が自作のイラク派兵反対の歌を披露した。
 集会の最初のあいさつで三多摩平和運動センターの勝島議長は「日米地位の協定を改正を各自治体・議会で取り組もう」、「憲法が禁止している集団的自衛権の行使を許さない闘いをしよう」と呼びかけた。また、横田基地飛行差し止め訴訟団の福本事務局長は、「私たちの運動は静かな夜を返せという素朴な要求だ」と運動への理解と協力を訴えた。
 集会に参加した労働組合員と市民三百人は、沿道の市民の途中参加も含め横田基地へ向けデモ行進を行った。

広島・長崎・沖縄

広島では十月二十一日、県原水禁と平和運動センター主催による集会が広島市内で開かれ、市民・平和団体など二十団体、約千人が参加した。
 長崎では、佐世保地区労が佐世保市内で集会を開いた。労働組合員など約百六十人が参加し、米国の戦争と小泉政権の対米追随政策を批判するシュプレヒコールを上げながらデモ行進を行った。
 沖縄では、平和運動センターが那覇市内で集会を開き、三十四団体から労働組合員など約五百人が参加した。ブッシュの戦争政策と小泉のイラク派兵に反対し反戦平和を訴え、国際通りをデモ行進した。

「イラクに行くな」と防衛庁に
八百人がピースパレード

 十月二十五日、世界の人びとと共に、ワールド・ピース・パレードが新宿の大久保公園で開かれた。主催者を代表して富山洋子・日本消費者連盟運営委員長が、基調的な主催者あいさつ。続いて日本国際ボランティアセンター(JVC)の代表からイラク現地報告、日韓ネットの渡辺健樹さんが日韓共同宣言について発表した。
 パレードでは八百人の参加者が、歌あり鳴り物ありコールありでにぎやかに防衛庁に向かった。防衛庁正門前では、富山さんが自衛隊派兵をやめるよう強く訴える実行委員会の要請文を読み上げ、係官に手渡しました。また、小泉首相・石破防衛庁長官宛で「日韓共同宣言」も提出した。防衛庁には「自衛隊はイラクに行くな!」など参加者全員の力強いシュプレヒーコールが響きわたった。

大阪では五百人の集会
米領事館にデモ行進

 十月二十五日、大阪では扇町公園で約五百人の市民、労働組合員が参加してアメリカによるイラクの占領に反対する集会が開かれた。団体加盟の関西生コン、全港湾の仲間たちとともに、広範な国民連合・大阪もノボリ旗をかかげ参加した。集会の後、アメリカ総領事館を通り市役所までデモを行った。

ワシントンで10万人集会

10月25日、米国の市民団体(ANSWER)などが呼びかけたイラク占領に反対する行動が行われ、ワシントンで10万人(写真)、サンフランシスコで2万人が参加。この呼びかけに応えて日本や韓国の各地でも反戦行動が行われた。

米国のイラク派兵要求に反対する日韓共同宣言

 米国のイラク派兵要求に反対する日韓共同宣言を紹介します(別掲)。広範な国民連合も賛同団体に加わっています。

米国のイラク派兵要求に反対する日韓(韓日)共同宣言

 全世界の平和を愛する人々の反対と抵抗にもかかわらず、イラクへの侵略戦争を引き起こした米国ブッシュ政府は、日本と韓国(韓国と日本)など世界各国にイラクへの派兵を要請した。米国のイラク派兵の要請は、自国の軍事経済的利益のみで行った戦争行為の後始末を国際社会に押し付けようとする「単独行動主義」の最たるものであり、国際社会に向けた傲慢(ごうまん)姿勢そのものだ。

 世界は米国が敢行したイラク戦争を、ウソと偽善、独断と覇権に貫かれた明白な侵略戦争であり、歴史的に最も非道な戦争だと見なしている。イラクに大量破壊兵器はなく、米国ネオコンらの「フセイン9・11テロ背後説」は、完全なウソとでっち上げだった。戦争の名分は紙くずと化し、米国の利益だけのための一方的な侵略戦争であったことは誰の目にも明らかとなった。
 世界は米ブッシュ政府を、国連など最低限の国際秩序さえ踏みにじり、21世紀を平和と友好の新世紀として創ろうとする人類の夢を粉々に砕いた、極悪な世界平和の敵だと見なしている。
 米国の非道なイラク戦争はまだ終わっていない。米国の石油利権と中東覇権のためだけにイラクの人々は犠牲になっている。5月1日、ブッシュ大統領の終戦宣言以後、むしろ多くの米軍死傷者が続出し、イラクだけでなくイスラム民衆の命がけの反米抵抗へと拡がっている。また抵抗のための極端なテロと米軍の報復攻撃という悪循環は加速化し、世界平和を深刻に脅かす方向へとつき進んでいる。
 このような中で行われようとする国際的なイラク派兵は、米国のイラク侵略・占領政策を強化し、イスラム民衆のさらに強い抵抗をもたらす結果を招くだろう。派兵国家は米国と共に、イスラム民衆に銃口を向ける侵略の同調者―敵国となるだろう。
 東アジアと世界の平和を願う日本と韓国(韓国と日本)の人々は、ともに手を携え、米国のイラク追加派兵の要求を糾弾し、これを決して許さないことを表明する。私たち日韓(韓日)の平和を愛する人々は、両国のイラクへの派兵はイラクの人々にさらに大きな悲劇と戦争の拡散だけを招くと確信する。
 イラク戦争を本当に終わらせるためには、国際的な派兵と米軍の作戦指揮下で構成される多国籍軍の創出ではなく、イラクから米軍の即時撤退がなされなければならない。米国はこれ以上外国軍の駐留を望まないというイラクの人々の叫びに耳を傾け、イラクの主権をイラク人に一日も早く返還すべきだ。
 私たちは、日米韓(韓米日)同盟を名分として、ブッシュ政府が日本と韓国(韓国と日本)に派兵と占領経費の負担要求の圧力をかけていることを糾弾し、たとえ一人でも一銭たりとも侵略戦争に加担できないことを宣言する。
 私たちは、日韓(韓日)両国政府に、国際社会を平和の流れに変えるため、米国の派兵圧力を断固拒否し、派兵決定方針を即時撤回することを要求する。両国政府は、米国の侵略同調者の汚名を自らに課す愚行を決して行うべきではなく、日韓(韓日)両国の市民・民衆に世界史的な不名誉をなすりつけてはならない。
 私たちはまた、米国の戦争政策に便乗し、加速化する日本の軍事大国化の流れに対し、日韓(韓日)の市民・民衆は歴史的警戒心を持ち、ともに手を携えて排撃することを表明する。
 私たちは、もう一つの"戦争火薬庫"と呼ばれている朝鮮半島の平和を守るためにも、国際的な戦争気運を強化するイラクへの派兵を決して許さないことを強調する。日本と韓国(韓国と日本)は、朝鮮半島の戦争をくい止め、東アジア圏の平和を守る主役になるべきであり、東アジアに戦争の気運を呼び込む先頭に立つべきではない。
 日本と韓国(韓国と日本)の平和を愛する人々は、米国のイラク派兵をくい止め、世界に向って繰り広げる米国の戦争政策を断絶させるため、あらゆる努力を傾けるだろう。私たち日本と韓国(韓国と日本)の民衆は、平和の名において固く手を結び、世界の平和と友好という人類の望みを実現するために、献身的に寄与するだろう。

<私たちの要求>
米国は国際的な派兵要請を撤回し、米軍はイラクから撤退せよ!
日本と韓国(韓国と日本)政府はイラクへの派兵方針を撤回せよ!