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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2003年10月号

米軍基地撤去の闘いを前進させよう

米軍ジェット機墜落 26回目の抗議集会


 九月二十六日、横浜市緑区で「九・二七米軍ジェット機墜落抗議集会」が開かれ、横浜北労協に加盟する労働組合員など約四百五十人が参加した。主催は横浜北労協、社民党、平和運動センターで構成する集会実行委員会。この集会は、一九七七年九月二十七日、米軍厚木基地を離陸し、洋上の空母ミッドウェーに向かった米軍のファントムジェット機が、横浜市緑区(現在の青葉区荏田町)に墜落するという大事故(母子三名が死亡、六名が負傷)が発生して以来、毎年行われているもので今年で二十六回目を迎えた。(文責編集部)

 最初に三人から連帯のあいさつがあった。加藤泉・神奈川平和運動センター事務局長は「三十年前に空母ミッドウェイの横須賀母港化がはじまり、その艦載機の墜落事故で尊い命が奪われた。空母キティホークが退役する二〇〇八年以降、原子力空母の母港化が計画されており、そうなれば騒音や墜落事故だけでなく、原子炉事故の危険性もある。米軍基地撤去、池子住宅増設反対、第三次厚木爆音訴訟の勝利、原子力空母の母港化阻止のために皆さんと共に闘いたい」と述べた。
 浜崎重信・厚木爆音防止期成同盟顧問は「二十六年続けられている皆さんの運動が厚木爆同の運動の励ましになっている。イラク戦争に参加した空母キティホークが五月に横須賀に帰ってきたが、四機編隊や三機連続で飛行するなど艦載機の爆音がすさまじい」と指摘した。
 石原守・社民党神奈川県連合代表代行は「墜落事故以来、横浜北労協と共に二十六年間取り組んできた。イラクでは米軍の攻撃で多くの一般の市民が犠牲になっている。戦争は最大の人権侵害であり絶対に反対だ。政府は有事立法に続き、教育基本法の改悪、憲法改悪で戦争できる国にしようとしている。歴史を逆転させないためにも、平和と民主主義を守る運動を共に闘おう」と訴えた。

 「今の国際情勢と日本」
 野田英二郎氏が講演
 野田英二郎・元インド大使が、「今の国際情勢と日本」と題して講演を行った。
 野田氏は「二十六年前の悲惨な事故も原因は米軍基地の存在。今の国際情勢からみて、米軍基地が意味あるか考えてみたい」と訴えた。
 米国のイラク戦争について「戦争の口実であったアルカイダとの関係や大量破壊兵器はいまだに見つからない」「国連すら無視して圧倒的な軍事力でフセインを倒したが、治安は悪化し、米軍に対する攻撃は続き米兵の死者は増えている」「イラクで米軍が唯一守ったのは石油省だけ」「米軍はイラク国民を人間扱いしないため多くの一般国民が犠牲になっており、反米感情は高まっている」「パレスチナ問題の解決も難しくなった」「戦費の負担増も含めて、米国内でブッシュ政権への批判が高まっている」などと米国のイラク戦争が完全に行き詰まっていることを指摘した。
 また、「困った米国は国連の協力を仰ぐ決議案を提出したが米軍の指揮権は手放そうとはしない」と述べ、こうした米国の態度に、シラク仏大統領やアナン国連事務総長が国連総会で米国のイラク戦争を批判して喝采を受けたことを紹介しながら「国際的にもブッシュ政権の権威と評価はがた落ちになっている」と指摘。さらに、「フランスのトッド氏が『帝国以後』という本で、『帝国と称する今の米国は圧倒的な軍事力をもっているが経済面で深刻な危機を抱えている。世界中から米国にお金が来るから成り立っているだけ。米国は他の国を必要としているが、他の国は次第に米国を必要としなくなっている』と書いている。一極化ではなく多極化こそ時代の流れ。米国のイラク戦争で多極化は早まると思う」と指摘した。
 続いて野田氏は「日本は米国の言いなりになっているため国際的な発言力が低下している」「冷戦は崩壊し、中国は改革解放を進めており周辺との関係も平和的関係を望んでいる」「北朝鮮は日本に攻めてくるような『仮想敵国』ではない。核問題や拉致問題を必要以上に取り上げて騒ぐことは米国には有利だが、日本の利益にはならない」「日本は北朝鮮に限らず何かあると相手の国を非難しすぎる。核実験を行ったインドに対して何度も非難した。核兵器反対は当然だが、日米安保のもと米国の核の傘に頼っている限り、核兵器廃絶を叫んでも説得力がない」と外交の失敗を指摘。
 自衛隊のイラク派遣については、「憲法上明らかに問題がある。さらに国際世論が批判する米国の戦争に協力することが正しいのかどうかの議論がされていない。自衛隊がイラクに行けば米軍の指揮下に入り、米軍の戦争目的に協力するための自衛隊派遣にしかならない」と不十分な国会議論を指摘した。
 「アジアでは平和共存の関係が強まっている。韓国と北朝鮮の交流が深まっており南北統一は時代の流れ。日本、中国、台湾、朝鮮半島など相互依存関係が深まっており、北東アジアは経済的に繁栄する地域となっている。太平洋の向こう側の国に安全保障の後見人になってもらう必要はない」と述べた。そして「後藤田正晴先生は『日米安保は歴史的使命を終えたので日米平和友好条約にすべきだ。日本は憲法を守り、平和愛国の国に』と言っておられる。私も同感です。米国一辺倒できた戦後の外交を考え直すべきです。そのためにも北東アジアが平和共存の地域となるよう、日本は近くの国ともっと仲良くすべき。そうすれば米軍基地のない、平和な日本、平和なアジアができる」と日本の進むべき道を訴えた。
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 最後に、藤田富夫・横浜北労協議長が、二十六年前の墜落事故を紹介しながら「住民が死傷しているにもかかわらず、自衛隊のヘリは脱出した米軍機のパイロットを救出して基地に帰った」と批判した。また、米軍池子住宅の増設問題にふれ「先日、県知事と横浜市長に要請行動を行った。歴代の知事や市長は保守革新を問わず米軍基地の撤去・返還が基本姿勢だったが、松沢知事と中田市長は基地の撤去・返還を一言も言わない。こんな県政や市政は許せない」と指摘。「次の世代から非難されないためにも地域で力をあわせて頑張ろう」と訴え、団結頑張ろうを三唱した。