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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2003年10月号

朝鮮半島での新たな戦争をとめよう

中央大学名誉教授  伊藤成彦

アジア太平洋の平和・軍縮・共生のための
国際会議(11/14〜17・沖縄開催)の成功を


 「アジア太平洋の平和・軍縮・共生のための国際会議(PDSAP)二〇〇三 in 沖縄」を十一月十四日から十七日まで沖縄の那覇市で開催します。「朝鮮半島での新たな戦争を止める」がテーマで、朝鮮戦争以来あらゆる戦争で米軍の出撃拠点とされてきた沖縄にとっても、また『アジア太平洋の平和・軍縮・共生』をテーマとするPDSAPにとっても切実な課題です。
 「アジア太平洋の平和・軍縮・共生のための国際会議」の第一回会議は、日本軍のパールハーバー攻撃から半世紀と米ソ冷戦の終結を迎えた一九九一年末に、冷戦後のアジアに平和と友好に基づく共生の社会をつくり出すための国際フォーラムとして、超党派の政治家・学者・市民運動家などによって計画され、一九九二年一月三十一日〜二月一日に開かれました。
 この国際会議のベースになったのは一九八六年にできた日中平和懇談会です。日本側の代表は宇都宮徳馬さんで、毎年、東京と北京で会合をやって来ました。冷戦が終わりアジア規模の平和を討論しようと、一九九一年十二月に日本、中国、フィリピンの参加でシンポジウムをやったのがきっかけです。
 東京で開かれた第一回会議には、非核法を制定したニュージーランドのロンギ首相、フィリピンの米軍基地撤去で中心的な役割を果たしたタニャーダ上院議員、中日友好協会副会長の張香山さんをはじめ、韓国、米国、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、ロシアなど七カ国から参加。日本側からは、宇都宮徳馬参議院議員(当時)など超党派の国会議員、学者、市民運動家など三百人が参加して開催されました。冷戦が終わったんだから外国の基地や核兵器をなくしていこう、非核、非軍事で共生をめざそうという討議がされました。
 第二回会議は一九九四年五月にフィリピンの市民運動家が中心となってマニラで開催されました。中国、韓国、ロシア、米国、ベトナム、マレーシア、香港、ドイツ、ペルー、日本の十一カ国・地域から三十五人と、フィリピンからの参加者三百人が討論しました。特別講演は金大中氏(のちの韓国大統領)が行いました。
 第三回会議は、一九九七年四月、中国国際交流協会が中心となって北京で開催されました。中国、韓国、北朝鮮、モンゴル、ロシア、ベトナム、パキスタン、ネパール、ニュージーランド、フィリピン、日本の十一カ国・地域から約五十人が参加して、「北東アジア非核地帯」の可能性を討議しました。中国は核保有国ですが「中国の核は米国との関係であり、非核地帯をつくるという考え方は賛成だ。米国が核兵器を放棄し、日本が日米安保の核の傘をやめれば核兵器は捨てていいんだ」という話が成り立つのではないか。非核地帯は可能だという議論が行われました。
 第四回会議は、一九九九年五月に東京で開かれました。日米防衛協力新ガイドラインや周辺事態法案など日本の軍事化がクローズアップされる中で、「緊急国際シンポジウム」として開催されました。韓国、北朝鮮、中国、フィリピン、ロシア、米国から九人が参加し、日本側の参加者約百人とアジアの軍事的、政治的状況について討論が行われました。
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 二十一世紀に入り、米国ではブッシュ政権の登場で平和をめぐり憂慮すべき状況が広がりました。アジア太平洋では朝鮮半島をめぐる状況が緊迫してきました。そこで昨年今頃、第五回会議を沖縄で開催することを決め、呼びかけをはじめました。
 最初の全国的な発起人は約百二十人くらいで、第一回会議当時からの人たちが中心です。もっといろいろな人たちも増やすべきですが時間的な問題もあり、とにかく立ち上げました。自民、公明、民主、社民、共産などの国会議員も発起人に加わっています。沖縄で開催するわけで、実際に支えてくれる沖縄の発起人を広げることに力を注ぎました。沖縄の運営委員長・事務局長を石川元平・元沖縄県教組委員長が引き受けて下さいました。今は賛同人が千人くらいに広がっています。
 海外からの参加者は、現在交渉中のところもありますが、中国、韓国、北朝鮮、ロシア、米国、フィリピン、タイ、マレーシア、ベトナム、オーストラリア、インド、パキスタン、モンゴルの十三カ国。それに国連大学。十四カ国・機関の予定です。事務局を担ってきた中国とフィリピンはそれぞれ四人以上が参加する予定です。テーマが朝鮮半島ですから韓国と北朝鮮の参加は重要です。韓国からは金大中・前大統領をはじめ、盧武鉉政権を支えている若い世代、反基地運動の市民団体などにも来ていただきます。北朝鮮からは二人が必ず来ていただくよう話を進めています。フィリピンからは米軍基地撤去問題の中心のギンゴーナ副大統領にぜひ来てほしいとお願いしているところです。海外からの参加は三十人くらいになると思います。
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 今回の会議で重要な意味の一つは沖縄で開催することです。アジア太平洋の共生を実現するには、平和・軍縮を実行しなければなりません。日米安保と米軍基地がある限り平和・軍縮は実現できません。在日米軍基地が集中し、朝鮮戦争以来あらゆる戦争で米軍の出撃拠点となってきた沖縄から、アジア太平洋に発信する意味は重要です。
 もう一つは、朝鮮半島での新たな戦争を止める、朝鮮半島の平和の問題です。金大中さんに「太陽政策を朝鮮半島から全アジア、全世界へ」という特別講演をお願いしています。さらに「朝鮮半島に平和を―市民による六カ国会談」を企画しています。市民レベルの六カ国の会談で、成功すれば来年は韓国でやりたいと考えています。
 「核疑惑などがいわれている北朝鮮は本当に脅威なのか」「朝鮮半島では南北首脳会談以降の南北の交流は大きく進展しているのではないか」「アジアの共生にとって日本と韓国の米軍基地こそが障害になっているのではないか」「ブッシュ・ドクトリンと北朝鮮の対応の背景」「日朝国交正常化をどう実現するか」などを議論して、認識を共有することが重要だと思います。
 朝鮮半島問題をアジア太平洋の全体の市民の世論としてどう解決していくのか。この会議を契機に、アジア太平洋、とりわり東アジアの市民運動が認識を共有し、連携した行動が促進されることを願っています。一つの大きなステップになるだろうと考えています。(文責編集部)

第5回 PDSAP 2003 IN 沖縄 プログラム
11月14日(金)海外参加者の島内ツアー/歓迎レセプション
  15日(土)全体会議:参加各国代表による基調報告
      特別講演:金大中・前韓国大統領(予定/有料)
  16日(日)分科会A:21世紀の国際的共生をいかに築くか
      分科会B:朝鮮半島における平和構築とアジア
           の安全保障
      分科会C:軍隊と人権・経済・環境
      分科会D:平和と人権と女性
      沖縄芸能の夕べ:戦争より祭りを(有料)
17日(月)朝鮮半島に平和を―市民による「6者会談」
全体会議
PDSAP日本委員会 <連絡先>
宇都宮軍縮研究所内 TEL03-3584-4268 FAX03-3584-5480