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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2003年9月号

全国の地方議会で意見書を採択しよう

日米地位協定の抜本改定を!

自治労沖縄県本部書記長 川上満


 一九九五年の少女暴行事件以前から、米軍の事件・事故が起こるたびに、沖縄からは犯人の身柄引き渡しだけでなく、日米地位協定全体について抜本改正を求めてきました。とくに、革新的な政党や労働組合が中心に要求してきました。九五年の事件があって、八万人余りが集まって県民大会を開きました。そこでも「地位協定の改正」を県民の総意としてあげました。しかし、抜本改正にはならず、結局、犯人の身柄引き渡しについて米軍の好意的配慮、いわゆる運用改善にとどまった経緯があります。
 それ以降も、沖縄では米軍による事件・事故がなくならない。それだけでなく、基地の騒音問題や環境問題など、基地の提供のあり方にも問題があります。そこで日米地位協定の抜本改正を求めていくことになりました。大田県知事の時には十数項目の見直し要求を政府に要請しましたが、政府は運用改善で事が足りるという対応を続け地位協定の改定には動きませんでした。
 そして昨年十月と今年五月にも女性に対する暴行事件が起こり、県議会や県内の市町村議会で地位協定の抜本改定を求める決議が採択されました。それを受けて、今の稲嶺県知事も米軍基地が所在する十四都道県に要請を行うなど、地位協定改正への取り組みを強めています。すでに東京、神奈川、長崎、青森の都県議会で地位協定改定を求める意見書が採択されています。稲嶺知事が求めている改定内容とわれわれの求めている内容がすべて一致しているわけではありませんが、全国的な気運が盛り上がっている時に、運動を起こさないとこの問題は解決しません。
 そこで自治労沖縄として全国的な運動を展開できるよう自治労本部にお願いしました。六月二十四日に、全国の自治労、三千四百の単組がこの課題に取り組み、各自治体に地位協定抜本改定の意見書採択を求めることなりました。八月末の自治労全国大会の最終日には、九州ブロックの提案で、「日米地位協定の抜本的改正」と「普天間基地の早期返還」の特別決議を採択します。
 去年の事件、さらに今年五月の事件が起きても、小泉首相は相変わらず運用改善としかいわない。田中真紀子外相の時も、現在の川口外相も同様で、沖縄に来ても運用改善としかいわない。沖縄の実態をぜんぜんわかってない、と県民の怒りが広がっています。
 韓国では、去年の女子中学生二人がれき殺された事故以来、国民感情に訴える報道の仕方もあって、米軍基地撤去・韓米地位協定見直しの国民運動が大きく盛り上がりました。
 日本でも全国的な運動にしていかないと解決しない。ところが、日本の場合には、沖縄のマスコミ以外は、ほとんど報道しないために、沖縄の県民感情と全国の国民感情の落差が大きく、沖縄の基地問題が沖縄だけに特化されてしまう状況が続いています。「沖縄の基地問題は全国民の問題」としてもう一度再構築する必要があります。われわれは、全国の市町村に自治労の組織があります。県だけでなく市町村単位でも「地位協定の抜本改定を求める意見書」をあげる取り組みを展開することが、運動の一つのきっかけになるのではないかと判断しています。
 われわれ自治労沖縄が自治労本部にお願いしたのは六月末でしたので、全国の市町村議会の六月議会には間に合わなかったところが多かった。ですから、九月議会で全国的な取り組みをと考えています。
 沖縄の基地問題は、全国民的な問題という認識をもっていただき、全国の県、市町村の議会で意見書が採択されるよう呼びかけたいと思います。(文責編集部)


地位協定の問題点
 米軍は、「安保条約」と条約第6条に基づく「在日米軍地位協定」を法的根拠に日本国内に駐留している。地位協定では、米軍に基地を提供する日本の義務や、米軍基地の設定、維持、運用など軍隊の活動に関する様々な原則や、軍人・軍属の権利義務などを定めている。その内容は、軍事優先で、米軍にとって有利な内容となっている。
 沖縄県では基地問題の解決、促進を図るため、在日米軍基地の法的根拠となっている日米地位協定の見直しが必要であると考えている。その中で特に県民生活にかかわりの深い主な項目を、イラストで取り上げてみた。これらの問題は、沖縄県のみの問題ではなく、日本全国共通の問題である。