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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2003年1月号

代表世話人からの新年メッセージ

反ファシズム共同戦線形成の新春を夢見て

武者小路 公秀


 本年はめでたくないけれどもめでたい新春になりそうである。めでたくないのは、昨年末には、いよいよイージス艦を派遣することで、日本も米国のイラク包囲作戦に参加することになってしまったからである。めでたいのは、イラク戦争勃発を憂い、反戦の闘いが日本でも、米国でも、またアジアでもり上がる新年になりそうだからである。
 一月十八日、米国と日本をはじめとするアジア諸国でイラク戦争反対のデモが行われることになっている(裏表紙参照)。私も、元日に日本を発って、インドのハイデラバードで開かれるアジア開発フォーラム大集会に参加する。これは、「広範な国民連合」も参加しているアジア平和連合(APA)をはじめ、グローバル経済の困窮化政策と覇権主義国家テロリズムに反対するアジアの民衆運動が結集して開く。ブラジルのポルトアレーグレで開かれてきた国際集会のアジア版である。
 このように、一方的にイラク攻撃をしかけようとする反テロの名の国家テロリズムに対する民衆と市民の反対運動がもりあがるけれども、ヨハン・ガルトゥングが主張するように、その盛り上がりによって、ブッシュ一味を告発して、政権全体の辞任に追い込むことはけっして容易ではない。
 われわれはむしろイラク攻撃に続く、ソマリア攻撃や朝鮮攻撃がありうるという現実を確認して、息の長い反戦運動を展開する準備を整える必要がある。これは、ヴェトナム反戦運動よりも、一九三〇年代の反ファシズム闘争に似た「塹壕戦」になることを覚悟してかかる必要がある。われわれが相手にしているのは、ただ好戦的な米国の政権ではなく、ネオリベラル・グローバル化路線を軍事的・警察的に推進するグローバル・ファシズムである。
 一九三〇年代のファシズムが、プロレタリア革命の恐怖から権威主義的なイデオロギーによる人権抑圧を受け入れた中産階級によって支えられたように、ヒットラーに似ているとドイツの法務大臣がいったブッシュのグローバルな臨戦体制・非常事態の恒常化を、今日の世界各国の中産階級がイヤイヤながらも受け入れている。それは、開発途上諸国からのテロのみならず「不法」移住労働者などに代表される「群衆」(ネグリの「マルティテュード」)がこわいからである。その結果、タリバーン兵士たちをグアンタナモで動物園のように檻にいれて「尋問」することも、イスラームを信じているだけで容疑者扱いにする米国政府の人権侵害や、いまもアフガニスタンで続いている民衆を巻き込む爆撃についてだれも文句を言わないグローバル・ファシズムが支配している。
 これに対して、われわれは一九三〇年代のヨーロッパでなされたような、反ファシズムの広範な共同戦線を組む必要がある。このような反ファシズム共同戦線の形成を夢見る新春である。