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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2003年1月号

代表世話人からの新年メッセージ

自主・平和・民主を旗印に勇気をもって

槙枝 元文


 小泉構造改革のかけ声のもとで始まった過去一年半にわたる諸改革を顧みるに、特殊法人の廃止・民営化や、道路公団の改革・民営化、そして高速道路をはじめとする無駄な公共事業の見通しに典型的にみられるように、肝心の諸改革はことごとく官僚と与党の族議員によって阻まれ、リストラや賃金の切り下げ、年金の減額、医療費の自己負担増、各種掛金の増額、中小企業の倒産といった労働者・庶民、中小商工業者の生活を苦しみに追いやる政策のみが着々と具体化されてきている。
 また、九・一七の日朝両国首脳による平壌宣言によって、ようやく懸案の日朝国交正常化に明るい展望が開かれるかと期待したのもつかの間、せっかく外交ルートを通じて合意した拉致被害者五名の一時帰国を、家族や家族会、それに応援団である議員連盟の要求におされて、日本政府が一方的に永住に切り替え、家族会議の統一要求として、子どもたち家族全員の日本への即時送還という要求を提起したことから、日朝交渉は暗礁に乗り上げ、いまや閉塞状態に陥っている。
 もちろん日朝両国民の間には、過去の植民地支配といういまわしい歴史を通じて、また教育・宣伝などを通じて、不信の感情が潜在的に存在していることは否定できない。しかし、昨年の日朝首脳会談の直後に行われた世論調査の結果をみると、日朝国交正常化を求める国民が八〇%近くに達している事実は、近隣として、また過去の植民地支配に対する反省から、更には北東アジアの平和と安定のために、それぞれ冷静な判断に基づくものと信じたい。
 したがって外交当局は、感情論や国交正常化の阻止を企む人々の声にまどわされることなく、また『相手国が食糧・経済に困窮しているから、待てば譲歩するだろう』などといった傲慢な態度は厳に謹み、主体性をもって互いに約束を守り合い、一つ一つの課題について友好的に議論し、相互信頼を深めつつ国交正常化の実現を図ってもらいたい。
 私は、最近とみにマスコミの報道のあり方に不信を抱いている。マスコミは民主主義の武器といわれるように、真理・真実を究明して国民に知らせることによって国民に正しい判断を求め、正しい世論形成を促すべきものである。ところが拉致問題を含む日朝交渉に関わる報道にしても、米朝関係の険悪化に関わる報道にしても、またイラクへの攻撃をあせる米ブッシュ政権の報道にしても、ことのいきさつを公平に正しく究明することなく、いわば強者の側に立って一方的に朝鮮・イラクを「悪」と前提しての報道に終始しているかの如く私の目にはうつる。
 いま軍事力による世界制覇の野望をもつブッシュは、イラク攻撃の機を虎視眈々とねらっている。これを予想してイージス艦の派遣をはじめ米軍支援の準備を着々と進めている日本政府、このような中で迎えた二〇〇三年の新春、自主・平和・民主を旗印とする私たち広範な国民連合は、心を新たにして、勇気をもってこの危機に立ち向かおうではありませんか。