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アメリカのイラク攻撃計画に反対する

アジア平和連合実行委員会

2002年11月15日


 アジア平和連合はサダム・フセインが国連安全保障理事会決議1441を受諾したことを歓迎する。このような結果になったことで安堵の胸を撫で下ろした向きもあろうが、我々はアメリカ合州国がイラクに戦争を仕掛ける恐れは単に先送りになったに過ぎないと確信している。
 我々はイラクに戦争を仕掛けようとするアメリカ合州国政府の諸々の目論見を非難し、安全保障理事会をこの戦争の隠れ蓑として利用しようとするアメリカ政府の企みを非難するものである。
 アメリカはイラクの武装解除に踏み込むに先立って、国連安全保障理事会に立ち戻りその支持を得ることを余儀なくさせられた。このことは、国際関係の中に法の支配を幾分たりとも持ち込みたいとの国際社会側の要求を反映したものだが、イラクに関する安全保障理事会決議は―確かにアメリカのマスコミでは'国際社会の声'と大々的に報じられてはいたが―残念ながらワシントンの戦争計画に屈服するものである。この決議は脅迫の下で採択されたものである。
 アメリカは何れにしろ中東における経済的および軍事的権益を追求するために、安全保障理事会の決議があろうとなかろうとイラクを攻撃するつもりでいる。ジョージ・W・ブッシュとその手先たちは、米議会の承認を武器とし、安全保障理事会決議の採択の前も後も、フセインの決議受諾の前も後も、繰返し軍事攻撃の脅しをかけてきた。アメリカはその戦争計画に合法性を獲得するために安全保障理事会に同調しているにすぎない。
 我々はブッシュ政権が公然と宣言しているイラク侵略の意図を断固非難する。なぜならブッシュ政権のこの意図には、アメリカが"悪"或は"文明の敵"とのレッテルを貼れば如何なる国をもアメリカが無条件に攻撃し、その結果自国の要求を全世界に押し付ける権利があるのだ、というアメリカの主張を、無理やり国際社会に受入れさせそして正当とさせる方向への大きな一歩となることが目論まれているからである。
 9月に公表されたいわゆるブッシュ・ドクトリン(アメリカ合州国国家安全保障戦略)は、国際法の確立されている規範全てのみならず国連憲章をも犯し無視することがアメリカ帝国の権利である、との乱暴な主張を剥き出しにし、"我々(アメリカ)の価値観と我々(アメリカ)の国益が結びついた結果生まれた極めてアメリカ的な国際主義"(ブッシュ・ドクトリン)の名においてこの行為を正当化している。アメリカによる差し迫った圧倒的なイラク侵略を目前にして、我々はこの帝国主義政権に屈するのか或は拒否するのかという厳しい選択を迫られている。我々はアジアの民衆として、帝国主義政権を拒否する。
 我々はイラクへの戦争を擁護する論拠は存在しないと信ずるものである。

 イラクがアメリカやヨーロッパを脅やかしたことはない。イラクの非宗教バース政権はアルカーイダとの繋がりはないし、テロ攻撃を企てたとして告発されたこともない。湾岸戦争後イラクの核施設の査察を行った国際原子力機関(IAEA)は、1997年10月安全保障理事会に対し、イラクが大量破壊兵器(WMD)を製造できるという証拠はないと報告した。兵器査察官何人かからの報告書もこれを確認した。イラクは如何なる国に対してもWMDを使ったことはない。使ったのはアメリカだけである。
 安全保障理事会決議1441は思いきった文書である。1991年湾岸戦争の終結に際して採用され、独立した兵器査察機関、戦争の恐れの終結、経済制裁解除の明確なタイムテーブル、そして中東での非大量破壊兵器地帯の創設、といったこの地域の政治的解決のための諸方策を示した安全保障理事会決議687の重要な観点が、そこにはない。決議687はイスラエルの非核化の必要を指摘していた。しかし決議1441は全ての責任をイラクに負わせ、これまでの決議に違反しているとしてイラクを非難している。査察機構の強化、そしてベルサイユ条約のやり方を彷彿とさせる軍備縮小を要求している。どのような国もこんな要求を受け入れることはできないし、どんな査察機構も成功とすることはできない。決議1441は、安全保障理事会は国連兵器査察団の報告書が出てから状況を考察するために安保理事会を召集する、と記しているが、もしイラクが決議に違反したとみなされた場合には'重大な結果'を招くだろうと記して軍事条項を密かに入れ込めている。
 アメリカは、イラクが以前の安全保障理事会決議に違反し兵器査察団を追い出している、とイラクを追及しているが、これは自らを正しいと強弁しているに過ぎない。アメリカは、パレスチナ関連の29の国連決議とさらにアメリカがイスラエルのために拒否権を行使した27の国連決議を無視するイスラエルに、精神的、経済的、政治的支援を与えてきた。兵器査察団は1998年には安全保障理事会に許可を求めることなく、アメリカ・イギリス連合軍によるイラクへの空爆の直前にイラクから退去した。アメリカは決議687にあらゆる面で違反してきた。米英は考えられる制裁の中で最も苛酷な制裁をイラクに対して課してきた結果、主に一般住民に被害を与え、数千のイラクの子どもたちを死に至らしめ、イラク国民に非人道的な苦難をもたらした。
 アメリカはおこがましくも、イラクの体制変化が必要だから、すなわちサダム・フセインの引き降ろしが必要だから、イラク攻撃は正当なのだと言ってきた。アメリカには、自国の領土でもないところで、自国のために、他国の政府を倒したり樹立したりする役を勝手に自分に割振る権利など、ありはしない。
 我々はイラク民衆の抵抗の努力に敬意を表するものである。イラク民衆にこそ彼ら自身の未来を決める権利があるのだ。
 イラクの石油を支配し手に入れることがこのアメリカの戦争の主目的であることは明らかである。アフガニスタンにおけると同様にイラクにおいて政権を交代させ親米政権を樹立することは、アメリカの石油会社の支配を確かなものとするであろう。OPECが持つ石油価格を支配する力はアメリカの手に渡ることになろう。更に、アメリカはこの地域全体に対する支配と覇権を握り、イランに始まりサウジアラビアに至るこの地域の政権を交代させたり諸国の国の構造を変えることができるようになるに違いない。
 ブッシュ政権が先制攻撃主義を当然のこととし、必要とあらば単独で戦闘に入る権限を国会から得たのはこの為なのである。米英軍をこの地域に大挙展開していることがこの米英連合のひたむきな軍国主義を示している。他の諸国はこの戦争を戦後の決着の仕方に目を向けながら支持している。この戦争もグローバリズムを標榜する政権の下で行われる戦争となるだろう。
 我々はアメリカ議会がアメリカ大統領にイラク攻撃の権限を与えたことを非難するものである。同様に、アメリカ大統領が国連安全保障理事会の許可無しでも戦争を仕掛けると脅迫していることを非難する。
 アジア平和連合はサダム・フセインの弁護をするものではない。しかしブッシュ主導のこの戦争は、一般人と都市居住区に主に被害をもたらし、今後何十年にわたって中東全域を不安定化し、焦眉のパレスチナ問題の解決を阻むことになるに違いない。この戦争は過去50年間正常に働いた国際法の全ての原則をアメリカだけが常に踏みにじり解体することになる一国支配の世界秩序を作るだろう。
 我々は、アメリカによって組織された戦争という現状況の下で、暴力の悪循環を引き起こす不安定化の過程が、アジアを急速に飲み込みつつあるという事実に、特に注意を喚起したい。
 朝鮮半島を覆う緊張は、北朝鮮との合意枠組みを崩壊寸前の危機に至らしめるまでに高まっている。イラク戦争は、バリ島の事件とフィリピンの最大の反対派武装勢力を"テロリスト組織"と名指すことを利用して、東南アジアにまで広げられようとしている。
 大きな組織的な国家暴力に対して暴力で応酬することは、一般市民に対して無差別的に攻撃することもそうだが、明らかにブッシュの支配力を強め、アメリカの政治軍事機構と最も強圧的な地方エリート・国家エリートとの間の最もたちの悪い連係を助長するだけであることは明らかであり、更なる民主主義の溶解と民衆の権利と自由の抑圧をもたらすだろう。我々はこのような事態をインドネシアとフィリッピンで既に目のあたりにしている。
 我々はアジアの全ての人々にこの戦争に反対するよう訴える。
 我々は国際社会に、この戦争を遂行するアメリのがむしゃらな行動に反対し、アメリカの戦争続行に反対する国連安全保障理事会決議を採択することを訴える。
 我々は平和を愛する全てのアジアの人々に共に集い、暴力の悪循環を絶ち、非暴力の抵抗によって民主主義と自由を創造擁護し、正義に基づく民衆同志の関係を構築しようとの力強いアジアの声を挙げることを呼びかける。
 我々はアジア平和連合の全てのメンバーに、それぞれの国の政府にアメリカのイラク攻撃に反対することを強く求め、アジアの平和を愛する全ての勢力がアメリカの戦争政策に反対していることを、世界の他の地域の平和運動と連帯して明確に示す、全アジアに広がる行動に参加することを呼びかける。




署名


アジア平和連合
実行委員会


2002年11月15日


APA創設会員からの賛同署名

アジア平和連合・日本
新しい選択のためのアジア地域交流
ASR才能センター(パキスタン)
バラート・ギャン・ヴィギャン・サミティ(インド)
戦争でなく平和を求める委員会(香港)
世界の南に焦点を
世界の南に焦点を・フィリッピン・プログラム
平和を求める集合(フィリッピン)
国際対話をめざすイニシャチブ
カラヤーン(カチプナン・パラ・サ・パグパパラヤ・ング・サンバヤナン、フィリッピン)
無核フィリッピン連合
パキスタン平和連合
パルタイ・ラキャト・デモクラティク(人民民主党、インドネシア)
平和キャンプ(フィリッピン)
ピープルズ・プラン研究グループ(日本)
国際刑事法廷を求めるフィリッピン連合
平和を作る女性(韓国)



アジア平和連合会員(個人)

セルヴィ・ティルチャンドラン(スリランカ)
女性の教育才能センター・所長[APA創設会員]
スマンタ・バネルジー(インド)
平和と民主のためのパキスタン-インド民衆フォーラム[APA創設会員]
ニガット・サイード・カーン[APA実行委員]
(平和のための南アジア女性、コーディネーター)
(民衆平和連合、コーディネーター)
カマル・ミトラ・チェノイ[APA創設会員]
(全インド平和と連帯評議会、副議長)


その他の団体、個人;

マレイシア社会改革運動(アリラン)
ジョイ・バラゾ
連合する教会、オーストラリア

(2002年12月3日 寺尾光身 訳)