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武力攻撃事態への対処に関する特別委員会御中

「有事法制」に関する審議

武者小路公秀 中部大学国際関係学部教授

 有事法制にはさまざまな問題があり、安易にお認めにならぬようにお願い申し上げます。なかんずく、今日「武力攻撃」の恐れが、これまでの国際紛争とはちがっていることが、政府見解のなかで提示された事例に全く反映されていないことを憂います。すでに反テロ戦争を開始している日本の同盟国、米国の決定次第で、戦局がイラクから朝鮮民主主義人民共和国を対象とする段階にいずれ突入することが明確になっている以上、武力攻撃の恐れは、米国が北朝鮮を攻撃する方針を公表した段階で当然発生します。そのときに、日本が武力反撃を予想させるような挑発をしないよう、日本が同盟国として米国の翻意を促す必要があります。日本に対する「武力攻撃」に対処することと、日本の同盟国がきめた「武力攻撃」に巻き込まれ、これに協力することとは全く異なる事態です。
 すでに日本が米国の支援を約束したガイドラインを設定した以上、日本としては米国による武力攻撃という事態に受動的に協力する以外、まったく動きが取れない状況のもとで、有事法制を適用することは、日本を米国に完全に従属させる軍事的・政治的効果を生む独立国としての日本の基本的な選択を否定することになります。そのような事態を想定して、日本国民が米国への従属関係を甘受するかどうかを、しっかり議論したうえでなければ、「有事法制」三法案の審議を完了させるべきではありません。以上のことを考慮されて、悔いを千載にのこす決定をなさいませぬよう切にお願い申し上げます。

以上。