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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2002年1月号

各地のとりくみ

神奈川愛媛大阪愛知


学習討論会「同時多発テロの背景と報復攻撃
の影響、日本の役割を考える」 神奈川

 十一月三日、「同時多発テロの背景と報復攻撃の影響、日本の役割を考える」学習討論会が、竹田四郎氏(広範な国民連合・神奈川代表世話人)や唐崎旬代氏(横浜YWCA)などの呼びかけにより、講師に藤田進氏(東京外国語大学教授)を迎えて横浜で開催されました(写真左)。国会では真剣な議論もなくアメリカの戦争協力法と自衛隊派遣が決まりましたが、会場には新聞やインターネットの案内を見て参加した青年、女性の姿が目立ち、この問題に対する関心の高さが伺えました。
 藤田氏はテロの背景として、アメリカを始めとする欧米列強が石油利権をめぐって中東地域の政治的枠組みを決め、民衆に貧困と差別を強要していることと、イスラエルの存在を指摘されました。第二次世界大戦後、アメリカが中心に支援して、それまでそこに住んでいたパレスチナの人々を武力で追い出して作り上げた人工国家・イスラエル。中東の中でアメリカの利権や産油国の利害の中でパレスチナの人々を武力で抑えつけるイスラエルのやり方が人間の絶望と怒りを生み出し、暴力的な対決になってきた。イスラエルが自分の国家を維持するには、アメリカの力を借りて、ますます暴力的に中東の人びとを殺し続けなければならなくなる。アメリカのダブルスタンダードという政治主義に対して、私たち一人ひとりが問題を問うということが非常に重要だと指摘しました。      (広範な国民連合・神奈川 越川)



広範な国民連合・愛媛第五回総会
記念講演「日米同盟の五十年と日本の進路」

 十一月十日、松山市で広範な国民連合・愛媛第五回総会が開催されました。
 総会では、「つくる会」教科書採択阻止、撤回要求の県民運動を中心に一年間の活動の報告と総括を行いました。県教委や県知事という地元の権力機構との闘いを通じて、国の進路を争う国民運動の一端を担えたのではないかという意見も出されました。広範な県民が連携すれば県の政治を揺り動かす大きな力になることも経験し学びました。そして、教科書問題の継続、日米安保破棄の学習と世論喚起、「えひめ丸」事件問題、基地撤去の闘い、改憲反対の幅広い運動、アジアの共生、失業・リストラ反対、中小商工業や農林業の取り組みなどの課題と、組織拡大を進める活動方針を確認しました。
 第二部では、名古屋大学の佐々木雄太教授を招き、「日米同盟の五十年と日本の進路」と題する記念講演を開催しました。佐々木氏は、今年が日米安全保障条約、サンフランシスコ講和条約締結五十年目にあたること、講和条約そのものが「片面講和」であり、その後の日本とアジアとの不正常な関係を大きく規定したこと、六〇年安保、七〇年安保、沖縄返還、日米安保再定義など憲法をこえる日米安保の存在を批判されました。また冷戦崩壊後もアジアに冷戦的思考を持ち込んでいること、同時多発テロでもアメリカの政治、軍事の一極支配があると指摘されました。最後に、二十一世紀の日本の選択肢は、「日米中軸か、アジアの中の日本か」と提起され、アジアの中の日本として生きていくのが望ましいと話されました。    (広範な国民連合・愛媛事務局 武田)



「米国テロ事件と日本の進路を考える」
広範な国民連合・大阪

 広範な国民連合・大阪は十一月十六日、大阪市内で講演集会「米国テロ事件と日本の進路を考える 今こそ自主・平和外交を 日米安保はいらない・基地もいらない」を開催した(写真左)。会場には、インターネットなどを通じて開催を知った、若い人たちの参加が目立ち、労働者・市民など約百名が参加した。
 基調講演を野田英二郎(元駐インド大使)、阿部政雄(『日本アラブ通信』主宰)の両氏が行った。
 野田氏は「アジア諸国は日本の軍備増強を望んでいない。これを忘れるととんでもないことになる。また米国は、日本のインド洋への自衛隊派遣に大喜びしたが、アジアの国同士が仲良くなることよりも、それぞれがワシントンをいちばん信頼する関係を望んでいる」と、アジアをめぐる状況を語った。さらに、「日本も米国に対して堂々と、自立・平和・共存共栄の立場を主張すべきだ。今回、日本の国是が大転換させられたが、かえって、日本の進路をめぐる国民的な議論をおこしやすくなった」と提起した。
 続いて阿部氏は、「テロ事件の真相は、誰が犯人かも含めてまだ真実はわかっていない。米国支援のための自衛隊派遣に踏み切った日本政府の対応は、これまでのアラブ諸国との信頼関係を根底から崩すものだ。自国の政府は、その国の国民が決めるべきもの。戦後政府のあり方までたくらむ態度は、許されない」と、「タリバン後」の政府樹立をもくろむ米国とそれに追随する日本政府をきびしく批判した。
 その後、弁護士の丹羽雅雄氏の司会で、会場からの質疑も含めて熱心に討論が行われ、国の進路についての議論を深めた。参加者からは「非常にいい話を聞くことができた」などの感想が寄せられた。   (広範な国民連合・大阪 事務局)



「ペシャワール会の活動から見た
アフガニスタンという国」 愛知で集会

 十二月八日、愛知県豊田市で「ペシャワール会の活動から見たアフガニスタンという国」と題した集会がありました。この集会は市政問題をテーマに熱心に活動を続けている「サッカー場問題を忘れない!とよた市民の会」が、広く世界の出来事にも目を向けて今後の活動にも役立てようと開催したもので、多くの市民が参加しました。
 集会ではペシャワール会名古屋事務局の五井泰弘さんがビデオ上映を交えながら、ペシャワール会の活動やパキスタン、アフガニスタンの民衆の生活や感情を解りやすく報告されました。特に中村医師を中心とした医療スタッフが、現地で苦労を重ねながら一つの病院と六つの診療所を開設し、無償で医療活動や食料支援を十数年も続けていること、資金難の欧米NGOの大部分が撤退する中で、戦火の中でも民衆と共に医療施設を守り献身的に働く日本人に高い信頼が寄せられていることが強調され、ペシャワール会への支援を訴えられました。また、これまで日本政府からも数百万円の援助を受けていたが、官僚的で煩雑な手続きに閉口し、昨年以降は全国の支援者からの協力もあって政府の援助を拒否したことも報告されました。
 後半の質疑では、アフガニスタンやパキスタンの民衆が日本に何を期待しているのか、アメリカをどう見ているのか、ビンラディン氏はどうなるかなどについて議論された。この中で五井さんは、現地ではペシャワール会の活動もあり、他の国とは格段の差で日本への親近感や期待は大きく、支援物資の「JAPAN」の文字は信頼の象徴にもなっていること、逆に「USA」の文字は気味悪がられており、食料も捨てられていることも話されました。
 最後に、五井さんはアメリカに追随して拙速に自衛隊を派遣する小泉首相を批判し、ペシャワール会への更なる支援を呼びかけました。