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代表世話人からの新年メッセージ

広範な国民連合の果たす役割

槙枝 元文


 新春、明けましておめでとうございます。
 昨年一年を顧みますと、二十一世紀こそは平和で明るい未来を創造する世紀にと、期待をもって迎えた初頭の年でした。しかし、年明け早々、二月十日の米海軍潜水艦による実習船「えひめ丸」の沈没事故という暗いニュースに始まり、七月の参議院選挙では予期せぬ小泉旋風に助けられて、自・公・保政権が数のうえでは安定したものの、日本が帝国主義時代に犯した侵略戦争や植民地政策をわい曲し、美化した歴史教科書や、小泉首相の靖国神社への参拝に対する中国、韓国をはじめとする近隣諸国からの批判と抗議が相次ぎました。さらに沖縄では米駐留軍による少女わいせつや婦女暴行をはじめ暴行事件や連続放火など暗いニュースの連続でした。
 一方、地球世界に目を向けると、中東におけるイスラエルとパレスチナのテロと暗殺、報復爆撃の繰り返しはとどまるところを知りません。そこへアメリカに対する同時多発テロとあって、テロ撲滅を旗印に、その中心人物をオサマ・ビンラディンと称してこれを標的にし、罪なき市民を含めてアフガニスタンに対して、アメリカ主導のもとに世界をあげての報復戦争に暮れた一年でした。
 テロを憎み、テロの撲滅を図ることには誰しも異論はないでしょうが、テロに対して報復的発想をもって軍事力と経済力を駆使して首謀者やその一味を逮捕し、処刑し、抹殺することによってテロが果たして撲滅できるでしょうか。倒産、失業、貧困、ギャンブルの横行、貧富の格差が拡大し差別が横行する社会は暴力、殺人、強盗、テロの温床といわれます。
 ここ数年来発生している国際テロの多くがアメリカの外国公館に集中しています。今回の同時多発テロもアメリカの経済、軍事、政治の中枢をねらっている事実からして、単なる異常者による無差別的なテロではなく、地球世界の現状に対する目的意識をもった警告的テロと受け止めるべきです。現在、地球世界に存在する貧富の格差や、人種、宗教による差別、支配と被支配の実態を究明し、反省し、対処することこそが必要ではないでしょうか。
 それにしても今回の報復戦争に対して小泉首相はいち早く支持を表明し、平和憲法のもと専守防衛を旨とすべき自衛隊を、僅か数時間の国会審議によって自衛隊法を改正し、米軍のあるところ何処の地域を問わず後方支援の名のもとに出動させる道を開きました。
 一昨年の自・自・公連立政権、その後の自・公・保連立政権と、ここ三年間の日本の変化は、内政はもとより日本の進路そのものを大きく転換させていることに気付くでしょう。しかもこの重大な転換に対して政治の舞台はもとより、労働運動も大衆運動も、又言論界も、ほとんどみるべき批判、論争もない、いわばチェック機能皆無に等しい現実に私は寒心と怒りを禁じ得ないと同時に、「自主・平和・民主の日本の進路」を求めて結集した私ども「広範な国民連合」の果たす役割の重要さを改めて認識しなおす新春です。