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朝鮮総聯への政治的弾圧に反対する声明

 検察と警察は11月29日、在日朝鮮人の協同組織金融機関である朝銀東京の破たんを口実に、朝鮮総聯の中央本部、東京都本部、西東京本部を強制捜査し、中央本部の元財政局長を逮捕しました。
 どのような根拠で、朝銀の破綻が朝鮮総聯の責任に関係があると判断したか、全く不明です。マスコミもセンセーショナルに報道しただけで、強制捜査の根拠についてまったく報じていません。公安当局によってその根拠が説明されていない以上、われわれは政治的弾圧であると考えざるを得ません。
 朝鮮総聯は、日本の植民地支配によって朝鮮半島から日本への移住を余儀なくされたり、日本に強制連行されてきた人々、その二世、三世が、自分たちの生活、人権、民族的権利を守るためにつくっている民主的な団体です。日本と朝鮮民主主義人民共和国との国交がないもとで、朝鮮民主主義人民共和国の大使館に準ずる役割をはたしている同国の海外公民団体です。
 そもそも、強制捜査を正当化するには、朝銀東京の破綻に朝鮮総聯が加担していたという信頼にたりる証拠が必要です。朝鮮総聯は破たんした朝銀東京とはまったく別の組織ですし、朝銀東京は深刻な不況で破たんした数多くの中小金融機関の一つにすぎません。それにもかかわらず、なぜ朝銀東京が大々的な捜査の対象になり、外国大使館への強制捜査にも等しい朝鮮総聯への強制捜査が行われたのでしょうか。単なる中小金融機関の破たん処理の一環ではなく、背後に政治的意図を感じざるを得ません。
 さらに、公安調査庁が「破防法調査のため」と称して、在日朝鮮人・韓国人の外国人登録原票の写しを全国の自治体から大量に入手し、在日朝鮮人・韓国人を犯罪者扱いする人権侵害を行っていたことも発覚しています。このように一連の公安活動が在日朝鮮人を対象にしている以上、今回の強制捜査もその一環としておこなわれたと考えることが当然です。
 このたびの強制捜査は、国民の中に朝鮮総聯に対する悪いイメージを植えつけ、在日朝鮮人への差別意識をあおり、朝鮮民主主義人民共和国を敵視するものと言わざるを得ません。朝鮮総聯に対する政治的弾圧であり、日朝国交正常化に新たな障害を持ち込むものです。それはまた、日本の民主主義を危うくする不透明な公安活動として断罪されなければならないと思います。公安活動の透明性を保証することに、日本のマスコミも積極的に協力するべきです。
 いま日本にとって必要なことは、日朝間の緊張をあおることではなく、早急に日朝国交正常化を実現して、日朝間に平和友好関係を築くことではないでしょうか。それこそがアジアの平和と安定を促し、アジアの共生に道を開くものと確信します。
 私たちは、国民のみなさんが、公安活動の透明性を要求し、とくに公安活動の標的に選ばれた朝鮮総聯に対する政治的弾圧に反対し、日朝国交正常化を求める声をあげてくださるよう訴えます。

 2001年12月12日

                自主・平和・民主のための広範な国民連合
                  代表世話人 大槻 勲子  福地 曠昭
                           伏見 康治  槙枝 元文
                          武者小路公秀 本島  等