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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2001年10月号

平和を願う世界の人々と連帯して

米国の報復戦争に反対しよう

 九月十一日、米国で同時テロ事件が発生した。ブッシュ政権は、イスラム原理主義者を犯人と断定し、報復戦争を宣言した。このテロ事件と米国の報復戦争について、どう考えるべきか。いくつかの意見や見解を紹介する。(編集部)

報復
アメリカの歴史学者  ハワード・ジン

報道機関の煽る危機感
国連難民高等弁務官カンダハール事務所 千田 悦子

今回の大規模無差別テロについて
ニューヨークにて  日本パレスチナ医療協会運営委員長 奈良本英佑

米国政府は報復戦争を即刻中断し、力による世界唯一の覇権政策を撤回せよ!(要旨)
韓国の21民主団体

バーバラ・リー議員 ひとり武力報復に反対
キリスト者政治連盟の今井真理さん他四名からのメッセージ

軍事報復戦争をするな、人種・宗教差別をするな
アジア太平洋資料センター(PARC)

報復
アメリカの歴史学者  ハワード・ジン


 テレビの画像には胸が痛む。火の中で、死に向かって跳躍している人々、煙と誇りに巻かれながら、恐怖とパニックのまっただ中にいる人々。私たちは、数千人の人々が生きながら焼かれ、瓦礫の中で息絶えたことを知った。私たちはハイジャックされた飛行機の乗客たちの、衝突、火炎、そしてそのなかで死を迎えるのだという恐怖を思い浮かべることができる。これらの光景は、私を怯えさせ、苦しくする。
 それから私たちの指導者は、テレビに出演して言った。私は再び怯え、苦しくなった。彼らは報復、復讐、処罰を語った。私たちは戦争の中にあると言った。私は考えた、彼らは何も学ばなかった、絶対に何も。百年の間に報復、復讐、戦争があった、テロとそれに対するテロがあった、暴力が暴力を生むという際限のない愚かさがあったことを。
私たちは皆、数多の罪もない人々を殺した人物に激しい怒りを感じる。しかし、その怒りをどうすればよいのか。私たちはパニックのなかで反応するのか、暴力的に攻撃するのか、私たちの強さを盲目的に示そうとするのか。大統領は宣言した、「私たちはテロリストとテロリストをかくまう国々とを区別しないであろう」と。私たちはアフガニスタンに爆撃を行うのか、そして必然的に罪のない人々を殺すのか。爆撃は当然にも区別はつけられないのだから。なるほど「区別はしない」!私たちは、テロリストにメッセージを送るためにテロに参加するのであろうか。
私たちは以前行ったこと、考えたり行ったりした過去のことを振り返る。それは決してうまくいかなかった。レーガンはリビアを爆撃した、ブッシュはイラクに戦争をしかけた、クリントンはアフガニスタンを爆撃しスーダンの製薬会社も爆撃した。テロリストにメッセージを送るために。そしてニューヨークとワシントンで、この事件が起きた。テロリストにメッセージを送るのに、暴力では効果がないこと、さらなるテロを招くことは、今まででもうはっきりしているのである。
私たちは、イスラエルとパレスチナの紛争から何も学ばなかったのか。パレスチナ人の爆薬を仕掛けた車とイスラエル政府の戦車の攻撃とが、何年も続けられている。それでもうまくいかず、両陣営で罪のない人々が死んでいる。
もうふるい思考ではなく、新しい考えが必要なのだ。私たちは、アメリカの軍事行動による犠牲となった世界中の人々の怒りを想起しなければならない。ベトナムではテロとでも言うべき爆撃が農村に対して行われ、ナパーム弾やクラスター爆弾が使われた。チリとかエルサルバドルなどの国々では、私たちは独裁者や殺人部隊を支えた。イラクでは、経済制裁の結果として百万人が亡くなった。そして多分、現在の事態を理解するために重要なのは、ウエストバンクやガザの占領地域であろう。そこでは、百万人以上のパレスチナ人が残虐な軍事的支配のもとに生活している。私たちの政府は、イスラエルにハイテクの武器を供給しているのだ。
私たちは、テレビに示されている怖ろしい死と苦痛の場面が、長い間世界のアメリカ以外の地で続けられてきたことを想起する必要がある。今こそ私たちは、私たちの政策の結果として人々が経験してきたことを知り始めることができるのだ。私たちは、テロに対して怒りを持たない人々がいることを理解しなければならない。
私たちには新しい思考が必要だ。三千億ドルの軍事予算が私たちに安全を与えないこと、世界中にある軍事基地、あらゆる海域の軍艦が、私たちに安全を保障しないこと、地雷が、ミサイル防衛網が私たちに安全を保障しないことを。私たちは世界における自らの位置を再考しなければならない。他民族あるいは自民族を抑圧している国々に武器を送ることをやめる必要がある。政治家やメディアによってどんな理由があげられようとも、私たちは戦争には行かないと決意する必要がある。なぜなら、私たちの時代の戦争は、常に無差別である、罪なき人々に対する戦争、子どもたちに対する戦争、というように。戦争は、百倍に増幅されたテロである。
私たちの安全は、武器や航空機、爆弾ではなく、人々の健康や福祉、すべての人々への医療行為、教育、満足できる給料で保証された家、きれいな環境に国富を費やすことによってしかあり得ないのだ。私たちは、政治指導者が要求するような自由の制限によってではなく、それらを拡大することによってのみ安全なのである。
 私たちは、軍隊や政治の指導者が報復や戦争を叫ぶことではなく、騒乱のまっただ中で生命を救ってきた医者、看護婦、医学生、消防夫、警察官を手本にするべきである。彼らのまずはじめの考えは、暴力ではなく癒しであり、復讐ではなく同情なのである。  (翻訳 小池善之)



報道機関の煽る危機感
国連難民高等弁務官カンダハール事務所 千田 悦子


 九月十二日(水)の夜十一時、カンダハールの国連のゲストハウスでアフガニスタンの人々と同じく眠れない夜を過ごしている。私のこの拙文を読んで、一人でも多くの人がアフガニスタンの人々が、(ごく普通の一人一人のアフガン人達が)、どんなに不安な気持ちで九月十一日(昨日)に起きたアメリカの四件同時の飛行機ハイジャック襲撃事件を受け止めているか少しでも考えていただきたいと思う。テレビのBBCニュースを見ていて心底感じるのは今回の事件の報道の仕方自体が政治的駆け引きであるということである。特にBBCやCNNの報道の仕方自体が根拠のない不安を世界中にあおっている。
 事件の発生直後(世界貿易センターに飛行機が二機突っ込んだ時点で)BBCは早くも、未確認の情報源よりパレスチナのテログループが犯行声明を行ったと、テレビで発表した。それ以後、事件の全貌が明らかになるにつれてオサマ・ビン・ラデンのグループの犯行を示唆する報道が急増する。その時点でカンダハールにいる我々はアメリカがいつ根拠のない報復襲撃をまた始めるかと不安におびえ、明らかに不必要に捏造された治安の危機にさらされる。何の捜査もしないうちから、一体何を根拠にこんなにも簡単にパレスチナやオサマ・ビン・ラビンの名前を大々的に報道できるのだろうか。そしてこの軽率な報道がアフガンの国内に生活を営む大多数のアフガンの普通市民、人道援助に来ているNGO(非政治組織)、NPOや国連職員の生命を脅かしていることを全く考慮していない。
 一九九八年八月にケニヤとタンザニアの米国大使館爆破事件があった時、私は奇しくもケニヤのダダブの難民キャンプで同じくフィールドオフィサーとして働いており、ブッシュネル米国在ケニヤ大使が爆破事件の二日前ダダブのキャンプを訪問していたという奇遇であった。その時も物的確証も無いままオサマ・ビン・ラデンの事件関与の疑いが濃厚という理由だけでアメリカ(クリントン政権)はスーダンとアフガニスタンにミサイルを発射した。スーダンの場合は、製薬会社、アフガンの場合は遊牧民や通りがかりの人々など大部分のミサイルがもともとのターゲットと離れた場所に落ち、罪の無い人々が生命を落としたのは周知の事実である。まして標的であった軍部訓練所付近に落ちたミサイルも肝心のオサマ・ビン・ラデンに関与するグループの被害はほぼ皆無だった。タリバンやこうした組織的グループのメンバーは発達した情報網を携えているので、いち早く脱出しているからだ。前回のミサイル報復でも結局犠牲者の多くは子供や女性だったと言う。
 我々国連職員の大部分は今日緊急避難される筈だったが天候上の理由として国連機がカンダハールに来なかった。ところがテレビの報道では「国連職員はアフガニスタンから避難した」と既に報道している。報道のたびに「アメリカはミサイルを既に発射したのではないか」という不安が募る。アフガニスタンに住む全市民は毎夜この爆撃の不安の中で日々を過ごしていかなくてはいけないのだ。更に、現ブッシュ大統領の父、前ブッシュ大統領は一九九三年の六月に同年四月にイラクが同大統領の暗殺計画を企てた、というだけで同国へのミサイル空爆を行っている。世界史上初めて、「計画」(実際には何の行動も伴わなかった?)に対して実際に武力行使の報復を行った大統領である。現ブッシュ大統領も今年(二〇〇一年)一月に就任後ほぼ最初に行ったのがイラクへのミサイル攻撃だった。これが単なる偶然でないことは明確だ。
 更にCNNやBBCははじめからオサマ・ビン・ラデンの名を引き合いに出しているが米国内でこれだけ高度に飛行システムを操りテロリスト事件を起こせるというのは大変な技術である。なぜアメリカ国内の勢力や、日本やヨーロッパのテロリストのグループ名は一切あがらないのだろうか。他の団体の策略政策だという可能性はないのか?
 国防長官は早々と戦争宣言をした。アメリカが短絡な行動に走らないことをただ祈るのみである。
 それでも逃げる場所があり明日避難の見通しの立っている我々外国人は良い。今回の移動は正式には避難と呼ばずに暫定的勤務地変更と呼ばれている。ところがアフガンの人々は一体どこに逃げられるというのだろうか? アメリカは隣国のパキスタンも名指しの上、イランにも矛先を向けるかもしれない。前回のミサイル攻撃の時はオサマ・ビン・ラデンが明確なターゲットであったが今回の報道はオサマ・ビン・ラデンを擁護しているタリバンそのものも槍玉にあげている。タリバンの本拠地カンダハールはもちろん、アフガニスタン全体が標的になることはありえないのか? アフガニスタンの人々もタリバンに多少不満があっても二十年来の戦争に比べれば平和だと思って積極的にタリバンを支持できないが特に反対もしないという中間派が多いのだ。
 世界が喪に服している今、思いだしてほしい。世界貿易センターやハイジャック機、ペンタゴンの中で亡くなった人々の家族が心から死を悼み、無念の想いをやり場のない怒りと共に抱いているように、アフガニスタンにもたくさんの一般市民が今回の事件に心を砕きながら住んでいる。アフガンの人々にも嘆き悲しむ家族の人々がいる。世界中でただテロの「疑惑」があるという理由だけで、嫌疑があるというだけで、ミサイル攻撃を行っているのはアメリカだけだ。世界はなぜこんな横暴を黙認し続けるのか。このままではテロリスト撲滅という正当化のもとにアメリカが全世界の「テロリスト」地域と称する国に攻撃を開始することも可能ではないか。
 この無差別攻撃やミサイル攻撃後に一体何が残るというのか。また新たな報復、そして第二、第三のオサマ・ビン・ラデンが続出するだけで何の解決にもならないのではないか。オサマ・ビン・ラデンがテロリストだからといって、無垢な市民まで巻き込む無差別なミサイル攻撃を国際社会は何故過去に黙認しつづけていたのか。これ以上世界が危険な方向に暴走しないように、我々ももう少し声を大にしたほうが良いのではないか。
 アフガンから脱出できる我々国連職員はラッキーだ。不運続きのアフガンの人々のことを考えると心が本当に痛む。どうかこれ以上災難が続かないように今はただ祈っている。そしてこうして募る不満をただ紙にぶつけている。
二〇〇一年九月十三日



今回の大規模無差別テロについて
ニューヨークにて  奈良本英佑


 九月十一日朝、アメリカ合衆国上空で民間国内便四機がハイジャックされ、二機がニューヨーク市の世界貿易センタービルに突っ込んで同ビルを炎上、崩壊させました。後1機はペンタゴン、もう1機はピッツバーグ郊外に墜落。死者は合わせて数千人にのぼると見られます。史上例のない大規模無差別テロであり、いかなる理由があろうとも断じて許されるものではありません。
 世界中から非難の声があがったのは当然であり、中東、イスラーム世界からも、パレスチナ自治政府、アラブ各国政府などが「野蛮な犯罪行為」だと激しく非難、OIC(世界イスラーム諸国機構)は、全世界のイスラーム教徒の名においてアメリカ政府と国民に対する哀悼を声明しました。
 大規模な組織と周到な準備によると思われるテロにもかかわらず、なんの要求も主張もなく、テロ集団によるなんらの声明もありません。誰が何のためにやったのか、実態はなぞに包まれています。そのため、あらゆる憶測が可能ですが、早くもイスラーム教徒やアラブ人に対して疑いの眼が向けられ、アメリカではモスクに対する銃撃やムスリム・アメリカン、アラブ・アメリカンに対する脅迫電話・メールや嫌がらせが頻発しています。アラブ、イスラーム教徒、パレスチナ人がやったに違いないと勝手に決め付け、この人々全体をテロ集団だと思い込む人たちもなくはありません。
 いま、アメリカ政府は、今回のテロに対する徹底的な「報復」を準備しています。爆撃や米軍部隊の上陸を含むといいます。日本政府は、この報復を支持し軍事的にも協力するようなことを言っています。しかし、誰に対してどのような「報復」をするつもりでしょうか。アメリカが「テロリストの根拠地」「出撃地点」とみなした地域や建物を攻撃・占領・破壊し、「テロリストとその協力者」と認定した人達を殺すということなのでしょう。
 今回のテロが前例のない大規模な国際犯罪であることは言うまでもありません。犯罪の徹底した捜査、犯罪者が、国際法、関係諸国の国内法にもとづいて厳正に処罰されるべきことは当然です。しかし、いかに犯罪が重大であっても、国際法や国際慣行を無視して、アメリカ政府が勝手な軍事行動をとるべきではないし、日本の自衛隊がこのような作戦に協力するなど論外です。
 テロを軍事力によって封じ込めることは不可能です。このことは歴史が証明しています。テロ問題とは基本的に政治問題であることを忘れてはなりません。最大の軍事大国であるアメリカがなぜ頻繁にテロ攻撃の標的になるのか。力にまかせて、しばしば「超法規的」な武力行使を行ってきたことも、関係がありはしないでしょうか。軍服を着た正規軍による殺傷や破壊も、民間のテロリストによるものと同様、その残虐性に変わりありません。正規軍の軍事行動が容認されているのは、国際的な戦争法規にもとづいて行動する建前があるからです。正規の軍隊が超法規的に行動すれば、これは国家による大規模テロであり、戦争犯罪です。このような「国家テロ」で親・兄弟姉妹を殺された人々があらたなテロ予備軍になって行くことは、容易に想像できることです。
 テロに対して政治的に対処することは、この世界から残酷な差別、抑圧、貧困、不正をなくすよう不断の努力をつづけることです。何億もの人々が、一切れのパンがなくて飢え死に、一錠の薬が手に入らず病死している一方で、大量の食べ残しがごみ箱に投げ込まれている世界。どう考えても異常だと思いませんか。このような世界で、飢え、病気に苦しみ、異議を唱えれば軍隊に殺され、牢獄で拷問にあう。そして怒りと悲しみがたくわえられ、いつか爆発点に達する。こうしたことがなくて、誰がよろこんで爆弾を抱えて人ごみに飛び込んだりするでしょうか。
 このような現状を少しずつでも変えて行く以外、テロをなくすことは不可能です。法に基づいて犯罪に対処するのは当然ですが、これは対症療法に過ぎません。
 私たちは、このような立場にたって、これからもパレスチナ/イスラエルに正義に基づく平和が達成されるまで、ささやかながらもパレスチナ人の医療・保健に対する支援活動をつづけて行く決意です。

 二〇〇一年九月十四日
 日本パレスチナ医療協会
  代 表 芝生 瑞和
  運営委員長 奈良本英佑



米国政府は報復戦争を即刻中断し、力による世界唯一の覇権政策を撤回せよ!(要旨)
韓国の21民主団体


 われわれは九月十一日、世界が驚がくするほどのせい惨なテロを目撃した。「テロ」はその目的がいかに正しくとも、多数の無実の人びとを犠牲にするだけでなく、世界と人類の平和を脅かす野蛮な行為であるがゆえに、われわれはどのようなテロに対しても強く反対する。われわれは、想像を超える大惨事を被った犠牲者と米国国民にまず深い哀悼を表する。
 しかし今回のテロは、これまで世界のいたるところで大小の国家テロを引き起こしてきた米国支配勢力の反人類的・反道徳的・反平和的な対外政策が生み出したものであること視する必要がある。米国はこれまで、とくにブッシュ政権が登場して以後は、ますます世界各国を相手に敵対的な強圧政策で一貫してきた。米国は何よりも、世界唯一の覇権のために世界各国の反対にもかかわらず、MD構築を強行してきた。
 またブッシュ政権は、地球温暖化防止を求める「気候温暖化防止京都議定書」の批准を拒否した。これ以外にも、ブッシュ政権は「人種差別撤廃会議」からの撤収、「生物・化学兵器禁止協定」の拒否、「包括的核実験禁止条約(CTBT)」の廃棄方針などに見られるように、二重的で排他的な傍若無人のごう慢な政策で一貫してきた。
 ノグンリ住民虐殺事件に見られるように、米国がこれまでわが国をはじめ第三世界の民衆と指導者にテロをほしいままに行ってきたことは、解除された米国の公文書によっても明々白々に明らかとなっている。
 今回のテロは、このような「米国の対外政策の苦い果実」なのだ。したがって、米国がテロの脅威から抜け出る唯一の道は、米国が世界人類を相手に行ってきた覇権政策と軍事的テロを中断することにある。にもかかわらず、米国は反省するよりも、今回のテロ事件を「米国に対する戦争行為」と規定し、核戦争も辞さないとの無差別報復戦争を敢行しようとしている。
 しかし報復戦争はテロを終息させるよりも、もっと大きなテロを呼び起こすことになり、終局的には人類共滅の世界大戦を引き起こすだけである。われわれはここに、米国が報復戦争を即刻中断するよう求める。再度強調するが、テロと戦争の脅威から世界と人類を守る道は、米国が世界唯一の覇権政策と軍事的テロを放棄し、人類の共生と共存の道を歩むことである。
 またわれわれは、米国の報復戦争に積極的な協力と支援の意思を明らかにした金大中政府に抗議せずにはおれない。テロから罪のない民衆の生命と財産もやはり尊重されなければならないという点から、米国の報復戦争はなんらの名分もないからである。
 とくに、わが民族もいつでも米国がねらう戦争の犠牲者になりえるという点から、また南北当局者の会談が再開し、統一へと早足を進めることができるこのとき、民族の和解雰囲気を閉そくさせないためにも、金大中政府は今回のテロ事件の対応で冷徹な理性と公正な視角を失わないよう願う。
 二〇〇一年九月十七日
 キリスト社会市民連帯/南北共同宣言実践連帯/梅香里米軍国際爆撃場閉鎖汎国民対策委員会/文化改革市民連帯/米軍虐殺蛮行全民族特別調査委員会南側本部/民族自主民主主義民衆生存権争取全国民衆連帯/民族和解自主統一協議会/民主労働党/民主主義民族統一全国聯合/不平等なSOFA改正国民行動/社会進歩のための民主連帯/我が土地米軍基地取り戻し共同対策委員会/六・一五南北共同宣言実現と韓半島平和のための統一連帯/全国露店商聯合/全国農民会総聯盟/全国民主労働組合総聯盟/全国貧民聯合/祖国統一汎民族聯合南側本部/駐韓米軍犯罪根絶運動本部/駐韓米軍撤収国民運動本部/韓国大学総学生会聯合



バーバラ・リー議員
ひとり武力報復に反対


 九月十四日、アメリカ合州国下院で、プッシュ大統領の武力行使を認める決議に、四百二十対一でただひとり反対票を投じた女性議員バーバラ・リーさんに手紙を送りましょう。私たちの思いをメールと署名によって伝えましょう。
 九月十九日のロスアンジェルス・
タイムズに、下記の記事が掲載されている、と友人が知らせてくれました。
・下院の議決後の三日間にリー議員のところには二万通のメールが届いた。
・ワシントンのリー議員の事務所を私服の警官がガードしている。
・リー議員はカリフォルニア州第九選挙区からの選出議員である。
・リー議員の選挙区は、カリフォルニア州の中で、またアメリカ全土で最もリべルな地域で、オークランドの一部とバークレーも含まれている。
・リー議員の選挙区は、世界的な問題の解決のために戦争と軍事力に頼ることに反対してきた。
・地域の世論調査によれば、五九%がリー議員の反対投票を支持した。九%がリー議員に反対ではあるが良心に従ったことに敬意を表しており、三二%が国家の団結を弱めたとしている。
・カリフォルニア州の事務所にかけてきた電話の九五%がリー議員を支持した。
・リー議員は大統領に議決逆転を迫ることをせず、議会の手に委ねている。
・彼女の政界入りは一九九〇年、共和党ロン・デラム議員のもとで働いていた。両者ともアフリカ系アメリカ人。超リべラルとされている。
・リー議員は、第一次、第二次世界大戦にただひとり反対票を投じた下院議員ジャネット・ランキンの後継者である。
・反対票を投じたためにリー議員の再選が危ぶまれることにはならないもよう。

バーバラ・リー議員の電子メールのアドレスは下記の通り
   barbara.lee@mail.house.gov
(キリスト者政治連盟の今井真理さん他四名からのメッセージ)



軍事報復戦争をするな、人種・宗教差別をするな
アジア太平洋資料センター(PARC)


 わたしたちアジア太平洋資料センター(PARC)は、九月十一日、アメリカを襲った「同時多発テロ」によって、罪のない無数の市民が犠牲になり、それを上回る人びとが負傷したことに深い悲しみを覚え、犠牲者とその家族に深い哀悼の意を表します。またこのような暴力行為を容認することはできません。
 わたしたちPARCは、一九六〇年代末に、アメリカによるベトナム戦争への介入に反対する市民団体を母体として生まれ、日本とアジア・太平洋そして第三世界の人びととの対等平等な関係を築く仕事をしてきました。このような立場から、今回のアメリカでの「同時多発テロ」事件および、同事件へのアメリカ及び日本国政府の対応についてについてわたしたちの見解を述べます。
 まず第一に、わたしたちは、今回の暴力事件が、どのようなグループによって企てられ実行されたにせよ(アメリカ政府はすでに犯人を特定しているようですが)、それを戦争行為と呼び、それに対して国家があらゆる軍事力を用いて報復する権利があると主張し、軍事報復行動を実行しようとしていることに強く反対します。これら事件を引き起こしたグループないし個人に対しては、綿密な捜査の上、その結果を公表しつつ、国際司法および各国の警察力によって厳正な対応をすべきであると考えます。なぜならば、国家をあげての軍事報復ないし同盟国を動員しての軍事報復は、今回の事件と同じく、あるいはそれ以上の罪なき市民を犠牲にする可能性がきわめて大きいからです。こうした軍事報復は、泥沼的な軍事エスカレートを生み出すことになります。
 第二に、わたしたちは、今回の事件の実行犯が誰であれ、その実行犯と、その人びとの属する民族集団ないし宗教とを同一視し、民族的宗教的偏見・差別をなすべきでないと考えます。すでにアメリカではヘイトクライム(偏見や憎悪に基づく犯罪)が起きていると伝えられており、またマス・メディアによる一方的な情報流布も偏見を煽っている側面があります。わたしたちは欧米や日本社会の一部にある、イスラームや第三世界への偏見が助長されることに警鐘を鳴らしたいと思います。
 第三に、今回の「同時多発テロ」事件がいかに残酷、悲惨な事件であろうとも、そのことでアメリカ(政府と軍)が過去に引き起こしてきた多数の残酷・悲惨な国家暴力・戦争・テロリズムを正当化することにはならないと考えます。ヒロシマ・ナガサキにさかのぼるまでもなく、世界の警察官を任じ、すべての正義と善は我にありとの確信のもとに、アメリカの仕掛けた戦争ないし国家テロリズムによって、ベトナム、イラク、スーダン、ニカラグア、パナマ、さらにバルカン半島等々で、無数の罪なき市民が殺されています。さらにはアメリカの軍事的物的支援を受けた多くの国々は、自らの軍隊によって、多くの住民を殺害してきました。欧米や日本に支援されたスハルト政権のインドネシアは、東ティモールを軍事占領し、そこではヒロシマの原爆に匹敵する人びとが犠牲になっています。こうした欧米日本によって支えられてきた第三世界の国家テロリズムは、ニューヨークの世界貿易センタービル自爆テロリズムの百分の一どころか、ほとんど報じられないできています。わたしたちは、今回の「同時多発テロ」の犠牲者に深甚なる哀悼の意を表すとともに、過去の無数のアメリカの仕掛けた戦争や国家テロリズムで犠牲になった人びとに対しても等しく思いをいたさない限り、あらゆる暴力にまつわる無垢の人びとの安全保障はあり得ないと考えます。
 第四に、わたしたちは、とりわけ冷戦体制崩壊後、アメリカを中心に進められている市場経済のグローバル化が、世界をこれまで以上に、力ある者とそうでない者とに二極化させ、そのことが周辺化された人びとを絶望の淵に追いやっていることに深い憂慮の念を抱いています。これら周辺化を強いられた人びとが絶望の淵からテロリズムに希望を見いだす構図がそこにはあります。その人たちの持つ武器は、強者が輸出した武器であり、武器を売る者たちは、それによってさらなる強者になり、武装テロリズムは無垢の市民をさらに犠牲者にしていきます。こうした市場クローバル化とテロリズムの悪の連鎖を断ち切ることこそが今求められていることではないでしょうか。二十一世紀を希望の世紀にするために、国家や国際機関さらには巨大多国籍企業のグローバル化の論理に対し、地球市民同士の連帯と友愛の論理をうち樹てることが肝要であると考えます。
 最後に、アメリカの「同時多発テロ」をもって、日本をさらに軍事面で強化し、非常事態法(有事法)を制定し、集団自衛権の確立をさせようとの動きがあります。わたしたちは、こうした軍事力強化や集団軍事行動容認の流れに強く反対します。わたしたちは憲法前文の平和主義、平和を愛する諸国民への信頼という理想を放棄することなく、世界の構
造的暴力なくすために、地球市民の連帯と信頼を実現することこそがテロリズムを克服し、人びとの安全を保障する道であると考えます。
 二〇〇一年九月十七日
 アジア太平洋資料センター