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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2001年5月号

漁民怒りの実力行動

 有明のノリ漁民は「宝の海を返せ」と実力行動を展開し闘い続けている。青森県三沢では米軍機墜落に抗議し、鹿児島では川内原発増設に反対し漁民が実力行動に立ち上がっている。悪政を打ち破るため共に頑張ろう。


米軍機墜落に抗議し、海上デモ  青森県三沢

米軍F16が三沢沖に墜落

 米軍三沢基地に所属するF16戦闘機が四月三日、天ケ森射爆場沖の太平洋に墜落した。幸いけが人はなかったものの、海に沈んだ機体からは燃料の油が流出し、有毒物質「ヒドラジン」の入った容器が行方不明となった。
 地元住民や漁業者は墜落の翌日、三沢防衛施設事務所へ抗議。三沢市漁協の澤口政仁組合長は、「われわれにとって海は畑や田んぼと同じだ。幸い漁船の被害はなかったが海を軽視しているのか。われわれの生活の場を何だと思っているんだ」と抗議し、一刻も早い流出油対策などを求めた。しかし米軍側による油回収作業は行われず、作業は漁協組合員が行った。四日夜には射爆撃場東方の沖合約七百メートル、水深約五メートルの地点で機体の一部が発見された。三沢市漁協は、海中にある機体の破片に漁船が接触するなどの事故の恐れを指摘し、早急な機体引き上げを強く求めたが、米軍は引き上げの時期を明確にしないまま、訓練再開が通告された。

謝罪と同時に訓練再開を通告

 米軍三沢基地第三五戦闘航空団のジェフリー・ブランチェット副司令官は六日、鈴木・三沢市長と会談し謝罪した。しかし同時に「墜落事故後に中断していた飛行を六日午後一時から再開、通常の飛行訓練は来週から行う」と通告するなど、米軍の態度には誠意のかけらもない。これに対し、鈴木市長は強く反発し再開を拒否。訓練再開は九日まで先延ばしされた。

漁民の怒り頂点、海上デモへ

 三沢市漁協は九日、抗議の海上デモに踏み切った。同漁協による海上デモは今回が初めて。事故機の燃料が海に流出、残がいが海に残るなど漁業に深刻な被害を与えながら、漁業者に対する謝罪がないなど、米軍の横暴な対応に怒りが爆発した。
 デモには約六十隻、百五十人が参加。漁業者らは「三沢市漁協」と書かれた鉢巻姿に、抗議を示す大漁旗をたなびかせ、射爆撃場沖合を巡回した。

相次ぐ事故

 F16戦闘機が一九八五年四月に米軍三沢基地に配備されて以来、燃料タンクや実弾・模擬弾の投棄などトラブルが後を絶たず事故も頻発。これまでに二十八回のトラブルが引き起こされた。九九年一月には岩手県釜石市の山中に墜落し炎上、二〇〇〇年十一月には北海道沖で二機が空中衝突し墜落するなど重大事故をこれまで八件起こしている。
 天ケ森射撃場は、一九五二年、三沢飛行場所属の航空機の射爆撃訓練場として設置。沖縄を除くと、本土唯一の在日米軍、航空自衛隊共同使用の対地射爆場で、九〇年から米軍が管理している。



原発増設に反対し、千五百人が決起 鹿児島県

 鹿児島県川内市の九州電力川内原発の三号機増設問題が大きな問題になっている。九電の計画によると川内原発の三号機は出力百五十万kwで二〇一〇年代の早期の運転開始をめざしている。百五十万kwは敦賀原発三、四号機と並び世界最大規模で、増設費用は約五千億円。
 九州電力は、昨年九月に増設に向けた環境影響調査の実施を鹿児島県と川内市に申し入れた。昨年三月、川内市の建設、旅館業など七団体が環境調査の早期実施を陳情したのを皮切りに、推進派は周辺の市町村議会と県議会に環境調査の早期実施を陳情。九月の県議会では推進派が「環境調査と増設は別だ」という屁理屈で環境調査推進を強引に採択した。
 一方、周辺の漁民は一斉に反発。「事故が起これば周辺漁民は一生泣き寝入り。風評被害もある」「原発全廃が世界の流れなのに増設は時代に逆行」「事故だけでなく温排水など海の汚染は死活問題」「川内原発は過去十数回もトラブルが発生している」「調査実施後、建設中止になったことはなく百億をかける環境調査は増設への第一歩」など、漁民の不安と怒りは高まった。阿久根市の三漁協など県西部の漁協の大半が増設反対の陳情を地元議会に提出。十一月三十日には県漁連など水産四団体と県内沿岸漁協が、川内原発増設計画対策協議会を発足。十二月五日に県と九電に環境調査中止を要請、今年二月の原発の勉強会など増設反対の取り組みを強める。
 今年三月、九州電力が火力発電所七基の運転停止の方針を表明。停止する七基の総出力と川内原発増設の出力はともに百五十万kw。須賀県知事は不快感を示す。
 三月までの各市町村議会で、周辺自治体では阿久根市、上甑村、下甑村で増設反対の陳情を採択。串間市市議会は調査推進決議が採択されたが、市長が「市民の八割が反対している」と県知事に環境調査の反対を表明。
 四月六日、須賀県知事は九州電力に対し、川内原発増設に向けた環境調査について「当分の間、態度を保留する」と回答した。

原発増設はやめろ

 四月十日、鹿児島県内の六十七漁協などでつくる川内原発増設計画対策協議会(上田喜八郎会長)は、川内市内の河川敷で「増設反対決起大会」を開いた。大漁旗がたなびくなか、決起大会には漁民約千五百人が参加した。上田会長は、「知事の(環境影響調査の)保留発言は理解するが、状況には進展はない。増設反対の声を伝えるため、一致団結しよう」と決意表明。串木野市漁協の岡野組合長ら六人の代表が意見表明した後、「三号機増設と環境影響調査に反対する」決議文を採択した。「原発増設反対」「環境調査やめろ」などのシュプレヒコールを上げた。大会後、上田会長ら代表が、県庁と九州電力鹿児島支店を訪れ決議文を手渡した。
 四月二十二日、「原発はもういらないフェスタIN川内」が開かれ、市民や学生など千人が参加した。