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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2000年8月号
 

米軍基地と環境問題


広範な国民連合神奈川  須見正昭


 在日米軍のPCB廃棄物が、米軍相模原総合補給廠から横浜をへてカナダに向かったが、バンクーバー港で荷揚げを拒否され母国アメリカのシアトル港でも受け入れられず、さまようように横浜港本牧埠頭に舞い戻ってきた。これに対し、グリンピース・ジャパンや相模原補給廠監視団などが強く抗議した。その後、五月十三日に、アメリカ統治のクエーク島に搬出されたものの、市民のとっては寝耳に水の新聞報道であった。さらに日本政府は、「米軍物資を国内法で規制することはできない」といっている。二度びっくり、三度びっくり、知らぬは市民ばかりなりである。
 そこでこの問題について学習会をもとうと計画し、相模原の金子富貴男・市議を講師にお願いすることにした。金子さんは厚木基地爆音防止期成同盟で、息の長い運動を展開されているし、多摩区の平和教育学級で、神奈川県下の基地めぐりで、講師としてお話をしてもらったこともある。このような経緯で、七月九日、多摩市民館で講演会を開いた。
 金子さんは本題に入る前に、四月十二日に、厚木基地爆音期成同盟などが、防衛庁をはじめ外務省、環境庁などに抗議行動と座り込みを行ったときの様子を話された。これは私たちにとって身近な問題であった。事の概略は、在日米軍基地に隣接する民間廃棄物処理会社「エンバイロテック」の排煙に含まれているダイオキシンで、米軍人・軍属・家族に被害を及ぼしたことに対し、日本政府はただちに防衛庁長官、環境庁長官を現地に派遣、アメリカからも国防長官、海軍長官が相次いでやってきて具体的な対処をとった。「排煙被害解消までの間、米軍、軍属、家族に代替住宅無償提供」「航空法の高さ制限排除のため例外規定適用による百メートルの煙突設置」などである。一方、基地周辺住民の爆音被害等に対しては、四十年間に及ぶ住民の要請にも実質的に何ら対応をとっていない。その落差の激しさを住民らは訴えているのである。
 さて、米軍基地のPCB問題の解決に向けて動こうとするとき、大きな障害として常に立ちはだかるのは、日米地位協定である。先に示した日本政府の属国根性は、覆いがたいものである。このPCB問題についても、環境庁の呼びかけで厚生、通産、大蔵、外務の五省庁が集まり、法律の適用について論議したが、外務省が、日米地位協定が優先されるため「国内法の廃棄物処理法は適用されないと思う」と言っている。日米地位協定の改正など、まったく考慮の外にあるといえよう。
 ところで、PCBは発癌物質であることがわかり、使用が禁止され、保管されているが、保管中の事故や不法処理による環境中への流出が相次いでいる。それにもかかわらず、日本では、いまやっと処理しようという段階である。
 米軍基地の環境汚染については、これまでは日常的に行われてきた。大きな穴を掘ってDDTを埋める。カドミウムの埋設と掘り起こし、トリクロロエチレンの地下水汚染、重金属汚染……と限りない。基地が返還されても、汚染を取り除き元通りにするには、どれほどの費用と時間を要するか想像を絶する。米軍は「あとは野となれ、山となれ」とばかり、日本の土地を使い捨てにしているのである。これは軍隊だけの問題ではなく、目先の利益のために問題解決を先送りする資本主義的発想が、地球をむしばんでいるといえよう。いろいろなことを考えさせる学習会であった。