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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2000年1月号
代表世話人年頭メッセージ

北朝鮮とのいざこざ

伏見康治


 いわゆる「ガイドライン」があっという間に国会を通ってしまった。私はあっけにとられている。国の運命をきめる極めて重大な法案が、ろくでもない法案の類と一緒に通ってしまった。国民の眼をごまかすために、ガイドライン法案は、アメリカ軍の後方支援をする約束だけで、戦争に参加するという意味ではないと説明するのであるが、本当にそうなるのであろうか。そのような事態になった時に、アメリカの対戦国は、もちろん日本を敵視して戦争をしかけてくるのは、火を見るより明らかなことだ。日本はいやおうなしに戦争に巻き込まれる。そういう重大な決定を国民はしてしまったのである。その意識なしにである。
 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のミサイル発射で、日本の上空を飛び越えたことに対する国民の反応はいささか異常である。北朝鮮がミサイルをイラクなどに売って外貨稼ぎをしていたことは、久しい前から知られていたのである。それが脚を伸ばして日本列島を飛び越したからといって、突然に怒り出すというのは解せない話である。第一、アメリカほど親密でない旧ソ連=ロシアや中国はちゃんとした弾頭を備えた実戦用のミサイルを久しい前から持っていて、日本を攻撃しようと思えばいつでもできる。おそらく心の奥底でさげすんでいる北朝鮮が、そんな高級な飛び道具を持っていることが気にくわないということなのであろう。強いものにへつらって弱いものをさげすむ日本人の劣情でしかない。
 北朝鮮は重大な政策上のあやまちを犯し続けて、非常に国力が衰えてしまっている。中でも農業政策は全くまちがっている。もともと平地が少なくて、昔から南は農業、北は鉱業と言われてきた。その条件の中で無理に山地の樹木を切って耕地にしようとしたため豪雨でそれがみな流れてしまった。全人民が餓えている。そのような国と付き合う見易い論理は食糧援助である。南の大統領の太陽政策は全く筋が通っている。そのような条件の中で、食糧援助を打ち切るような馬鹿な政策をとるとは、到底理解できない。村山さん一行の訪朝が実現したのを機会に、日本の太陽政策を実現すべきである。
 それと共に、日本国内にいる北朝鮮系の人たちに対し、ちゃんとした姿勢をとって欲しいものである。公の場でも、私の場でも。私は中学生の時に関東大震災に遭い、その混乱の中で起こった朝鮮人虐殺事件の雰囲気を味わった。士農工商の長い階級制度の中で、日本人は自分たちより下の階級を求めて、いわゆる特殊部落を育ててしまったが、同じ感情が現在のわれわれの中にも潜んでいるように思う。
 そしてそれが、北朝鮮の人々に対する不可思議な侮辱感情として時々現れてくるのではあるまいか。それを克服しない限り正しい北朝鮮への対応はできないのではあるまいか。