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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』1999年7月号
 

街の崩壊を招く
巨大なショッピングセンター計画

新居浜商店街連盟事務局長 荒木 守




 店舗面積なんと5万3000平方メートル

 いま、新居浜市では大型店のジャスコの出店計画が進められています。
 商工会議所に、新居浜市の活性化の目的で「温泉開発合同委員会」が作られていました。ところが、平成9年7月頃、委員会が「複合商業施設検討委員会」という名前に変更された。温泉開発ではなかなか活性化につながらない、超大型ショッピングセンターで活性化を図ろうという話になってきました。さらに、委員の中から漠然とした話でなく、具体的な計画図を出してみてはどうかという話になりました。その頃には、出店予定の大型店はジャスコだということは分かっていました。そして出された計画図は、ジャスコ側が描いたものだと思いますが、商工会議所は独自の計画図だと最後まで言い張った。
 新居浜市の人口は約13万人。住友の城下町と言われています。住友鉱山と住友林業所有の用地に、ジャスコを中心にした超大型ショッピングセンターをつくろうという計画で、店舗面積は実に5万3千平方メートル。市内にある主要大型店の約5倍に匹敵する西日本最大クラスの超大型店となってしまいます。
 今年4月に、商工会議所が中心に「複合商業施設推進委員会」が作られました。市民代表とか、自治体代表とか、女性代表などいろいろな団体を入れて、市民の合意を得るために作られた組織です。4月と5月に4回、「複合商業施設推進委員会」が開かれました。正式にジャスコの名前が出てきたのは、この複合商業施設推進委員会になってからです。

 街の衰退の危機

 そんな大規模なものができたら、壊滅的打撃を受けるということで、商店街連盟としては反対運動に立ち上がったわけです。私たちが巨大なショッピングセンター計画に反対する理由は5点あります。
 第1は、西日本でも最大級の巨大なショッピングセンターができたら、地域住民と共に文化や伝統など様々な機能を培ってきた地域の商店街が、壊滅的な打撃を受ける。第2は、人の流れも変わり、空店舗が増え、商店街の空洞化が進み、商店街だけでなく周辺も含めて、街が衰退する。第3は、今でも大型店スーパーの間でし烈な過当競争が激化しており、この計画が完成すれば手近にあるスーパー、大型店にも影響し閉店の恐れもある。高齢化社会の中で、買い物などの消費生活に著しく不便をきたす。第4は、計画地は小学校と中学校に挟まれている文教地区、住宅地で、交通渋滞、騒音、排ガス、ゴミなど生活環境への影響も深刻です。児童や生徒の交通事故も心配です。第5は、すでに駅前再開発が具体化しており、中心商店街の活性化とあわせて、今回の計画との整合性がまったく理解できない。
 13万弱の新居浜市に、第1種と第2種の大規模小売店が40店舗もひしめき合っています。大型店の1つであるダイエーが、今年5月末に閉店。生鮮品だけでも残してくれという地域の高齢者の要望がありましたが、大手企業は冷たいもので、撤退となったら地元のことなんか考えない。ダイエーの撤退で、その地域の高齢者は遠くまで買い物に行かなければならなくなっています。
 そんな状況なのに、巨大なショッピングセンターができれば、既存の大型店の撤退、地域の商店の廃業に拍車がかかります。身近なスーパーや商店がなくなれば市民全体の生活に大きな影響が及びます。とくに、高齢者など交通弱者に地元商店街が果たしてきた利便性が失われ、日常生活に重大な影響を及ぼします。しかもこれほどの店舗面積ですから、新居浜市だけでなく、西条市など周辺まで影響を与える。地域社会にとって重大な問題です。
 町の活性化にもつながらないと思います。巨大な大型店の進出によって、一時的に人が集まり、脚光を浴びるかもしれません。しかし、大型店の仕入のほとんどは県外の業者に一括発注されますし、ジャスコによる売り上げの大半は中央に送金されますので、地域経済を潤すことは期待できません。巨大な大型店の進出によって、地域密着型の商店街がつぶれば、地域の活性化とは逆の結果を引き起こすことになります。
 つまり、この問題は商店街だけでなく、高齢者など消費者の利便性、計画地周辺の生活環境の悪化など、市民全体の問題です。

 反対運動の難しさ

 商店街連盟は、「新居浜の街が、そして、全市の商店が…崩壊の危機に!」というジャスコ進出に反対するチラシをつくりました。5月13日の第3回の複合商業施設推進委員会までに、全市民に訴え、考えてもらおうというチラシです。5万枚の新聞折り込を計画しましたが、ある新聞社から「こういう内容のチラシは折り込みではできない」という返事。結局、戸別宅配になり、配れたチラシは2万枚程度でした。新聞社の嫌がらせか、別の圧力なのか、いずれにしても汚いやり方です。
 「ジャスコ出店断固反対」の立看板を電柱に立てました。ところが、10日ほどして市から「屋外条例に違反するので取り外してくれ」と連絡があった。また、ジャスコの嫌がらせだと思いますが、「ジャスコ出店断固反対の立看は違法行為ではないのか」という電話。そこで商店街に横断幕を設置しました。ところが、今度は商工会議所から横断幕を外して欲しいと圧力がかかりました。署名行動をやっても圧力がかかる。
 反対運動をしている商店街連盟の動きを、住友やジャスコや商工会議所のトップが大きな関心をもっています。反対運動の作戦というか、手の内をオープンにしていますので、推進する側は先を読んで手を打ってくるという状況です。商工会議所の商業議員を通じての圧力もあり、商工会議所と商店街の溝が深まった時期もありました。急がれる中心街活性化の問題で商工会議所と一緒になって市に陳情しなければならないこともあり、いまでは商工会議所との関係は修復する努力をしています。
 市議会にも働きかけをしています。市議選挙の結果、新しい議員が誕生するなど議会の構成も大分変わりました。先日も、反自民の17人のグループから、商店街と会議所の双方から意見を聞こうという勉強会がありました。商店街代表として私が呼ばれて、なぜジャスコの出店に反対するのか、商店街の活性化について話をしました。
 『日本の進路』で大型店イトーヨーカ堂の進出に果敢に反対運動を取り組んだ静岡市の話を読ませていただきました。静岡の商店街のあの結束力、すごいなあと思いました。しかし、商業者が団結して運動するのは難しさがあります。それぞれの店では社長ですから、労働組合で労働者が団結するのとは大分違うと思います。商店街の団結には努力していますが、やっぱり難しいですね。去年から若い者を中心に集団指導体制にしましたが、自分の生業が中心になるので、会議も夜にならざるを得ない。町全体の問題を自分の問題として考えるという気持ちはあるんですが、なかなか行動に結びつかない。
 今後の闘いの方向というのはなかなか定まらないのが現状です。いろんな圧力もあり商店街の結束が弱められています。推進側はごり押しをドンドンやってくる。大型店の出店に一定の歯止めになっていた大店法は規制緩和が繰り返され骨抜きにされ、ついに廃止されることが決まりました。来年6月からは大店立地法になります。規制のゆるい大店法の下で出店をしたいという、駆け込み出店だと思います。全国各地で同じような動きがあると聞いています。
 とにかく、こんな大きなショッピングセンターは認めるわけにはいかんという気持ちです。あわせて、商店街の活性化計画を議論をしています。商店街を8ブロックに分け、周辺に公営住宅やおしゃれっぽい住宅などを考え、人口の定住策を重視しながら、専門店を中心にして魅力あるブロックを設定する街並み整備を検討中。2、3年のうちにできることから取り組もう、という議論をしています。 

  (文責編集部)