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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』1999年4月号

新ガイドライン関連法案を廃案へ

みんなで力をあわせて頑張ろう

憲法擁護・平和・人権フォーラム代表  山口鶴男


 3月12日に、新ガイドライン関連3法案の特別委員会が設置され、本格的な議論が始まりました。政府は5月連休の首相訪米までに、法案を成立させようとしています。護憲フォーラムは、4月26日を最大の山場に設定して、廃案へ追い込むために闘います。

  神戸方式を全国に

 新ガイドライン関連法案は、地方自治体に重大な影響をおよぼします。したがって、護憲フォーラムは、外国艦船の入港に際しては非核証明を求める神戸方式、橋本知事の高知方式を全国に広めるために全力を尽くそうと確認しています。これは、新ガイドライン関連法案に対する重要な闘いのひとつです。
 今は地方分権の時代です。私が総務庁長官のときに、担当大臣として地方分権推進法を提案して、成立させました。
 歴史をふりかえると、日本は明治維新で、全国が270の藩に分かれていては欧米に対抗できない、植民地になる危険性もあるというので、藩を全部なくして明治政府に財源も権限も集中しました。そしてヨーロッパに追いつき追い越せとやってきたわけです。そういう歴史的経過の中で、国が一番上で、次が都道府県、そして市町村という上下関係の考え方が蔓延しました。
 しかし、欧米の国々は「初めに自治体ありき」で、それが集まって民族国家になり、あるいは連邦政府ができました。ドイツもアメリカも連邦政府です。地方自治法も、国と都道府県・市町村は同格だとうたっています。国民の幸せを守るために国があるように、県民の幸せを守るために都道府県が、市町村民の暮らしを守るために市町村があるのです。だから、国と地方自治体を対等平等な関係に直さなければなりません。このように主張して、地方分権推進法を成立させました。
 そういう意味で、国と自治体は対等平等です。国是である非核3原則を守るのに、上下関係はありません。県民の生命財産を守るために、都道府県が非核3原則を守る努力をやって何が悪いのか。それが神戸方式であり、橋本・高知方式です。

  大衆運動を盛り上げよう

 私が衆議院予算委員長をしていた1994年、北朝鮮の核疑惑が問題になり、予算委員会で議論になりました。自民党、当時の新生党や日本新党の諸君の議論を聞いていますと、憲法9条を逸脱し、安保条約の枠もはみだした議論が多い。
 元官房長官の後藤田正晴さんも委員席で聞いていたので、「どう思いますか」とたずねました。後藤田さんは「憲法9条、それに基づく自衛隊の基本的任務を忘れているんではないか。安保条約5条、6条の関係を混同した誤った議論だと思う」と、そんなふうに言いました。
 憲法9条があるかぎり、自衛隊は専守防衛です。急迫、不正の侵略に抵抗するのが自衛隊の任務です。海外での武力行使と一体になった行動は憲法違反です。安保条約5条は日本が侵略された時に日米が共同対処すると規定し、その見返りとして、第6条で米軍が極東の平和と安全のために行動する場合に基地を提供する、と書いてあるのです。後方支援で米軍といっしょに行動するなどということは、どこにも書いてありません。新ガイドラインとその関連法案は、憲法を踏みはずし、安保条約の枠組みを超えるものです。
 後藤田さんは最近も、雑誌『世界』や新聞の論壇で、当時と同じ考えを述べています。自民党の良識ある諸君ですら、こう言っているのですから、野党の国会議員は、この法案を廃案に追い込む覚悟でやるべきです。60年安保闘争のときに、社会党の先輩である横路さんや飛鳥田さん、穂積さんや岡田さんといった人たちが、政府を徹底的に追及しました。それと同じように、徹底した論戦をやってほしいと思います。
 60年の時も、安保は重たい、労働組合が安保で闘うのは難しい、という雰囲気でした。しかし、国会論戦が白熱し、政府が立ち往生する中で、大衆運動が盛り上がりました。それを受けて国会闘争がさらに白熱しました。あの時のように、大衆運動や署名運動を徹底的に展開しようではありませんか。そうすれば国会の諸君も頑張り、相乗効果で法案を廃案に追い込むことも決して不可能ではないと思います。

  沖縄と思いをひとつにして

 昨年の護憲フォーラムの大会で、長い間沖縄の祖国復帰運動や平和運動に努力された新垣善春さんに、遠藤三郎賞を贈りました。平和運動に功績のあった方を表彰する賞です。新垣さんは沖縄の県知事選挙でおいでになれなかったので、知事選後に新垣さんの遠藤三郎賞を記念するパーティーを沖縄で開きました。
 副知事をやっておられた吉元さんもおいでになっていました。吉元さんは、「基本的人権の尊重、民主主義、絶対平和主義の憲法のもとに帰りたいと、復帰運動をやった。しかし、憲法のもとに復帰したけれども、自分は行政の立場にありながら、あの少女暴行事件のように県民の人権を守っているとは言えない。行政の力不足を痛切に感じる」と、そんな話をしておられました。
 そういう意味では、沖縄の平和を守り、基本的人権を守るためには、基地があったらどうにもなりません。基地の整理縮小、撤去という運動を懸命に闘っている沖縄のみなさんに応える運動を、私たちはもっと強めなければなりません。
 ところが、地方分権の第3次勧告では、米軍への基地提供はいっさい国の事務だと言って、自治体の役割をみな奪うような方向が出されました。実にけしからん勧告で、腹立たしいかぎりです。
 そして、今度の新ガイドライン関連法案です。基地の整理縮小、撤去ではなく、逆に本土の沖縄化です。そういう意味で、この法案に反対する闘いは、沖縄のみなさんと思いをひとつにしての闘いでもあります。今日の3・16全国集会にも沖縄の代表に沖縄の声を主張していただきます。沖縄のみなさんといっしょに頑張っていきたいと思います。
                                                     (談・文責編集部)