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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』1999年4月号

農林漁業者、消費者の国民的な合意をめざして

「食料・農林漁業・環境フォーラム」が発足


 21世紀の食料や農業を国民参加で考える「食料・農林漁業・環境フォーラム」の設立会議が3月18日、東京の東条インペリアルパレスで開かれた。農林漁業団体、消費者団体、労働団体など24団体と個人会員8氏が参加した。
 食の安全や食糧危機への不安、地球規模での環境問題、さらに世界貿易機関(WTO)次期交渉など、国際的な視野で国民的な合意をめざす提言や学習活動を積極的に行うことを確認した。第一弾として、5月中下旬に東京都内でシンポジウムを開く予定。
 会議は、木村尚三郎(東大名誉教授)を代表に、立松和平(作家)、笹森清(連合事務局長)、藤岡武義(日本生協連常務)、梶井功(東京農工大名誉教授)、山地進(東海大教授)、原田睦民(JA全中会長)の各氏を副代表に、幹事長に服部信司(東洋大教授)氏を選任。
 「地球規模での環境問題、地球資源の有限性、食の安全や食糧危機への不安などを強く意識せざるを得ない大きな転換期を迎えています。私たちは立場の違いを超えて、食料・農林漁業・農山漁村・環境問題などに対して、認識を共有し、相互理解を深めるとともに、新たな時代に向けての食の安全と安定供給、持続可能な農林漁業と農山漁村の発展のために貢献することを目的」とした同フォーラムの宣言書が確認された。
 当面の活動として、1.フォーラムに賛同する個人・団体会員の参加を広く呼びかける、2.「食料・農林漁業・環境シンポジウム」(仮称)を5月中下旬に開催する、3.国際的なNGO(非政府組織)間の協同の取り組み、などを申し合わせた。
 同フォーラム設立後の記者会見で木村尚三郎会長は、「食料・農業・農村基本法案が国会に提出され、WTO次期交渉を控え、地球規模でくらし、命、安全を確保するための国民運動を盛り上げたい」と決意を述べた。また、新農基法の基本計画で示すことになる食料自給率の設定では「国民合意を図りながら、農水省に積極的に働きかけていきたい」と述べた。

【設立会議での発言から】

◆木村尚三郎氏(東大名誉教授)
 国民的合意の取り組みが必要だが、農林漁業者と一般国民の間に認識のズレがある。食糧危機もやってくる21世紀は確実に農の時代だ。安心と安全の足元を固め、農を基本にした社会に。そのための国民運動を。

◆立松和平氏(作家)
 農業に元気がないと、地方が解体する。地方の解体は国が解体することだ。今回のフォーラム設立はこうした危機感を反映したものだ。できることからやっていきたい。

◆梶井功氏(東京農工大名誉教授)
 新農基法案に食料安全保障が明記されたことは注目すべきだ。この食料安全保障が新農基法で実体化するようこのフォーラムを通じて監視していきたい。

◆小島正興氏(国民経済研究協会監事)
 新農基法の法律でどうこうするより、国民的な共通認識をつくることが重要だ。国民全体で考えようという、このフォーラムの意義は大きい。

◆藤岡武義氏(日本生協連常務)
 ダイオキシンや遺伝子組み替え食品など新たな問題も起きている。消費者と生産者との交流を深め、私たちが取り組んできた食の安全と持続可能な農業の実現をめざしたい。

◆高橋公氏(連合社会政策局次長)
 農水省のちょうちん持ちをするつもりはないが、食料、農業、環境問題は重要な問題。農林漁業関係者と国民とのギャップがあるとすれば、その溝を埋める役を果たしたい。

◆日和佐信子氏(全国消費者団体連合会事務局長)
 新農基法に消費者重視が記された。消費者の意見をきちんと言っていくことが大切と考え参加しました。さらに、様々な人々に加わってもらい国民的な合意づくりを望みたい。

◆服部信司氏(東洋大教授)
 米関税化など改革の時代にある。食料農業に関心のある幅広い人々が集まり、情報や認識を共有し、相互理解をすすめることはとても大事だ。微力ながら力を尽くしたい。

◆原田睦民氏(JA全中会長)
 国民とともに、食料、農業、農村を考える必要がある。今回の全国規模のフォーラム設立は、地方にとっては大きな起爆剤だ。

◆山地進氏(東海大教授)
 日本経済新聞で一貫して農業問題を取り組んできた。WTOでの対立は米国の150ヘクタール農業とアジアの1ヘクタール農業の対立である。このフォーラムを通じて、新しいアジア農業を展望したい。

◆中村靖彦氏(農政ジャーナリストの会会長)
 21世紀は農業と環境が重要になる。WTOや欧米のやり方とは違う、日本を含めたアジアの持続可能な農業を考えていく必要がある。

◆成相静雄氏(みどり運動連絡会事務局長)
 4年前に結成しシンポジウム、集落懇談会、現地調査などをやってきた。農政改革とWTO問題は表裏一体の関係にある。国論の統一が必要。


「食料・農林漁業・環境フォーラム」会員(8氏と24団体)

木村尚三郎(東京大学名誉教授)
立松和平(作家)
梶井功(東京農工大学名誉教授)
山地進(東海大学教授)
小島正興(国民経済研究協会監事)
服部信司(東洋大学教授)
中村靖彦(農政ジャーナリストの会会長)
原剛(毎日新聞特別委員)
日本生活協同組合連合会
全国消費者団体連絡会
DEVANDA
日本労働組合総連合会
食とみどり、水を守る中央労農市民会議
食品産業センター
自治体“農”ネットワーク
みどり運動連絡会
全国農業会議所
全国森林組合連合会
全国漁業協同組合連合会
全国農業協同組合中央会
全国農業協同組合連合会
全国共済農業協同組合連合会
農林中央金庫
全国信連協会
株_協観光
全国新聞情報農協連合会
家の光協会
全国厚生農業協同組合連合会
全国農業者農政運動組織協議会
全国農協青年組織協議会
JA全国女性組織協議会