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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』1999年3月号

米軍基地の整理・縮小を求める

連合九州・連合大分が日出生台で1万人集会

連合大分事務局長 後藤 俊一


 在沖縄米軍による実弾砲撃演習の実施を4日後にひかえた1月31日、日出生台演習場の地元である玖珠町で、連合大分と連合九州ブロックが主催して「米軍基地の整理・縮小を求める日出生台1万人集会」を開きました。
 日出生台では、2年前にも1万6000人集会をやっております。連合大分、大分県平和運動センター、現地の湯布院・九重・玖珠の3町連絡会議が中心となり、実行委員会形式で取り組んだものです。今回は労働組合のナショナルセンターとしてやろうと考え、連合大分だけでも取り組む腹をかためて、連合九州ブロックに呼びかけました。
 たとえば長崎は三菱重工などを抱えているなど、各県の連合にはそれぞれの事情があります。そのため、最初は消極的な県もありました。しかし、私たちは連合九州ブロック全体が動く体制をつくることを大切にしました。
 そこで私たちは、米軍基地の整理・縮小は連合本部方針の中にある統一課題ではないか、軍縮ということでは一致できる、九州ブロックが行動しなければ東京は動かない、九州ブロックとして米軍基地の整理・縮小を求める集会をやろうではないか、と訴えました。連合本部の方針ならいいということで、九州ブロックの取り組みとなりました。
 各県の連合に体制をとっていただき、大分県外からの参加はバス29台になりました。連合本部からは、町田副事務局長を筆頭に5名が駆けつけてくれました。実弾砲撃演習の移転先となった県の連合で各県連絡会議をつくっていますので、連合の北海道、宮城、山梨、静岡の代表も駆けつけてくれました。
 集会では、「米軍基地の整理・縮小」を全体の共通のスローガンとして確認した上で、それぞれが思っていることを何でも言おうということにしました。
 各県連絡会議を代表して決意表明をしていただいた連合北海道の方は、実弾砲撃演習の影響で牛の乳の出が悪くなったため5軒の酪農農家が離農し、演習受け入れが地域経済を破たんさせることになったと、発言してくれました。
 大分の現地からは2名の女性に挨拶していただきました。彼女は、なぜ演習が必要なのか、国は地元住民にわかるように説明すべきだと、怒りの声をあげました。
 私も挨拶の中で、次の四つのことを述べました。
 一つ目。沖縄で行われていた米軍の砲撃演習の本土移転は、沖縄の痛みを減らして本土で分かち合うということであった。しかし、実際には基地の整理・縮小ではなく基地の拡大であり、痛みを全国に拡大しただけではないか。
 二つ目。国の専管事項ということで、国は実弾砲撃演習を強引に押しつけてきた。国の圧力に対して、知事も当該の市町村長も「いかんともし難い」と運動から抜けた。国民主権といわれながら、県民や地域住民の意見が何一つ反映されていないことに対して、私たちは主権者として憤りを持とう。
 三つ目。この集会には、九州ブロックを中心に、北海道など各県の代表が米軍基地の整理・縮小を求めて結集した。この共通の思いを大事にし、今後の運動を発展させよう。
 四つ目。政治の力によって、今回のような演習が強行された。働く者、労働者は怒りを行動に表さなければならない。当面の統一地方選挙でも、働く者のための政治に向けて流れを変えよう。
 今回の1万人集会に合わせて、米軍の陸送に反対する抗議行動にも取り組みました。その点で、連合大分は健全だと思っています。ただ、それが一部の運動になってしまったのでは、大きく広がりません。だから、大きな流れをつくる上で、まず1万人集会を成功させることが重要だと考えてきました。あわせて、平和運動センターなどの運動が底支えする。こうした取り組みの結果、最近の地元新聞の論調にも変化が出てきています。
 沖縄の自治労委員長が今回の集会を見て、連合でこんな集会ができるのかと、驚いていました。連合沖縄の会長が報道で1万人集会を知って、何で事前に知らせてくれないんだ、と言っておられたそうです。
 沖縄の悩みは九州でもよく分かります。敗戦後、大分の別府にはアメリカ占領軍が進駐しました。別府、湯布院などで米軍が何をしたか、年輩の方々はよく覚えています。だから湯布院では、店の5割が「米軍立ち入り反対」のステッカーをはっています。また、九州は朝鮮半島や台湾に近く、いざとなったら最前線にされるのではないかという危機感があります。
 そういう意味で、九州は本州と違い一つにまとまりやすいという特徴があります。連合九州ブロック全体が力をあわせて1万人集会を成功させた背景には、九州のこうした特徴もあったと思います。
 いずれにしても、今回は九州での集会でした。私は、連合が労働組合のナショナルセンターとして、こうした課題の取り組みを全国で強めることを願っています。連合本部からも代表が駆けつけてくれましたから、考えてくれているのではないかと思います。
                                      (文責編集部)